はじめに
家でルーターからPCを有線接続したいとき、
Wi-Fiアクセスポイントを増設したいとき、
通信機器同士をネットワークでつなぎたいとき——
ほぼ必ず必要になるのが LANケーブル ですよね。
でも、
「とりあえずそこにあったケーブル刺しとけばいいでしょ?」
とテキトーに選んでしまうと…
- 契約している光回線の速度が出ない
- ルーターもHUBも最新なのに、なぜか遅い
- 1Gbps契約なのに体感が全然そんな感じじゃない
なんてことになります。
実は、LANケーブルを選ぶときの基本は「通信速度(カテゴリ)」を見ること。
この記事では、
- カテゴリ(CAT)の違い
- UTP / STP / 二重シールドの違い
- PoE対応ケーブルの考え方
を、初めての人でもわかるように会話チックに解説していきます。
LANケーブルの「カテゴリ(CAT)」とは?
まず、LANケーブルの話で絶対に出てくるのが CAT5 / CAT5e / CAT6 / CAT6A / CAT7… みたいな「CAT(カテゴリ)」の数字です。
「CATって何??」「どれ選べばいいの??」ってなりますよね。
ざっくり言うと:
CAT(カテゴリー)=そのケーブルが対応できる“性能のグレード”
数字が大きくなるほど、
- 対応できる通信速度が速くなる
- 対応できる周波数帯域(MHz)が広くなる
と思ってOKです。
今使っているLANケーブルのカテゴリを確認する方法
「うちのケーブル、何CATなんだろ?」と思ったら、
ケーブルの被覆(外側のジャケット部分)をよく見てみてください。
だいたいこんな感じの表記が入っています👇
CAT5e UTPCAT6 STPCAT6Aなど
「CAT」+数字の表記 を探せばOKです。
LANケーブルの規格と通信速度の早見表
では、本題の「どのカテゴリだとどのくらいの速度なの?」という話です。
よく使われるLANケーブルの規格を、ざっくり表にまとめるとこんな感じです👇
| 規格(カテゴリ) | 通信速度の目安 | Ethernet規格の例 | 伝送帯域の目安 |
|---|---|---|---|
| CAT5 | 最大 100Mbps 程度 | 10BASE-T / 100BASE-TX | 100MHz |
| CAT5e | 最大 1Gbps(1000Mbps) | 上記 + 1000BASE-T | 100MHz |
| CAT6 | 最大 1Gbps(10Gbpsは短距離) | 〜 1000BASE-T / 条件付きで10GBASE-T | 250MHz |
| CAT6A | 最大 10Gbps | 10GBASE-T | 500MHz |
| CAT7 | 最大 10Gbps(余裕あり) | 10GBASE-T | 600MHz〜 |
※細かく言うと条件はいろいろありますが、家庭レベルではこのくらいの感覚でOKです。
光回線1Gbps契約なら「CAT5e以上」が必須ライン
例えば、家で 1Gbpsの光回線 を契約しているとします。
このときに、
- 古いCAT5(100Mbpsまで)のLANケーブルを使ってしまうと
→ どう頑張っても1Gbpsは出ません。
なので、
迷ったら最低でも CAT5e 以上を選ぶ
というのを覚えておくと安心です。
機器側の規格も、ちゃんと見ておこう
ルーターやスイッチングHUB、PCのLANポートには、だいたいこんな表記があります。
100BASE-TX(最大100Mbps)1000BASE-T(最大1Gbps)
基本的には、
機器の中でいちばん“古い(遅い)”規格に全体が引っ張られる
と思ってください。
- HUBは1Gbps対応
- PCも1Gbps対応
- でもケーブルだけCAT5で100Mbps止まり
みたいなことも普通に起こります。
UTP・STP・二重シールドの違い
次に、LANケーブルの種類としてよく出てくる
- UTP
- STP
- 二重シールド
のお話です。
「なんか聞いたことあるけど、正直よくわからん…」
という人向けに、ざっくりイメージで説明します。
そもそも「TP」って何?
TP は Twisted Pair(ツイストペア) の略で、
2本の銅線をペアにして、ねじっている構造
のことを指します。
なぜねじるのかというと、
- 外からのノイズ(外乱電磁ノイズ)
- お互いの線同士が出すノイズ
の影響を減らすためです。
「ねじねじしておくとノイズに強くなる」と覚えておけばOKです。
① UTP:Unshielded Twisted Pair(非シールド)
UTPは シールドが付いていないLANケーブル のことです。
- 外被(被覆)の中に、銅線がツイストされたペアが何本か入っている
- その周りにアルミ箔や編組シールドは無し
というシンプルな構造。

家庭用のLANケーブルは、ほとんどこれ(UTP)です。
- 安い
- 取り回しがしやすい
- 一般家庭レベルなら、ノイズの問題もほぼ気にならない
という理由で、まずは UTPが基本 と考えてOKです。
② STP:Shielded Twisted Pair(シールド付き)
STPは名前の通り、シールド付きのツイストペアケーブル です。
UTPとの違いは、
- ツイストペアの外側にシールド(アルミ箔や編組)を巻いている
- そのぶん、ノイズに強くなる
というポイントです。

主に、
- ノイズ源(インバータ、モータ、電源ライン)が近い
- 工場のFA機器まわり
- ちょっとシビアな通信環境
などで使われます。
③ 二重シールドケーブル
さらに一歩進んだのが 二重シールド。
- 各ペアごとにシールド
- さらに全体にもシールド
みたいな構造で、ノイズ耐性をゴリゴリに上げたタイプ です。

FA機器のマニュアルで、
「LANケーブル推奨:CAT5e 二重シールド」
みたいな書かれ方をしていることがありますが、
その場合は 素直に二重シールドのLANケーブルを選定した方が無難 です。
ちなみに現場の電気系の人が、
これをノリで「にじゅっしー」とか呼んでたりします(笑)
PoE対応LANケーブルってなに?
もうひとつ、最近よく出てくるキーワードが PoE(Power over Ethernet) です。
LANケーブル1本で、「データ」と「電源」をまとめて送れる仕組み
と思ってください。
- 天井に付けた無線LANアクセスポイント
- 監視カメラ(IPカメラ)
などでよく使われます。
PoEで気をつけるポイント
PoEを使うときは、以下の3つが 全部PoE対応 になっている必要があります。
- PoE対応HUB(スイッチングHUB)
- PoE対応機器(APやカメラなど)
- 必要なカテゴリ以上のLANケーブル(CAT5e以上推奨)
「HUBはPoE対応なのに、ケーブルがボロボロの古いCAT5」という場合、
思ったように電源が供給できなかったり、通信が不安定になったりします。
失敗しないLANケーブルの選び方まとめ
最後に、この記事の内容を サクッとおさらい しておきます。
✅ 基本は「カテゴリ(CAT)」で選ぶ
- 光回線1Gbps契約なら → CAT5e以上は必須
- 「とりあえず迷いたくない」なら → CAT6を選んでおけば無難
- 10Gbps環境を見据えるなら → CAT6A or CAT7
✅ 機器側の規格もちゃんと見る
100BASE-TXなら最大100Mbps1000BASE-Tなら最大1Gbps
ルーター・HUB・PC・LANケーブルの中で
一番“遅い”やつに全体が合わせられてしまう
この罠にハマらないように、
古いケーブルをそのまま使い回していないかチェックしてみてください。
✅ UTP / STP / 二重シールドの使い分け
- 一般家庭 → UTPでOK(CAT5e or CAT6)
- ノイズが多い工場・FA機器 → STP or 二重シールド
- マニュアルに「二重シールド推奨」とあれば素直に従う
✅ PoE環境なら、PoE対応もセットで確認
- PoE対応HUB
- PoE対応機器
- CAT5e以上のLANケーブル
最低限この3つをそろえましょう。
ちょっと見直すだけで、通信が一気に快適になるかも?
「HUBは最新だし、有線でつないでいるのに通信が遅い!」
という場合、犯人はLANケーブル かもしれません。
- 昔適当に買ったCAT5のケーブルをそのまま使っている
- よくわからず棚の奥から出てきたケーブルを流用している
そんな方は、ぜひ一度、
ケーブルのカテゴリ表記(CAT〇〇)をチェックしてみてください。
CAT5eやCAT6に変えるだけで、
「あれ?なんか急に速くなった!」となるケースも普通にあります。
この記事が、LANケーブル選びで迷わないための
“ちょっとした指さしガイド”になればうれしいです😊



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