【早見表あり!】電源・制御ケーブルの選定はどうすれば良いか

電気・制御
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この記事でわかること
  • 負荷容量(W/VA/A)から電源・制御ケーブルのスケアサイズ(太さ)を計算して決める方法
  • 使用環境に応じた代表的なケーブル種類(CV/CVT/CVV/VCT/VVF/IVなど)の特徴と使い分け
  • 「結局どれを選べばいいのか?」をイメージしやすくするための比較ポイントと考え方

はじめに

みなさんは電源ケーブルの選定で迷った経験ありませんか?

  • 「とりあえずメーカーさんにお任せ」
  • 「協力会社さんが決めてくれるからノータッチ」

そんな状態になっていないでしょうか?
実は、基本の手順だけ押さえておけば、自分でもケーブル選定は十分できます。

ケーブル選定で一番大事なこと

ステップの細かい話に入る前に、
ケーブル選定で絶対に忘れてほしくないポイントをお伝えします。

ケーブルの選定を誤ると、最悪「火災」につながる可能性がある

ということです。

ケーブルには、それぞれ
「安全に流すことができる電流値(許容電流)」 が決まっています。

つまり、

  • 許容電流を超える電流が
  • 長時間ケーブルに流れ続けると

ケーブルは発熱し、最悪の場合「燃えます」。

だからこそ、

  • 接続先の負荷
  • 今後の増設や余裕度

を考慮しながら、
少し余裕を持たせたケーブルを選定することがとても重要です。

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ケーブル選定はこの2ステップだけ!!

ケーブル選定は、次の 2ステップ を踏めばOKです。

  1. ケーブルに接続する負荷容量から、スケアサイズを決める
  2. ケーブルを配線する場所や環境から、ケーブルの種類を決める

この流れさえ押さえておけば、選定の全体像はつかめます。

STEP1.ケーブルに接続する負荷の容量からスケアサイズを決める

負荷とは?まず用語の整理から

まず「そもそも負荷って何?」という方のために、簡単に説明しておきます。

負荷とは
モーター、照明、ドライヤー、電子レンジなど、
電気を使って動く機器全般を指します。

一方で、スイッチやブレーカのような機器は、
電気の 入/切をするだけ で、自分自身が電力を消費するわけではないので、
一般的には「負荷」とは呼びません。

負荷容量からケーブルのスケア(太さ)を決める

次に、負荷の容量からケーブルのスケアサイズ(太さ)を決める方法です。

負荷容量を調べると、仕様書などに次のような表示が出てくると思います。

  • W(ワット)
  • VA(ブイエー)
  • A(アンペア:負荷電流、最大運転電流)

この中で、負荷電流(A)または最大運転電流(A)の記載があれば、それを最優先で使います。
WやVAしか書かれていない場合は、計算で電流に変換してあげます(後述)。

※W(ワット)、VA(ブイエー)の扱いについても、後の例で説明します。

例1)負荷電流・最大運転電流の記載がある場合

たとえば、仕様書に 15A の記載がある場合を考えてみます。

このときは、

その15Aを 余裕を持って流せる ケーブルを選ぶ

必要があります。
目安として、1.5倍程度の電流を流せるスケアを選定すると安全側です。

  • 15A × 1.5 = 22.5A

→ よって、22.5A以上を流せるケーブルスケアを選定します。

次に、ケーブルメーカーの仕様表を確認し、
例えば CV 2sq の許容電流が 23A以上 であれば、

この条件では CV 2sq を採用すればOK

という判断ができます。

※なぜ余裕を見るかというと、「ギリギリの許容電流で選ぶとケーブルが発熱しやすくなる」ためです。

例2)容量が W(ワット)で記載されている場合

次に、負荷電流や運転電流の記載はなく、
例えば 1.5kW のように出力のみ記載されている場合です。

ここでは、電圧が家庭用の 単相AC100V の例で考えます。

  • 1.5kW = 1500W

電力の基本式は、

容量(W)= 電圧(V)× 電流(A)× 力率・効率

です。

力率・効率について仕様書に記載がない場合は、
とりあえず 0.8 くらいを仮置きすると実務上扱いやすいです。

  • 1500(W)= 100(V)× 電流(A)× 0.8
    → 電流 ≒ 18.75A

この 18.75A を補えるケーブルを選定します。
先ほどと同じく、23A程度の許容電流を持つケーブル(例:CV 2sq)を選定する…といった流れになります。

例3)容量が VA(ブイエー)で記載されている場合

最後に、容量が VA(ブイエー)表記の場合です。
例えば、仕様に 1.5kVA と書かれているケースを考えます。

VAの基本式はシンプルです。

容量(VA)= 電圧(V)× 電流(A)

電圧が 100V の場合、

  • 1500VA = 100V × 電流(A)
    → 電流 = 15A

よって、15Aを安全に流せるケーブルを選定します。

W/VA/A が全部書いてあったらどうする?

たまに仕様書に

  • W
  • VA
  • A(負荷電流)

全部書いてあるケースもあります。

その場合、一番確実なのは、負荷メーカーに確認することです。

  • メーカーに 「この機器には何アンペア流れる前提でケーブルを選べば良いか?」
    を聞くのがベストです。

それでも自力で選定したい場合は、

  1. A(負荷電流/最大運転電流)を優先して見る
  2. WやVAから計算した値も参考にする
  3. その中で 最も厳しい(大きい)値に余裕を見てケーブルを選ぶ

という考え方でOKです。

「大は小を兼ねる」という感覚で、
心配なら1サイズ大きいスケアを選んでおくのが安全側です。

ケーブル許容電流はメーカーごとに微妙に違う

最後に大事なポイントをもう一つ。

ケーブルの許容電流値は、メーカーによって若干の差があります。

そのため、

  • 使いたいケーブルのメーカーを決める
  • 各メーカーのサイトから 許容電流表 を必ず確認する

この2つはセットで行いましょう。

STEP2.ケーブルを配線する場所や環境から、ケーブルの種類を決める

ここまで来たら特に重要などこに敷設するか?です。

ここでは正解はありませんが、特に気を付けてほしいことだけ記載します。

動く場所へ敷設する場合は必ず可動ケーブルを使用する

はい、これ選定ミスで一番多く、なぜ断線したのか調査すると可動ケーブルでない場合がほとんどです。

動く部分 = 自動機やロボットなどの動作する部分全てです!!
可動ケーブル = 名前の通り、動く部分に敷設しても問題ないケーブルのことです!!

じゃあどうすればいいの?可動ケーブルとか調べづらいよ・・・・

分かります!!仕様書、カタログ見ても

いや、どこに書いてあんだよ!!こっちは忙しんだよ!! ってなりますよね(笑)

さんざん選定してきた筆者が導きだした答えは、、、、、

どれが可動ケーブルかは、メーカーに聞いた方が早い

これにつきます。さっさと聞いてしまいましょう。

屋外へ敷設する場合、耐熱、直射日光OKなケーブルを選定する

はい、これもよくあるパターンです。

なんだこのVVF、、、外皮なくなって被覆丸見えじゃねぇか、、、

急に目の前に被覆丸見え、人で言う「骨」丸見えみたいな状態のケーブルで戦々恐々とした経験ありませんか?

そう、これも選定ミス

基本的に言いたい事は、屋外へ敷設する場合、電柱間を渡るケーブル以外はすべて

厚鋼の配管に入れて敷設してください!!!

これにつきます。

【早見表】よく使うケーブルをまとめてみました

低圧回路の基本設計をする上で最低限以下のケーブルを押さえておくと見積精査をしやすいと思います。

種類   名称       絶縁体シース(外皮)    規格 用途価格目安備考
CV架橋ポリエチレンビニルケーブル架橋ポリエチレンビニル低圧
高圧
電力
屋外可
屋内盤一次
340円/m
※22sq-8C
2sq~選べる
CVT(3C)トリプレックス架橋ポリエチレンビニルケーブル
(単心3本よりあわせ)
架橋ポリエチレンビニル低圧
高圧
電力
屋外可
屋内盤一次
350円/m
※22sq-8C
CVに比べ①軽量②同サイズでも許容電流量が大きい③曲げやすい
※14sq~のみ
CVV制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル
C:Control-useの意
CVVS:シールド付き
ビニルビニル低圧
屋内
FA機器
制御用
200円/m
※1.25sq-8c
※CVT,CVと関係性なし
VCTビニルキャブタイヤケーブルビニルビニル低圧FA機器
移動用
282円/m
※1.25sq-8c
柔軟性・耐水性・難燃性あり、移動用
低圧のみ使用可
VCTFより被覆が厚い
VCTーFビニルキャブタイヤコードビニルビニル低圧
※AC300v以下
FA機器
移動用
212円/m
※1.25sq-8c
耐燃性あり
VCTより被覆が薄い
VVFビニル絶縁ビニルシースケーブル
三文字目=F:平型 R:丸形
ビニルビニル低圧
30A程度
照明・コンセント
一般家庭
150円/m
※2.0sq-3c
直射日光・耐久性に弱い
IV
または
KIV
indoor PVC
K:柔軟性 I:絶縁電線 V:ビニル電線
ビニル低圧屋内17円/m
※1.25sq-単芯
盤内でよく使うバラ線
IV=単線なので硬い(照明回路に多い)
KIV=撚線なので敷設しやすい
※あくまで目安となります。

上の表を見て 「・・・で結局どう違うの?」 ってなりますよね。

次に各ケーブルの比較についてです。

比較結果を簡単に

大まかな違いだけを抑えたい方は以下をご参考いただければ、イメージしやすいのではないでしょうか。

 1)CVとCVTの比較

   これは施工のしやすさと判断しています。

   CVTの方がより合わせてある為、施工がしやすいです。

   ただしCVTは14sq以上になる為、14sq未満はCVにする必要があります。

   また移動しない場所、制御盤の一次側等の電源に使用される事が多いと感じています。

 2)CVVについて

   CVとCVTに名前が似ていますが、表の通り全く用途が違いますのでご注意ください。

 3)VCTとVCT-Fについて

   低圧AC600v以下で使用する場合はVCT。

   AC300v以下で使用する場合はVCTより価格の安いVCT-Fと言った感じです。

   移動用に使用される事が多いです。

 4)CV,CVTとVCT,VCT-F

   制御盤、分電盤の電源であればCV,CVT、

   モータ等の配線であればVCT,VCT-F。

 5)VVF

   FA機器では無く、照明・コンセント向けの回路に使用されます。

  

 他にも色々な種類のケーブルがありますので、

 自分なりにまとめてみると分かりやすいかもしれません。

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます。

こんな記事書いてほしい、こんなこと知りたいという内容がありましたらコメントお願いします!

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