はじめに
FA設備でセンサ、変換器、インバータ、PLCのアナログ信号を扱うときに「0-10V」「4-20mA」「1-5V」のどれを選べばいいか迷う方向けの記事です。
保全、生技、制御設計、施工、機器メーカーの方が「現場で詰まない」ための判断基準を、経験談込みで整理します。
この記事で分かること
- 「0-10V」「4-20mA」「1-5V」の強み弱みと、選び方の結論
- 「長距離」「暑い」「インバータ周り」でアナログがふらつく理由と対策
- 「0-10Vしかない」「1-5Vしか受けない」でも詰まない逃げ道
まず結論(迷ったらこれだ!!)
「盤間またぐ」「ノイズ強い」「現場が暑い」なら、最優先は「4-20mA」
「0-10V」はシンプルかつ標準装備が多い、よって盤内での送信であればOK!!
「1-5V」はレガシー対応で出番があるが、盤間は「4-20mAで送って受け側で1-5V化」が強い
一般に「0-10Vは電圧降下やノイズの影響を受けやすい」「4-20mAは長距離でも信号劣化しにくくノイズに強い」と説明されます。
筆者の経験談「しんどかったアナログふらつきPart1」
ここは、私が一番しんどかったケースです。似た環境の人はかなり参考になると思います。
ある設備で「インバータの周波数をアナログで制御」していました。しかも「長距離」かつ「現場が暑い」という条件。すると、アナログ値が「かなりふらつく」現象が出ました。
最初は「負荷の変動かな」と疑いました。でも、他の要素が何も変わっていないのにおかしい。現場の見え方としては、こうでした。
- モータの回転数が「徐々に」変わっている
- 急にドンと変わるというより「ゆっくり動く」
- だから余計に気づきにくい
そこでマルチメータでロギングしてみたら、電圧が「緩やかに変動」しているのが見えて確信しました。
「アナログで周波数制御をするなら、盤間は確実に4-20mAにしよう」
この経験で、私の中では結論が固まりました
なぜこうなるかを一言でいうと、電圧信号は「配線抵抗」「温度」「ノイズ」「基準0Vの揺れ」の影響が積み上がりやすいからです。
筆者の経験談「しんどかったアナログふらつきPart2」
私は過去に、設備の状態を把握するために「傾向監視」で出力を大量に監視していました。
現場に付けた圧力計、回転計、温度など、さまざまな信号を「PLC」または「データロガー」に取り込んで、トレンドで見ていたんですね。
ところが夏になると、ある時期から波形が明らかにおかしくなりました。
- 波形が「湾曲」している
- やたらとノイズが多く「ギザギザ」している
- そして一番怖いのが「何が正解なんだろう」と思うような波形になってくる
「夏になると波形が怪しくなる」
「でも完全に壊れているわけでもない」
だから判断が難しくて、現場が一番消耗する
このとき厄介なのは、瞬間的にドンと変わるわけではなく、ゆっくりズレるように見えることがある点です。
結果として「センサが悪いのか」「配線が悪いのか」「ノイズなのか」「本当に設備状態が変化しているのか」が分からなくなり、現場は迷子になります。
「傾向監視をしていると、ふらつきは見える」
「でも見えた瞬間に、原因切り分けが地獄になる」
だから最初から事故りにくい方式を選びたい
この経験から、私は盤間でアナログを扱うなら「4-20mA」を第一候補にするようになりました。
長距離、ノイズ、暑さなどの条件が揃うほど、電圧信号より電流信号のほうが安定しやすいケースが多いからです。
最適を決めるのは「信号の種類」ではなく「条件」
どれが最適かは、ほぼこの3つで決まります。
1)距離(盤から盤へ送信か)
2)ノイズ環境(インバータ、モータ、溶接、電源が近いか)
3)受け側の仕様(PLC・機器の入力端子が電圧のみか、電流も受けられるか)
早見表(用途別おすすめ)
| 条件 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 盤間・長距離・ノイズ強い・夏場がきつい | 「4-20mA」 | 電流伝送は長距離で強く、ノイズに強い設計思想がある |
| 近距離・盤内・簡単にやりたい | 「0-10V」 | 標準装備が多く使いがち。距離とノイズでハマりやすい |
| 受け側が「1-5V指定」 | 「1-5V」 | 盤間は4-20mAで送って受け側で1-5V化が堅い |
| 断線も見つけたい | 「4-20mA」 | 出力0=4mAなので0mAは断線 |
「4-20mA」が強い理由(FAで一番おすすめ!!)
1)長距離とノイズに強い
4-20mAは「電流」で情報を運ぶので、配線抵抗が増えても「電圧の落ち方」ほど信号値が崩れにくい設計になりやすいです。長距離・ノイズ環境で採用されやすいのはこのためです。
「盤間」「インバータ近傍」「暑い」
この3条件のどれか一つでも当てはまったら、まず4-20mAを使う
2)断線を見分けやすい
4-20mAは「ゼロでも4mA」が流れる思想があり、断線などで0mA側に落ちた異常を見つけやすいとされます。
「0-10V」が向いている場面(ただし条件つき)
0-10Vは対応機器が多く、構成が単純で扱いやすい一方、長距離になると電圧降下や外来ノイズ、基準0Vの揺れで値がふらつきやすいとされます。
「0-10Vは短距離で強い」
「長距離で雑にやると、だいたいハマる」
特にインバータ周りは高周波ノイズが強く、さらに暑い現場だと「抵抗値の変化」や「機器側のドリフト」も重なりやすく、ゆっくりズレる形で現象が出ることがあります。私が気づいたのもこのパターンでした。
「1-5V」はいつ使う?結論「仕様合わせ」で強い
1-5Vは「単体で最強」というより、次の2パターンで出番が多いです。
1)受け側が「1-5V入力」指定
古い指示計、記録計、既設仕様などで「1-5Vしか受けない」ケースがあります。
2)盤間は4-20mAで送り、受け側で1-5Vにする
ここは超実務で効きます。
「1-5Vしか受けない」
それなら「盤間は4-20mA」で送って「受け側に250Ω」をかませる
理由は単純で、250Ωに4-20mAを流すと電圧がこうなります。
- 4mA×250Ω=1V
- 20mA×250Ω=5V
つまり「1-5V」になります。
「0-10Vしかない」でも大丈夫(変換の逃げ道)
「0-10Vしかないって?安心してください」
「盤内に変換器を置いて、盤間は4-20mAで送る」が堅い
この手の信号変換器やアイソレータが得意なのが「株式会社エムジー(旧:エム・システム技研)」です。社名変更も公式に案内されています。
製品としても、0-10V、1-5V、4-20mAなどの入出力仕様を持つ信号変換器がラインナップされています。
現場での考え方はこうです。
- 現場機器が「0-10V」しか出せない
- 盤内で「0-10V→4-20mA」に変換して、盤間は4-20mAで送る
- 受け側(PLCや指示計)に合わせて、必要なら再変換する
これで「長距離」「ノイズ」「暑い」でも一気に安定しやすくなります。
配線とケーブル選定(ここが実は勝負)
アナログは「信号方式」より「配線の作法」で差が出ます。
「アナログが不安定なとき、原因はだいたい配線」
「信号方式を変える前に、ルートと取り回しを疑う」
最低限おすすめの基本はこれです。
- 信号と戻りは「ペア」で扱う(戻りを別ルートにしない)
- インバータ二次側やモータ線と「並走しない」
- どうしても並走するなら距離を取り、交差はできるだけ直角
- シールドを使うなら「接地の方針」を決めて統一する(現場ルール化)
よくある失敗(この2つで9割)
失敗1「0-10Vを長距離で引いてフラフラ」
原因は「電圧降下」「ノイズ誘導」「基準0Vの揺れ」が多いです。
失敗2「ツイストペアシールド使ってない」
これは信号方式の話ではありませんが、ノイズを舐めないでください。
盤間が長いほど「ノイズによる影響」とそれによるダメージが大きいので、まずは信号を安定させること
まとめ
迷ったら「盤間は4-20mA」
「0-10Vしかない」は盤内で変換してから送ればいい
「1-5Vしか受けない」は4-20mAで送って受け側で250Ωを使えばいい
本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。


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