この記事の対象になる方
- テブナンの定理が暗記になってしまっている方
- 複雑な回路を簡単に考える方法を知りたい方
- 生技、保全、設備設計で回路の基礎を学びたい方
はじめに
回路の問題を解いていると、こう思うことがあります。
この抵抗に流れる電流だけ知りたいのに、回路全体がややこしい。
もっと簡単な形にして考えられないのか。
こういうときに便利なのが、テブナンの定理です。
テブナンの定理とは、ひとことで言うと、
複雑な回路を、電圧源1個と抵抗1個の簡単な回路に置き換えて考える方法
です。
これを使うと、任意の抵抗に流れる電流や、その両端の電圧をかなり見やすく整理できます。
特に、
- 負荷抵抗に流れる電流を知りたい
- 回路の左側がごちゃごちゃしていて見にくい
- まずは簡単な等価回路にして考えたい
というときに強いです。

今回は、テブナンの定理をできるだけやさしく説明したあと、最後に例題で実際に計算していきます。
テブナンの定理とは何か
テブナンの定理は、複雑な回路を負荷から見たときに同じ働きをする簡単な回路へ置き換える考え方です。
たとえば、ある負荷抵抗に流れる電流を知りたいとします。
このとき、負荷抵抗から見た左側の回路が複雑でも、その左側全体を
- 電圧源1個
- 抵抗1個
の形にまとめられたら、とても見やすくなります。
つまり、テブナンの定理でやりたいのは、
負荷から見た回路を、もっと簡単な形に変換すること
です。
ここで大事なのは、回路全部を勝手に変えるのではなく、
求めたい抵抗から見て、残りの回路を置き換える
ということです。
なぜテブナンの定理を使うのか
テブナンの定理が便利なのは、任意の抵抗に流れる電流を求めやすくなるからです。
普通に考えると、回路が少し複雑になるだけで、
- どこに電流が流れるか
- どの式を立てるか
- どこをまとめるか
で迷いやすくなります。
でもテブナンの定理を使うと、
- 求めたい抵抗を決める
- その抵抗をいったん外す
- 残りの回路を簡単な電源+抵抗に置き換える
- 最後に抵抗を戻して計算する
という流れで整理できます。
つまり、計算そのものを一気に楽にするというより、
考え方を整理して、迷わず式を立てやすくする
のが大きなメリットです。

前置きが少し長くなりました。
早速ですが、手順を見ていきましょう!!
テブナンの定理の使い方
ここでは、実際にどのような流れで考えるのかを手順ごとに見ていきます。
手順1:求めたい抵抗を決める
まず最初にやることは、どの抵抗について知りたいのかを決めることです。
今回は、図のR3に流れる電流 I を求めたいとします。

この時点では、まだテブナンの定理っぽいことはしていません。
ただ、
今回の主役はR3である
と決めているだけです。そう認識してください!
この一歩がすごく大事です。
ここを決めないと、どこを置き換えるのか分からなくなってしまいます。
手順2:仮想の端子 a,b を設ける
次に、求めたい抵抗R3と、それ以外の左側回路の境目に仮想の端子 a,b を置きます。

この a,b は、R3から見て
ここから左側が元の回路
ここから右側が負荷R3
という境界をはっきりさせるためのものです。
つまり、
R3から見た左側回路を1つのまとまりとして扱うために、端子a,bを置く
ということです。
R3が主役と言ったのは、ここを認識してもらうためになります。
手順3:求めたい抵抗を切り離す
次に、R3をいったん回路から外します。

なぜ外すのかというと、今やりたいのは
R3から見た左側回路だけを、簡単な形に置き換えること
だからです。
R3をつけたままだと、左側回路そのものの性質が見えにくくなります。
なので、いったんR3を外して、
左側回路だけなら、a,b端子から見てどんな回路に見えるのか
を考えます。
手順4:左側の回路を R0 と V0 に置き換える
R3を外した状態で、左側の回路を
- 合成抵抗 R0
- 端子間電圧 V0
の形に変えます。

このときの意味はこうです。
合成抵抗 R0
a,b端子から見た、左側回路の抵抗成分です。
端子間電圧 V0
R3を外した状態での、a,b端子間の電圧です。
つまり、左側回路は最終的に
電圧源 V0 と直列抵抗 R0
として表せるわけです。
これがテブナン等価回路です。
合成抵抗R0、端子間電圧V0の求め方
R3を外した状態で、合成抵抗R0と端子a,b間電圧V0を求めていきましょう。

①電源を短絡し、端子a,bから見た合成抵抗R0
まずは合成抵抗 R0 を求めます。
ここでのポイントは、
理想電圧源は短絡して考える
ことです。
理想電圧源の内部抵抗は0Ωなので、抵抗を見るときには短絡して扱います。
今回の例では、電源を短絡すると、a,bから見えるのは R1 と R2 の並列になります。
よって、並列合成抵抗を求め、それをR0とします。

つまり、計算式は下記となります。

②端子a,b間の電圧V0
次に、R3を外したまま a,b 間の電圧 V0 を求めます。

このときは、左側の回路だけで閉回路ができています。
なので、その回路の電流をまず求めます。

次に、a,b 間電圧 V0 を求めます。
たとえば V2 側から見ると、
端子a,b間電圧は、V2からR2の電圧降下を引いた値
として考えられます。

ここは、後の例題の計算式でも理解していきましょう。
手順5:R3 を戻して電流を求める
ここまで来たら、最後にR3を元に戻します。

すると回路は、
- 電圧源 V0
- 抵抗 R0
- 負荷抵抗 R3
の直列回路として見られます。
ここまで簡単になれば、R3に流れる電流はすぐに求まります。

これが最後の計算式になります。
例題で実際に計算してみる

では、今回の例題を実際に最後まで解いてみます。
条件は次の通りです。
求めたいのは、R3に流れる電流 Iです。

1. 合成抵抗 R0
電源を短絡し、端子a,bから見た合成抵抗R0を求めましょう。

2. 開放電圧 V0
端子a,b間の電圧V0を求めましょう。

※R0,V0の求め方まとめ

3. R3 を戻して電流を求める

R3を戻した直列回路を計算しよう。

まとめ
テブナンの定理は、複雑な回路を電圧源1個と抵抗1個の簡単な回路に置き換える考え方です。
流れを整理すると、次の通りです。
- 求めたい抵抗を決める
- その抵抗との境界に端子 a,b を置く
- 求めたい抵抗を外す
- 合成抵抗 R0、端子間電圧V0を求める
①電源を短絡し、端子a,bから見た合成抵抗R0 を求める
②端子a,b間の電圧V0を求める - 求めたい抵抗を戻して電流を求める
この手順を押さえると、見た目がややこしい回路でもかなり整理しやすくなります。
本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。


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