この記事の対象になる方
- 配線敷設に関わる方
- 保全・生技・制御設計・施工担当者
- ケーブル選定の基準が分からず迷う方

ケーブル選定で迷う原因は、種類の多さではなく「何を基準に選ぶか分からない」 ところにあります。
「ツイストペアシールド」「より対+遮へい」はこれを指す
「ツイストペア」=より対形(2本で1ペア)
「遮へい」=シールド
「ツイストペアシールド」=「より対型」+「シールド」
この記事では、代表例として「JKEV」「JKEV-S」や「JKPEV-S」「KNPEV-SB」など、現場で通じやすい呼称で記載します。
(遮へい(シールド)の表現として「S」「SB」などが型式に付く場合が多いです)
早見表:「用途」+「型式」+「メーカー例」
まずは “ここを押さえよう” の一覧表。
| 用途(信号) | 現場の状況 | 推奨ケーブルの方向性 | 代表例(型式・呼称) | メーカー例(実在) |
|---|---|---|---|---|
| 接点入力/出力(DI/DO)、リレー、ランプ類 | ノイズ原は付近になさそう、固定配線 | 一般的な制御ケーブル | CVV | フジクラ 住電 |
| 接点でもノイズ多め(INV多い、溶接あり等) | 動力が近い、盤内密集 | シールド付の制御ケーブル | CVVS | 矢崎 フジクラ 住電 |
| アナログ(0-10V) | 長距離、熱源近い、UVWが近い | ツイストぺアシールドを優先 | JKEV-S/JKPEV-S/KNPEV-SB/KFPEV-SBなど | JMACS 住電 フジクラ 伸興電線 三菱電線工業 長岡特殊電線 など |
| アナログ(4-20mA) | 長距離、熱源近い、UVWが近い | ツイストぺアシールドを優先 | JKEV-S/JKPEV-S/KNPEV-SB/KFPEV-SBなど | 同上 |
| パルス/高速(エンコーダ等) | INV近い、ノイズ厳しい | まずENCメーカーの指定を確認/なければツイストぺアシールドを優先 | JKEV-S/JKPEV-S/KNPEV-SB/KFPEV-SBなど | 同上 |
| シングルエンド伝送(RS-422等) | 配線短い、盤内 | ツイストぺアシールドを優先 | JKEV-S/JKPEV-S/KNPEV-SB/KFPEV-SBなど | 同上 |
| 差動電装(RS-422,RS-485等) | 配線長い、盤〜盤 | ツイストぺアシールドを優先 | JKEV-S/JKPEV-S/KNPEV-SB/KFPEV-SBなど | 同上 |
| 構内通信/警報/放送 | 一本で接続先が大量 | ツイストぺアシールドを優先+全線心着色識別 | FCPEV/FCPEV-S | JMACSなど |
| 産業用Ethernet(固定) | FAでよくあるEtherNet/IP等、盤〜盤 | 仕様に合うEthernetケーブル(Cat5以上) | KETH-SB/P IETP-SB | 倉茂電工 OMRONなど |
| 産業用Ethernet(可動) | 可動部、油、曲げ | 仕様に合う可動用Ethernetケーブル(Cat5以上) | KETH-Z IETP-SBSF | 倉茂電工 OMRONなど |
※ケーブル選定は取引のある商社・メーカへ必ず確認をとりましょう
なぜその選定になるのか
「ケーブル選定は“信号の種類”と“ノイズ環境(特にUVWとの距離)”で8割決まる」
この考え方で、迷いを最小化できるように整理します。
早見表の中にある「現場の状況」欄は、“現場で壊れやすいポイントです。
ここを読むと、応用が効くようになります😊✨
1)「原因不明の信号不良」のよくある正体
現場で「なぜか変」「再現性が薄い」「夏だけ荒れる」みたいな信号不良は、だいたい次が多いです。
「ツイストペアでない」
「シールドがない(または活かせていない)」
「動力、特にインバータ出力U/V/Wと同じルート」
この3つが重なると、ケーブルを太くしても、端子を締め直しても、症状が消えないことがあります。
だから表では、アナログ・通信・高速信号ほど「対より(ツイスト)」「遮へい」を強めに推奨しています。
2)接点(DI/DO)はCVVでも成立しやすい理由
接点信号は「ON/OFF」の世界なので、多少ノイズが乗っても判定が崩れにくいです。
そのため、ノイズ環境が普通で固定配線なら「CVV」が成立しやすい。
ただし例外があります。
「インバータが多い」「動力が近い」「盤内が密集」
この条件だと、接点でも誤動作やチャタリングのような症状が出ることがあります。
そのときに効くのが「CVVS」「CVV-S」などの遮へい付です。
「接点でもノイズが多いなら遮へいを足す」というのが表の意図です。
3)アナログは「ツイストペアシールド」に寄せるべき理由
アナログ(0-10V、4-20mA)は “小さな変化がそのまま値の変化” になります。
接点と違って、ノイズが数%乗るだけで制御結果に影響します。
なぜツイストが効くのか
ツイストペアは、外来ノイズを「2本に同じように乗せて相殺しやすくする」考え方です。
特に盤〜盤や長距離だと、効きやすい。
なぜシールドが効くのか
シールドは、ノイズを拾う前に“受け止めて逃がす”考え方です。
アナログが荒れる現場では、ツイストだけで足りず、シールドまで必要になることが多いです。
「アナログでノイズに悩んだら、まず ツイストペアシールド に寄せる」
だから表では、0-10Vも4-20mAも「JKEV-S」「JKPEV-S」「KNPEV-SB」など シールド付き の呼称を載せています。
4)4-20mA(電流)が「盤〜盤」に強い理由
盤〜盤で荒れやすい原因は、だいたい「誘導ノイズ」「温度影響」「ルートの悪さ」です。
この区間を0-10Vで引き回すと、条件が悪いほど不利になります。
「盤〜盤の区間で荒れた経験があるなら、その区間は電流(4-20mA)で送るを徹底する」
ケーブル選定としては、電流にしてもツイストペアシールドをセットにすると勝率が上がります。
(結局“ルートがノイズ源に近い”が一番効くので、ケーブル単体だけで勝ちにいかない発想です)
5)通信(RS-485など)は「ツイストペア」が基本になる理由
通信は、信号の立ち上がりや差動のバランスが重要で、ツイストペアの効果が出やすいです。
長距離になるほど「ツイストペア」が基本になります。
「通信で不安定なら“ツイストペアのケーブルではない”が最初の疑いどころ」
ノイズが厳しい場合は、そこに「シールド」を足す、という順番が分かりやすいです。
(通信はケーブルだけでなく、終端抵抗や配線ルールも一緒に整えると安定します)
6)エンコーダ等の高速信号は「メーカー指定」が強い理由
エンコーダや高速パルスは、ノイズだけでなく “波形品質” が重要になります。
この領域は、ケーブルの静電容量や構造、推奨配線が機器側で決まっていることが多いので、
「まずメーカー指定、それが無いならツイストペアシールドへ寄せる」
という順番が事故りにくいです。
すぐ使える現場チェック(トラブル時の最短手順)
原因不明の信号不良が出たときは、まずここからでOKです。
- 「ツイストペア(対より)になっているか」
- 「シールド(遮へい)があるか」
- 「動力、特にU/V/Wと同配管・並走していないか」
- 「熱源の近くを通っていないか(夏だけ悪いなら特に)」
- 可動なら「可動用ケーブルか」
「ツイストペアではない」「シールドがない」は、ノイズ・信号不良の“よくある原因”
ここを潰すだけで直ることも多いです!!
よくある失敗(ケーブルを変えても直らないパターン)
- 動力(特にインバータ出力U/V/W)と同じ配管に入れている
- 可動なのに固定用ケーブル
- 熱源の近くにアナログ配線がある

「ケーブルだけ高級にしてもルートが同配管(環境が悪い)だと負ける」
ここは現場で差が出ます。
まとめ
- 接点はCVVが基本、ノイズが多いならCVVS/CVV-Sへ
- アナログ・通信は「ツイストペア」+「シールド」が基本、
- 盤〜盤で荒れた経験があるなら「その区間は電流(4-20mA)で送る」
- 可動は固定と別。可動用型式を使う
本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。



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