この記事の対象になる方
- 交流回路でコンデンサの考え方が苦手な方
- 生産技術、保全、設備設計で電気の基礎を学びたい
- 抵抗とコンデンサの計算を感覚的にも理解したい方
はじめに
どうも皆さんこんにちは!末端エンジニアのにこらです。
コンデンサを使用した回路、皆さんは計算できますか。
たまに見返して「これってどうやって計算するんだっけ?」と思うことはありませんか?
普段あまり使わないし、「まあいいや」「俺は電験を取る予定もないし、、、、」となっていませんか?
そうではなく、電気・制御に関わるならみんな知っておこうよ!ってことです。
「コンデンサとか機器の中で使われてるだけだし、自分では使わないでしょ・・・」と思っていると、あとで痛い目を見ることがあります。
今後使わないとは断言できないからです。電気制御に関わっている以上、押さえておきたいところです。
というわけで今回はコンデンサについて行ってみましょう!

交流回路の計算で、抵抗とコイルのところで一度つまずき、その次に待ち構えているのがコンデンサです。
もう大クラッシュってあなた、大丈夫です。
できる限り分かりやすく解説します。
コイルでは電圧が先、電流が後でした。
ではコンデンサではどうなるのか。
ここが逆になるので、頭の中が一気にこんがらがりやすくなります。
前回はコイルの直列回路と並列回路の計算方法について解説しました。
今回はコンデンサです。
コンデンサを理解するコツは、とてもシンプルです。
コンデンサは、まず電流が流れて電荷がたまり、その結果として電圧が生まれる部品です。
この順番が全てであり、これを理解しておけば間違えることも少ないでしょう。
コイルの直列回路の計算方法についてはこちらをご覧ください↓
コイルの並列回路の計算方法についてはこちらをご覧ください↓
コンデンサの性質とは何か
コンデンサは、電荷をためる部品です。
電荷がたまることで、両端に電圧が発生します。
つまり、コンデンサでは
- いきなり電圧ができるのではない
- まず電流が流れる
- その結果として電荷がたまる
- そのあと電圧が現れる
という順番になります。
このため、交流回路では
コンデンサでは電流が先、電圧が後
という関係になります。
この関係は、ICEと覚えると整理しやすいです。

ICEで、コンデンサでは電流 I が先、電圧 E が後
です。
コイルの ELI とちょうど逆なので、セットで覚えるとかなり頭に残ります。
なぜコンデンサでは電圧が90°遅れるのか
ここも、参考書では結論だけ書かれていて、感覚が置いていかれやすい部分です。
コンデンサの基本式は次です。
i = C × dv/dt
この式が言っているのは、
コンデンサに流れる電流は、電圧の変化の速さに比例する
ということです。
つまり、コンデンサでは電圧そのものよりも、電圧がどれだけ変わろうとしているかが重要になります。
電圧が変化すると、その変化に応じて電流が流れます。
逆に、電圧が一定で変化しなければ、理想的には電流は流れません。
交流では電圧が正弦波で変化します。
その正弦波を微分すると、位相が90°進んだ波形になります。
そのため、
- 電圧が基準
- 電流はその90°先を動く
という関係になり、
コンデンサでは電流が電圧より90°進む
言い換えると、電圧が電流より90°遅れる
となります。
理論的に話しましたが、要は
コンデンサは電荷を溜めないと電圧が掛からない。だから電圧が遅れる。
ってことを覚えておきましょう。
まずは直列回路から見ていこう

今回もまずは直列回路から見ていきます。
直列回路では、回路が一本道なので流れる電流はどこでも同じです。
つまり、変化するのは各部品にかかる電圧ですよね?
抵抗の電圧は電流と同相です。
一方、コンデンサの電圧は電流より90°遅れます。(さっき書いた電荷溜まってからだから電圧が遅れるってやつです)
そのため、直列回路では電圧をベクトルで考えます。
抵抗の電圧は横方向
コンデンサの電圧は下向き方向
として考えると、全体の電源電圧はその合成ベクトルになります。
直列回路で三角形になるのは、電流が共通で、各部品の電圧に位相差があるからです。
例題|抵抗とコンデンサの直列回路の電流を求める
では、例題をやってみましょう。
コンデンサと抵抗を直列にして、それぞれ
- コンデンサ XC = 12Ω
- 抵抗 R = 10Ω
- 電圧 V = 100V
の場合、電流はいくつになるのでしょうか。
コイルのときと同じく合成抵抗Z(インピーダンス)から求めよう!!

RC直列回路では、抵抗と容量リアクタンスは上図のとおり直交成分なので、次の式になります。
Z = √(R² + XC²)
数値を代入すると、
Z = √(10² + 12²)
Z = √(100 + 144)
Z = √244
Z ≒ 15.6Ω
次に電流を求めます。
I = V / Z
I = 100 / 15.6
I ≒ 6.41A
したがって答えは、
電流は約6.4Aです。
直列回路でなぜ単純に足せないのか
初めて見る方は、10Ωと12Ωだから22Ωではないのか、と感じる方も多いと思います。
ですが交流では、抵抗とリアクタンスは向きの違う成分です。
抵抗Rは電流と同相の成分
容量リアクタンスXCは電流に対して90°遅れた電圧成分
なので、一直線上の足し算にはなりません。
直列回路では、電圧のベクトルを合成して考えるため、三平方の定理を使います。
RとXCは同じΩでも中身が違うため、交流では単純加算できません。
次に並列回路も見ていこう
次に並列の場合も見ていきましょう。
並列回路では、各枝にかかる電圧が同じです。
つまり、変化するのは電流です。
抵抗Rの電流は電圧と同位相です。
コンデンサの電流ICは電圧より90°進みます。
そのため、並列回路では電流をベクトルで考えます。
抵抗電流は横方向
コンデンサ電流は上向き方向
として考え、全体電流はその合成ベクトルになります。

並列回路では電圧が共通で、枝電流に位相差があるため、電流の三角形で考えます。
例題|抵抗とコンデンサの並列回路の電流を求める
では、同じ条件で例題をやってみましょう。
- コンデンサ XC = 12Ω
- 抵抗 R = 10Ω
- 電圧 V = 100V
の場合、全体の電流I(A)はいくつになるのでしょうか。

抵抗の枝電流を求める
まず、抵抗に流れる電流です。
IR = V / R
IR = 100 / 10
IR = 10A
コンデンサの枝電流を求める
次に、コンデンサに流れる電流です。
IC = V / XC
IC = 100 / 12
IC ≒ 8.33A
全体の電流を求める
抵抗電流とコンデンサ電流は90°ずれているので、ベクトル合成します。
I = √(IR² + IC²)
I = √(10² + 8.33²)
I = √(100 + 69.4)
I = √169.4
I ≒ 13.0A
したがって答えは、
全体の電流は約13.0Aです。
こうゆうことですよ↓

なぜ並列でも単純な足し算ではないのか
抵抗の電流10Aと、コンデンサの電流8.33Aをそのまま足して18.33Aにしたくなるかもしれません。
ですが、交流では電流にも向きがあります。これもコイルと同じことよ!
抵抗電流は電圧と同じ向き
コンデンサ電流は電圧より90°進んだ向き
なので、同じ一直線上の量ではありません。
そのため、全体電流は直角三角形の斜辺として求めます。
交流の並列回路では、枝電流の大きさだけでなく位相も考えることが重要です。
コイルとの違いも整理しておこう
ここで、コイルとの違いも整理しておくとより理解しやすくなります。
コイル
- ELI
- 電圧が先
- 電流が90°遅れる

コンデンサ
- ICE
- 電流が先
- 電圧が90°遅れる

この違いがあるため、ベクトル図の向きも逆になります。
コイルでは遅れる方向
コンデンサでは進む方向

このイメージを持てるだけでも、計算式が暗記ではなく意味のあるものに見えてきます。
交流回路はベクトル図で理解しよう!!
交流回路は、式だけ追いかけると急に難しくなります。
ですが、ベクトル図で考えるとかなり整理しやすくなります。
そしてベクトルで考えないといけないのは共通ではない成分のことです。
RC直列では電圧の三角形(電流は同じ)
RC並列では電流の三角形(電圧は同じ)
この2つを図で理解できると、なぜ三平方の定理になるのかが理解しやすくなると思います。
まとめ
コンデンサは、電荷をためることで電圧を作る部品です。
そのため、交流ではまず電流が流れ、そのあとに電圧が追いかける関係になります。
つまり、
コンデンサでは電流が電圧より90°進む
言い換えると、電圧が90°遅れる
です。
コンデンサの理解で大切なのは、
- ICEで覚える
- コンデンサでは電流が先
- 直列では電圧をベクトルで考える
- 並列では電流をベクトルで考える
この流れです。
本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。




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