インバータのアナログ指令がふらつく原因と対策|夏・長距離・0-10V・UVW並走で波形が崩れる現場実例

電気・制御
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  1. この記事の対象
  2. この記事で分かること
  3. どんなトラブルがあるの?
  4. 結論:ふらつきの主因は「配線」と「0-10Vの弱さ」が重なって起きる
  5. 1. まず確認:症状はどのタイプ?
    1. 回転数が微妙に上下する(落ち着かない)
    2. 夏だけ悪化する(暑い時期、熱源の近く)
    3. 波形がギザギザで判定不能(ロガーが荒れる)
  6. 2. ふらつきの原因(現場で多い5つ)
    1. 原因①:ツイストペアを使っていない
    2. 原因②:動力、特にドライバ二次側のU/V/Wと並走、または同じ配管
    3. 原因③:ポテンショメータ(可変抵抗)を使用している
    4. 原因④:現場が暑い(熱源の近く、空調なし)
    5. 原因⑤:0-10Vで送っている
  7. 3. すぐできる対策(効く順)
    1. 対策①:アナログ線をU/V/Wから物理的に離す(最優先)
    2. 対策②:ツイストペア(可能ならシールド)へ変更
    3. 対策③:ポテンショメータをやめる(指令源を安定化)
    4. 対策④:熱対策(熱源から逃がす、盤内温度を下げる)
    5. 対策⑤:盤〜盤の区間は電流(4-20mA)で送る(本命)
  8. 4. 0-10Vしか使えない機器でもできる「盤〜盤は電流で送る」実装パターン ※図解あり!!
    1. パターンA:送り側が0-10Vしか出せない場合
    2. パターンB:受け側が0-10Vしか受けられない場合
    3. パターンC:受け側がパラメータで1-5Vを受け取れる場合(抵抗で変換する手)
  9. 5. 筆者の現場実例:夏×長距離×アナログ指令が一番しんどい
  10. 6. まとめ:原因は5つ、対策は「上から当てる」、盤〜盤は電流を徹底

この記事の対象

この記事は、インバータ(INV)の周波数(回転数)指令を「0-10V」などのアナログ信号で行っていて、日々原因不明のノイズトラブルに悩み、休職しそうになっている保全・生技・施工・機器担当者向けの記事です。

この記事で分かること

  • ふらつきの原因を「現場で多い5つ」に絞って整理できる
  • すぐ効く対策の優先順位(離す→ツイスト→指令源→熱→電流伝送)
  • 送り側・受け側が0-10Vしか使えない場合でも「盤〜盤区間は電流で送る」具体策が分かる

どんなトラブルがあるの?

大体皆さんが悩まれてるトラブルはこちら

  • 回転数が微妙に上下して落ち着かない
  • 夏場や熱源の近くで悪化する(空調がない現場ほど顕著)
  • PLCやデータロガーの波形がギザギザで「何が正解かわからない」
  • 動力配線、特にドライバ二次側の「U/V/W」と並走、または同じ配管に入っている
  • ポテンショメータ(可変抵抗)で速度指令している

結論から言うと、アナログのふらつきは「インバータ本体の不良」より「配線条件と信号方式の組み合わせ」で起きることが圧倒的に多いです。現場で再現性があるなら、必ず潰せます。



結論:ふらつきの主因は「配線」と「0-10Vの弱さ」が重なって起きる

最初に結論です。

「アナログがふらつく原因は、だいたい “ツイストペア未使用”+“UVWと並走/同配管”+“ポテンショメータ”+“高温環境”+“0-10V送信” の合わせ技」です。

そして、改善の近道はこうです。

「盤〜盤の区間で誘導ノイズや温度ドリフトを経験しているなら、その区間は電流(4-20mA)で送るを徹底する」

0-10Vを完全否定する記事ではありません。0-10Vしか使えない制約がある現場でも、設計を一段工夫すると安定性が一気に上がります。


1. まず確認:症状はどのタイプ?

ふらつきは、だいたい以下の形で現れます。自分の現象がどれに近いか、先に整理すると早いです。

回転数が微妙に上下する(落ち着かない)

設定値付近でユラユラする、数Hz単位で上下する、圧力制御などの閉ループでハンチングが増える、など。

夏だけ悪化する(暑い時期、熱源の近く)

盤内温度が上がる、現場が暑い、空調がない、熱源(炉・モータ・ドライバ・配管)に近い、など。夏だけ悪いなら「熱とアナログの相性」が疑いどころです。

波形がギザギザで判定不能(ロガーが荒れる)

傾向監視で圧力計・回転計・温度などをPLC/データロガーに取り込むと「ギザギザ」「湾曲」「段差」が増えて、何が正しいのか分からなくなるパターン。現場ではかなり多いです。


2. ふらつきの原因(現場で多い5つ)

ここからは、現場で再現しやすい原因を5つに絞って整理します。まずはチェックリストとして使ってください。

原因①:ツイストペアを使っていない

アナログ信号は「わずかな電圧変動」でも指令が変わります。ツイストしていない線は外来ノイズを拾いやすく、波形が荒れやすい。

「アナログは“ツイストが標準”。ツイストじゃない時点でふらつきが起きても不思議ではない」

原因②:動力、特にドライバ二次側のU/V/Wと並走、または同じ配管

ここが最重要です。インバータ出力(U/V/W)やドライバ二次側はノイズ源そのもの。アナログ線が近いだけで不利になります。

「アナログ線をU/V/Wと同じルートで走らせる=ノイズを拾いに行っている」

並走距離が長いほど影響が出やすく、同一配管・同一ダクト・同一ケーブルトレイは特に厳しいです。

原因③:ポテンショメータ(可変抵抗)を使用している

ポテンショメータは手軽ですが、安定性という点では弱点が多いです。

  • 接点の劣化、汚れ、微振動で値が揺れる
  • 熱で抵抗値が変わる(特に夏・熱源近く)
  • 長距離配線でさらに不利
  • 0-10Vの基準(戻り)に影響されやすい

「ポテンショメータは“指令源として弱い”。安定させたいなら置き換え候補」

原因④:現場が暑い(熱源の近く、空調なし)

夏に悪化するなら典型です。盤内温度上昇、電源の状態変化、変換器のドリフト、ケーブルや端子台の状態変化などが重なると、波形が荒れてきます。

「夏・熱源・空調なしでアナログが不安定になるのは珍しくない」

原因⑤:0-10Vで送っている

0-10Vは便利ですが、長距離やノイズ環境に弱い側です。

  • 誘導ノイズが乗ると、そのまま指令が揺れる
  • 長距離になるほど影響が出やすい
  • 熱や配線状態の変化が「指令の変化」に見えやすい

「0-10Vは“条件が良いときは使えるが、条件が悪いと一気に崩れる”」


3. すぐできる対策(効く順)

対策は「上から当てて改善したら止める」が最短です。全部やる必要はありません。

対策①:アナログ線をU/V/Wから物理的に離す(最優先)

最初にやる価値が一番高いです。

  • U/V/Wとの並走をやめる
  • 同配管をやめて別配管へ
  • 交差が必要なら直角で短く
  • ケーブルベアやダクトは分離(難しければ距離を最大化)

「ルートを変えただけで、波形が別物になる」ことが普通にあります。

対策②:ツイストペア(可能ならシールド)へ変更

  • まずはツイストペア化
  • 可能ならシールド付きへ
  • 端末処理を丁寧に(雑だと効果が出にくい)

「アナログは“ツイストが最低ライン”。ツイストにできないなら理由が必要」

対策③:ポテンショメータをやめる(指令源を安定化)

ポテンショメータは不安定要素になりやすいので、安定を狙うなら置き換えが効きます。

  • PLCのアナログ出力に移行
  • 調節計や信号変換器で指令を作る
  • どうしても使うなら「盤内に置く」「配線を最短」「熱から遠ざける」

「可変抵抗を現場に置いて長距離で引く」のが、いちばん揺れやすい構図です。

対策④:熱対策(熱源から逃がす、盤内温度を下げる)

  • 熱源の近くから信号機器(変換器・端子台・ポテンショメータ)を逃がす
  • 盤内換気、ファン、配置の見直し
  • 空調がないなら、せめて熱だまりを作らない

「夏だけ悪い」は、配線ノイズと熱ドリフトの複合が多いです。

対策⑤:盤〜盤の区間は電流(4-20mA)で送る(本命)

ここからが今回の追記の核です。

「盤〜盤のルートで誘導ノイズや温度ドリフトをした経験から、その区間は電流で送るを徹底する」

送り側・受け側が0-10Vしか使えない場合でも、やり方があります。


4. 0-10Vしか使えない機器でもできる「盤〜盤は電流で送る」実装パターン ※図解あり!!

現場は理想通りにいかないので、制約別にパターン化します。

パターンA:送り側が0-10Vしか出せない場合

やることはシンプルです。

「送り側と同じ盤にアイソレーター(変換器)を入れて、0-10Vを4-20mAに変換し、盤〜盤は4-20mAで送る」

ねらいは「0-10Vの弱点を盤外に出さない」ことです。盤の中で電流化してしまえば、長距離区間での誘導ノイズや温度影響に強くなります。

こんな感じ↓

パターンB:受け側が0-10Vしか受けられない場合

これも同じ考え方です。

「受け側機器と同じ盤にアイソレーター(変換器)を入れて、盤〜盤で送ってきた4-20mAを0-10Vへ変換し、受け側機器へ入れる」

盤〜盤を電流で送って、最後の短距離だけ電圧に戻す。これが現場で効く確率が高い構成です。

こんな感じ↓

パターンC:受け側がパラメータで1-5Vを受け取れる場合(抵抗で変換する手)

これは実務的に便利です。条件が合えば部品点数を減らせることがあります。

「送り側は4-20mAで送り、受け側端子に250Ωの抵抗をかませ、1-5Vに変換する」

理屈は単純で、電流×抵抗=電圧です。

  • 4mA × 250Ω = 1V
  • 20mA × 250Ω = 5V

結果として、4-20mAが1-5Vに変換されます。受け側が1-5V入力対応なら、盤〜盤は電流の強さを使いながら、受け側は電圧入力で受けることができます。

「長距離は4-20mAで強く送り、受け側は抵抗で1-5Vとして受ける」

こんな感じ↓

注意点としては、受け側入力の仕様(入力条件、配線方式、許容)に合わせる必要があるので、最終的には機器仕様の確認が安全です。


5. 筆者の現場実例:夏×長距離×アナログ指令が一番しんどい

ここは経験談として残します。今回の原因と対策に直結するため、読者の納得感が上がります。

「一番しんどかったのは、インバータの周波数をアナログで制御している状況で長距離かつ現場が暑いという状況。アナログがかなりふらついた」

「傾向監視で出力をたくさん監視していた。現場に付けた圧力計や回転計、温度等のさまざまなものをPLCまたはデータロガーに取り込んでいたのだが、夏になると湾曲している、やたらとノイズが多くギザギザしている、何が正解なんだろうという波形を見たことがある」

この状況で大事なのは、制御を詰めるより先に「信号の信用」を取り戻すことです。

「アナログが信用できない状態で、制御だけ良くしようとすると沼る」

だからこそ、盤〜盤区間は電流伝送に寄せる、U/V/Wから離す、ツイストにする、指令源を安定化する。この順番が効きます。


6. まとめ:原因は5つ、対策は「上から当てる」、盤〜盤は電流を徹底

最後に要点です。

  • ふらつきの原因は主にこの5つ
    • ツイストペア未使用
    • 動力、特にドライバ二次側のU/V/Wと並走、または同じ配管
    • ポテンショメータ使用
    • 高温環境(熱源の近く、空調なし)
    • 0-10V送信
  • 対策は効く順にこれ
    • アナログ線をU/V/Wから離す(同配管をやめる)
    • ツイストペア(可能ならシールド)へ変更
    • ポテンショメータをやめて指令源を安定化
    • 熱対策(熱源から逃がす、盤内温度を下げる)
    • 盤〜盤区間は4-20mAで送る
  • 0-10Vしか使えない制約があっても、盤〜盤は電流にできる
    • 送り側が0-10Vしか出せないなら、送り側盤で0-10V→4-20mAへ変換して送る
    • 受け側が0-10Vしか受けられないなら、受け側盤で4-20mA→0-10Vへ戻して受ける
    • 受け側が1-5V対応なら、4-20mA+250Ωで1-5Vを作って受ける

「盤〜盤ルートで誘導ノイズや温度ドリフトを経験したなら、その区間は電流で送るを徹底する」
これを“現場ルール”として持っておくと、同じ沼にハマりにくくなります。


本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。

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