この記事の対象になる方
- 業務フロー、運用フローの書き方が分からないすべての人
- システムと人の動きをどう表せばよいか分からない人
- システム・購買・生技・保全・製造・品証でフローを書きたい方
- 営業だけど技術寄りのフローを書きたい方
はじめに
どうも、フローチャートの鬼、にこらです。
業務フローや運用フローを書く仕事は、システム部門だけのものではありません。
購買、製造、生技、保全、品証、営業、事務、どの部門でも、仕事の流れを整理して人に説明しなければならない場面は必ずあります。
ただ、いざ書こうとすると多くの人がつまずきます。
どの記号を使えばいいのか分からない。
人の動きとシステムの動きをどう分ければいいのか分からない。
書いてみたけれど、複雑で誰にも読まれない。
そんな経験がある方は多いはずです。
筆者はJTCの技術職として、さまざまなシステムフローや運用フローを書いてきました。

技術職だけでなく、購買、製造、管理部門など、異なる立場の方々が見ても理解できるフローを基準書に落とし込み、合意を取ってきた経験があります。
その中で強く感じるのは、分かりやすいフローは記号の多さではなく、整理のうまさで決まるということです。
業務フローは、きれいに描くことよりも、誰が見ても迷わず読めることが最優先です。
今回は、購買システムと発注フローを例にしながら、実務で使いやすい業務フローのテンプレと考え方をまとめます。
業務フローのテンプレはこれだ!!
※アップして見てください。解説は別項目で記載します。

このテンプレで大事なのは、フローの美しさではなく、誰が何をして、どこで判断し、どこでシステムが動くのかが一目で分かること。
また業務フローの例として発注フローを挙げた理由は、人の判断とシステム処理の両方が登場し、さらに承認や差し戻し、再申請など、業務フローに必要な基本要素がひと通り入っているからです。
登場人物も5人登場します
このように列を分けて並べるだけで、誰の仕事なのかが一気に見やすくなります。
このフローのポイントを解説
業務フローを書くとき、凝った記号をたくさん使いたくなる気持ちは分かります。
ですが、最初はむしろ逆です。できるだけ少ない記号で成立させることを意識した方が、圧倒的に読みやすくなります。
使っている記号はなんと2つだけ
今回のテンプレで基本として使う記号は、たった2つです。
処理
まずは処理です。みんな大好き、ただの四角です。

この四角は、人が行う作業にも、システムが行う作業にも使えます。
たとえば、以下のような動きは全部この四角で表現できます。
- 発注依頼を入力する
- 承認する
- 発注データを登録する
- 発注書を自動発行する
- 仕入先へ送信する
つまり、何かが動く、進む、実行されるのであれば、基本は四角で十分です。
ただし気を付けたいのは、別の大きな処理を呼び出すようなサブルーチン的な表現には、むやみにこの四角を使わないことです。
今回のように全体の業務の流れをまるごと書く場合は、シンプルに動作そのものを四角で表現する方が分かりやすくなります。
人かシステムかで記号を分けるのではなく、列で分ける。これだけでフローはかなり読みやすくなります。
判断
次に判断です。ダイヤ型の記号です。

これは承認可否、入力内容の不備確認、予算超過判定、在庫有無など、分岐が発生する場面で使います。
ここで大事なのは、YesとNoの向きをルール化することです。
筆者のおすすめは、下方向を通常フロー、横方向を例外フローにする書き方です。
たとえば、
- 下方向は承認
- 横方向は差し戻し
のように決めると、読み手は感覚的に理解できます。
逆に、あるダイヤでは右がYes、別のダイヤでは下がYes、さらに別の箇所では左が成功、となると、読むたびに頭を使わされます。これが地味にしんどいです。
フローは考え込ませた時点で負けです。
読んだ瞬間に分かることが大事です。
また、必ずしもYes、Noだけでなくても構いません。
質問に対する選択肢で分岐させる形でも問題ありません。
記号は2つでいいのか
結論から言うと、まずは2つで十分です。
もちろんケースバイケースで、他の記号を使う場面はあります。
たとえば、以下のような表現を入れたい場合です。
- 他のフローを呼び出す
- データを保存する
- 履歴を残す
- 外部システム連携を強調したい
このような場合は、サブルーチンやデータ保存の記号を使うこともあります。ですが、最初から記号辞典みたいなフローを書く必要はありません。
今回のように、購買システムと発注フローの全体像を示すのであれば、人やシステムの動きを四角、分岐をダイヤで書くだけでも十分伝わります。
正解はひとつではありません。
ただし、正解がないからこそ大事なのが、読み手が理解しやすい表現を優先することです。
フロー記号の正しさより、読み手の理解しやすさの方がはるかに重要です。
矢印は記号の横から出してもいい
これ、意外と気にしている人が多いポイントです。
矢印は必ず下から出さないといけない。
そう思っている方もいますが、そんなことはありません。

もちろん、縦に素直に流せるならその方がきれいです。
ですが、実務の業務フローは分岐も合流も多く、全部を下方向だけで整理しようとすると、図が無駄に縦長になってしまいます。
結果として、見にくく、探しにくく、読む気が失せるフローが完成します。
そのため、コンパクトにまとまるなら横から矢印を出しても問題ありません。
大事なのは記号の出口の位置ではなく、全体として追いやすいかどうかです。

フロー図は芸術作品ではありません。
読みやすさがすべてです。
列で担当を分ける
これは何度でも言いたいポイントです。
フローは列を分けて担当を表す。これが最強です。

たとえば購買システムの発注フローなら、以下のように列を分けます。
- 発注部署の担当者
- 発注部署の担当者の上司
- 購買部の担当者
- 購買部の担当者の上司
- 取引先
- 購買システム
このように列を分けて、その列の中に処理を置けば、誰がやるのかが説明なしで伝わります。
正式には、人の手作業を示すための台形記号などもあります。
ですが、実務ではそれよりも列分けの方が圧倒的に効きます。むしろ列を分けずに手作業記号ばかり使うと、誰の作業か分からなくなることがあります。
特に、システム部門以外の人も読むフローではこの考え方が重要です。
なぜなら、読み手は記号の意味を覚えたいわけではなく、自分がどこで何をするのか知りたいからです。
購買システムを使った発注フローで見る列分けの考え方
購買システム使った発注フローを例にすると、以下のように整理できます。
発注部署の担当者
- 見積を取引先から入手する
- 発注依頼に必要な情報を入力する
- 差し戻し時に修正する
発注部署の担当者の上司
- 担当者からの依頼内容を確認し承認する
- 内容不備や予算観点で差し戻す
購買部の担当者
- 発注部署から依頼内容を確認し承認する
- 内容不備があれば差し戻す
- 上司が承認したら発注をかける
購買部の担当者の上司
- 発注内容を確認する
- 取引条件や仕入先を最終確認する
取引先
- 発注書を受領する
- 納期や受注可否を返答する
購買システム
- 発注書を依頼ステップに合わせて生成する
- 承認時、自動的に関係者へ通知される
- 注文はシステムから取引先へ通知される
こうして見ると、フロー図でやるべきことは単純です。
それぞれの列に、その担当が実施する処理だけを置く。システムの自動処理はシステム列に置く。
これだけです。
人の動きとシステムの動きはどう表現するか
ここもよく迷うところです。
結論はシンプルで、人とシステムは記号で分けるのではなく、列で分けるです。
またここでの注意は人➡システムの列はランダムに置かないことです。
人の列をすべて作ったあと、最後にシステム列という考えにしたほうが見やすいです。

記号は、人の動きには人専用の記号、システムにはシステム専用の記号、と分けたくなるのですが、そこにこだわりすぎると逆に複雑になります。
筆者も台形を使って手操作を表現することがありましたが、運用・業務フローで使用している例をあまり見たことがありません。
たとえば、以下のように考えるとスッキリします。
- 依頼者が入力する → 依頼者列の四角
- システムが受付登録する → システム列の四角
- 上長が承認する → 上長列の四角
- システムが発注書を発行する → システム列の四角
この表現なら、人の操作とシステム処理が自然に並びます。
しかも読み手は、どの列で誰が動いているかを一瞬で把握できます。
列分けは担当 ➡ 最終決裁者の順に書く ※図解あり
これはなぜか。フローでブロック分けしてみましょう。

どうでしょうか。
このブロック分けの説明があるだけでもフローの理解度が変わります。
この流れを意識しフローチャートを作ってみてください。
同じフローが存在する場合は合流させる
これも見やすさに差が出るポイントです。
業務フローを書いていると、差し戻しや修正、再申請などで、同じ処理に戻る場面が必ず出てきます。そのたびに同じ処理を何度も書いてしまうと、図が一気に読みにくくなります。
そこで大事なのが、同じフローは合流させるという考え方です。
たとえば、
- 上司からの差し戻し
- 購買部担当者からの差し戻し
- 購買部上司からの差し戻し
これらが最終的に全部、依頼者の修正入力に戻るのであれば、別々に同じ箱を3回描く必要はありません。ひとつの修正処理に戻して、そこから再申請に流せばOKです。
これだけで図のサイズが小さくなり、見通しが一気によくなります。
分岐は増やしても、戻り先はできるだけまとめる。これがコンパクトで見やすいフローのコツです。
よくあるダメな業務フロー
ここで、現場でよく見る惜しい例も整理しておきます。
記号が多すぎる
見た目は立派ですが、読む側が疲れます。
記号辞典を開かないと意味が分からないフローは、だいたい現場で嫌われます。
列が分かれていない
誰の作業か分からず、会議のたびに説明が必要になります。
これはフローの意味が半減しています。
例外フローが多すぎて主ルートが見えない
まず見せるべきは通常フローです。
例外処理を盛り込みすぎると、何が基本動作なのかが埋もれます。
同じ処理を何回も書いている
修正、再申請、再確認のたびに同じ処理箱が増えると、一気に縦長・横長になります。
合流できるところは合流させましょう。
説明文が長すぎる
処理箱の中に長文を詰め込むと読まれません。
処理名は短く、必要なら注記や別資料で補足する方がよいです。
業務フローを書くときの実践的なコツ
最後に、実務で使えるコツをまとめます。
最初に登場人物を洗い出す
先に列を決めると、フロー全体が整理しやすくなります。
まずは通常フローだけ書く
差し戻しや例外は後で追加した方が破綻しにくいです。
判断条件は短く書く
ダイヤの中は一文で読める長さにしましょう。
処理名は主語+動詞で終える
何を入力する、承認する、送信する、確認する、発行する。
この形にすると見やすくなります。
1枚で見えるサイズをできるだけ意識する
大きすぎるフローは、それだけで読みにくくなります。
と言っても一枚で収まらないものばかりです。
みなさんそんな単純なシステムを使用していないはず。
ここでのポイントは1枚で印刷できるようページを意識してください。
場合によっては紙が欲しいという部署もあるはずです。
まとめ
業務フローを分かりやすく書くために必要なのは、難しい記号の知識ではありません。
大事なのは、誰が何をして、どこで判断し、どこでシステムが動くかを整理して見せることです。
今回のポイントを改めてまとめると、次の通りです。
- 基本の記号は処理と判断の2つで十分
- 人とシステムの違いは記号ではなく列で表す
- Yes、Noの向きはルール化する
- 矢印は見やすさ優先で横出しでもよい
- 同じ処理は合流させてコンパクトにする
今回は購買システムと発注フローを題材に、業務フローの基本を紹介しました。
人とシステム、承認、差し戻し、再申請、業務設計でよく出る要素が詰まっています。

フローは気合いで複雑にするものではありません。
一発で分かることこそ正義です。
読み手に優しいフローを書けるようになると、会議も減り、説明も減り、合意も取りやすくなります。
結果として、仕事そのものが進みやすくなります。
業務フローはただの図ではなく、現場を前に進めるための武器です。
本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。



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