RLC並列回路の計算をわかりやすく解説|抵抗・コイル・コンデンサがある交流回路の考え方(図解あり)

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この記事でわかること
  • RLC並列回路でコイルとコンデンサの電流が打ち消し合う理由
  • 抵抗、誘導リアクタンス、容量リアクタンスを含む並列回路の計算方法
  • RLC並列回路の各枝電流と全体電流の求め方

この記事の対象になる方

  • 交流回路でコイルとコンデンサが同時に出てくると混乱する方
  • 生産技術、保全、設備設計、電気設計で電気の基礎を学びたい方
  • RLC並列回路を感覚的にも理解したい方

はじめに

これまで、コイルの性質、コンデンサの性質、そしてRLC直列回路について解説してきました。

RLC直列回路の解説はこちらの記事をご覧ください↓


ここまで来ると、次に気になるのはこれですよね。

抵抗とコイルとコンデンサが全部並列になったら、どう考えればいいのか。

今回は、交流回路の中でも直列回路と同じように混乱しやすい、RLC並列回路についてわかりやすく解説します。
混乱しやすいと言いつつも、考え方の芯は直列回路と同じです。

ポイントはたったひとつ。

コイル電流とコンデンサ電流は向きが逆なので、打ち消し合う。

直列の場合は、コイルとコンデンサの電圧が逆向きでしたね。
並列の場合は、電流が逆になります。

ここが腹落ちしていると、RLC並列回路も一気に理解しやすくなります。

RLC並列回路は「電流の差」で考える

ここからは、図も入れながら理解していきましょう。

下図のように、抵抗R、コイルXL、コンデンサXCを並列にしたとき、各枝には同じ電圧Vがかかりますよね。
つまり、電圧の時間軸は同じという意味です。

しかし、流れる電流は枝(IL、IR、IC)ごとに違います。

その理由はこうです。

  • 抵抗の電流は電圧と同相
  • コイルの電流は電圧より90°遅れる
  • コンデンサの電流は電圧より90°進む

つまり、コイル電流とコンデンサ電流は、電流ベクトルで見たときに上下反対方向の成分になります。
ここで復習の記事を載せておきます。


抵抗とコイルの並列回路の計算方法はこちら↓

抵抗とコンデンサの並列回路の計算方法はこちら↓


RLC並列回路では、まず

合成電流ILC = IC – IL

を求めていき、全体の電流Iを算出する流れになります。

コイルは下向き、コンデンサは上向き。だから足し算ではなく引き算になります。

例題で理解しよう

今回の例では、下記の値を前提に電流Iを計算していきましょう。

  • 電源電圧 = 100V
  • コイル抵抗(誘導リアクタンスXL)= 12Ω
  • コンデンサ抵抗(容量リアクタンスXC) = 4Ω
  • 抵抗 R= 10Ω

まず各枝電流を求める

それぞれの抵抗値と電圧を、右側の電流ベクトルの計算式に入れていきましょう。

抵抗Rの電流IR

IR = V / R
IR = 100 / 10
IR = 10A

コイルXLの電流IL

IL = V / XL
IL = 100 / 12
IL ≒ 8.33A

コンデンサXCの電流IC

IC = V / XC
IC = 100 / 4
IC = 25A

ベクトル図では、下図のようになりますね。

コイルとコンデンサの電流を合成する

コイル電流ILとコンデンサICは反対向きなので、差し引きで考えます。

つまり、今回の回路ではコンデンサ成分のほうが強いため、回路全体としては容量性の回路になります。

もし逆に IL のほうが大きければ、回路全体としては誘導性になります。

今回の回路では、コイル電流よりコンデンサ電流のほうが大きいので、全体としては進み電流の回路です。

全体電流Iを求める

抵抗電流IRは横方向、合成電流ILCは縦方向なので、全体電流Iは直角三角形の斜辺になります。

よって三平方の定理より式は

I = √(IR² +ILC²)

数値を代入すると、

I = √(10² + 16.67²)
I = √(100 + 277.8)
I = √377.8
I ≒ 19.44A

したがって答えは、

全体電流は約19.4A

となります。

途中式まとめ

今回の例題を一気に整理すると、流れは次の通りです。

まず、各枝電流を求める

IR = V / R = 100 / 10 = 10A
IL = V / XL = 100 / 12 ≒ 8.33A
IC = V / XC = 100 / 4 = 25A

次に、電流を合成する

ILC = IC – IL
ILC = 25 – 8.33
ILC = 16.67A

最後に、全体電流を求める

I = √(IR² + ILC²)
I = √(10² + 16.67²)
I = √377.8
I ≒ 19.44A

よって、

RLC並列回路の全体電流は約19.4A

です。

なぜ全部を足し算してはいけないのか

学習していると、何度も立ち止まってしまうのがこのポイント。

数値だけを見ると、

10A、8.33A、25A を全部足して 43.33A かな、と思いたくなります。
しかし、これは交流回路では正しくありません。

理由は、向きが違うからです。
「向き」という表現が理解しづらいかもしれませんが、交流は波があるので、時間ごとに値が変わります。
コイルとコンデンサの性質によって、進む・遅れるという時間的変化が生じます。
ここでは、その時間的変化を「向き」と表現しています。

つまり

  • IR は電圧と同相の成分
  • IL はマイナス90°の成分
  • IC はプラス90°の成分

よって、同じ一直線上に並んでいないのです。

なので、まずはコイルとコンデンサの合成電流を差し引きし、そのあとに抵抗電流と合わせて三平方の定理で求めます。

交流回路では、電流の大きさだけでなく位相の向きまで含めて考える必要があります。

この回路はコイル寄り?コンデンサ寄り?

今回の値では、

  • IL ≒ 8.33A
  • IC = 25A

なので、コンデンサのほうがかなり強いです。
したがって、回路全体としては容量性です。

このとき全体電流は、電圧より進み気味の回路になります。

もし逆に、

  • IL > IC

であれば、誘導性の回路になります。
その場合はコイルの影響が強くなり、今度は電流が遅れ気味になります。

つまりRLC並列回路は、

  • IC が大きいとコンデンサっぽい
  • IL が大きいとコイルっぽい
  • IC と IL が等しいとちょうど打ち消し合う

という見方ができます。

まとめ

抵抗、コイル、コンデンサをすべて並列につないだRLC並列回路では、コイルの電流とコンデンサの電流が打ち消し合います。

RLC並列回路のポイントは次の通りです。

  • 並列回路では電圧が共通
  • まず各枝電流を求める
  • コイル電流とコンデンサ電流は逆向きなので差し引きする
  • 最後に抵抗電流と合わせてベクトル計算から全体電流を求める

このベクトル計算を理解するだけで、交流回路に対する知識が広がります。

今までなんとなーく交流回路に携わっていたあなた。
この機会にぜひ、もう一段深くまで踏み込んでみてはいかがでしょうか。


本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。

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