この記事の対象になる方
- 制御盤や設備の24V電源を選定する生技・保全・電気設計担当者
- PLC、HMI、センサ、バルブなどの負荷をまとめて扱うエンジニア
- 電源容量を何となくで決めており、失敗を減らしたい現場担当者
はじめに
皆さんこんにちは。末端エンジニアのにこらです。
今日は、普段なんとなく使っている24V電源について、どうやって選定するんだっけ?という話を書いていこうと思います!!
工場設備や制御盤では、24V電源は空気のような存在です。

空気というか酸素というか、
まぁ普段気にしていないかもしれないけど、それが無いと生きられないよってことです。
PLC、リモートI/O、HMI、各種センサ、リレー、ソレノイドバルブ、通信機器など、気づけば盤内のかなり多くの機器が24Vにぶら下がっていますよね。
皆さんの中には端子空いてるから使えるやんって思っている方、実はいるんじゃないですか?
「24Vはそんなに電流値ないだろうから大丈夫大丈夫!」って思ってたりして・・・
ところが実際の現場では、24V電源の選定ってかなり雑に決まっていることがあります。
とくに古めの盤にありがちなパターンです。
「いつからあるんだこのパワーサプライ・・・・」と、筆者も保全の応援に行ったときになったことがあります。
意外と電源の仕様ってテキトーな担当者がテキトーに決めてたりします。
「とりあえず5A」「前回も10Aだったから今回も10A」「盤に入るサイズがこれだったからこれ。」これ全てノーです。
ただこの決め方、動くときは動きます。
しかし、動いていたはずの設備が夏場に不安定になったり、起動時だけPLCが落ちたり、ソレノイドをまとめて動かした瞬間にHMIが再起動したりするのも、だいたい容量選定が怪しいです。
24V電源を甘く見て選定すると、後で泣くのは現場と保全です
24Vパワーサプライの選定で見るべきなのは、単純な容量だけではありません。
突入電流、同時動作、盤内温度、瞬停、将来増設、冗長化まで見て初めて、現場で困らない電源になります。
この記事では、そんな24V電源の選定方法を、FA設備の実務に寄せて分かりやすく整理します。
24V電源とは
24V電源は、一般的にはAC100VやAC200Vを入力し、DC24Vを安定して出力する電源です。
制御盤の中では、いわば盤内機器の心臓部です。
あっ、呼ばれ方は人それぞれだと思いますが、呼び方は主に2つだと思ってます。
- パワーサプライ
- スイッチング電源
正直どっちでもいいと思ってます。(笑)
この24V電源の容量が不足するとどうなるか。
症状は地味だったりしますが、現場は派手に不具合が出ます。
つまり、24V電源の選定ミスは、設備全体の信頼性低下・設備トラブルに直結します。
24V電源の選定で確認すべき4項目
1. 負荷の定格電流を洗い出す
最初にやるべきことは、ぶら下がる機器を全部洗い出すことです。
ここを雑にすると、以降の検討は全部ずれます。
代表的な対象は以下です。
- PLC 各ユニット
- リモートI/O
- HMI
- 各種センサ
- 安全機器
- リレー
- 電磁弁、ソレノイドバルブ
- 通信機器
- 小型ファンや補助機器
そして、それぞれの消費電流をカタログや仕様書から確認して合計します。
例えばこんなイメージです。
- PLC 各ユニット
CPU:0.6A
I/O:0.8A - HMI:0.7A
- センサ10台:0.03A × 10 = 0.3A
- 通信機器:0.2A
- ソレノイド6個:0.08A × 6 = 0.48A
合計すると 3.08A です。
ここで終わりにすると、いかにも4A電源でいけそうに見えます。
しかし、現場はそんなに素直ではありません。
2. 余裕率を考える(安全率で考える)
現場では、合計電流に対してある程度の余裕を持たせるのが基本です。
目安としては、まず次の考え方が使いやすいです。
一般的な安全率:1.5~2.0倍
先ほどの例で合計が3.08Aなら、1.5倍で約4.5Aです。
この場合、実務上は5Aクラスを選ぶのが自然です。
ただし、ソレノイドの同時投入が多い、起動時の山が高い、夏場の盤内温度が高い、将来I/Oを追加しそう、こういった条件があるなら、最初から10Aクラスまで上げる判断も十分ありです。
容量が大きすぎることを極端に恐れる必要はありません。
むしろ、ギリギリ選定のほうが後から高くつくことが多いです。
3. 温度ディレーティングを確認する
なにそれ?ってなったかもしれませんが、「熱が高ければ処理できる電流値は当然低くなる」ということです。
各社、下のような温度ディレーティングのグラフを出しているのでご確認ください。
引用元:OMRON パワーサプライ 共通の注意事項 CSM_Powersupply_CN_J_2_2 より
カタログの出力電流は、気持ちのいい環境での数字であることが少なくありません。
上のグラフでいうところの0℃~50℃が負荷率100%で使用できる=気持ちのいい環境という意味です。
言いたいことは本来5A使用できるところが60℃だった場合、上のグラフより
負荷率70% × 5A = 3.5A
つまり3.5Aまでしか使用できないという意味になります。
実際の制御盤の中は、夏場になるとかなり暑いです。
特に以下の条件は要注意
- 盤内にインバータやサーボアンプがある
- 盤の換気が弱い
- 設置場所の周囲温度が高い
- 電源の上下左右に十分な放熱スペースがない
- 複数電源を密着実装している
- 盤クーラが設置されていない
このような場合、温度上昇により出力を満足に出せなくなることがあります。
それが温度ディレーティングです。
盤内機器の選定は、カタログ値ではなく、盤の中で何A出せるかで考えるのが本筋です。
電源本体だけでなく、設置方向やクリアランス条件も必ず確認したいところです。
4. 計算式はこれです
筆者的に下記計算式で満たせると考えています。
容量 = 24V × 合計定格電流(A) × 安全率1.5 × 負荷率(温度ディレーディング)
例:24V × 5A × 1.5 × 70%(60℃) = 126W
➡メーカーカタログから「126W」を満たすパワーサプライを選定!!240WでOK!!
最後に:24Vスイッチング電源の実務的な選定手順を整理
ずらずらっと書いたので、ここで整理しましょう!
①負荷一覧を作る
盤内の24V負荷を全部並べます。
PLCユニット(CPU、I/O、Etherenet)、HMI、センサ、バルブ、通信機器まで漏れなく拾います。
②定格電流を合計する
各機器の定格電流を単純に足して、平常時に必要な電流を出します。
③安全率を掛ける
通常は1.5~2.0倍程度を目安に検討します。
④温度ディレーティングを確認する
盤内温度、設置スペース、周囲条件を見て、実使用条件で足りるかを確認します。
現場でよくある失敗例
1. PLCのカードが増設されることを想定していない
初期に選定した際にPLCはパワー、CPU、I/Oのみしか想定していなかった。
こうゆうパターンは結構あるので、8ユニットくらいは使用する想定で考えましょう。
2. 今の5Aで動いているから問題なしと判断した
動いていることと、余裕があることは全くの別。
夏場、経年、増設で一気に不安定になります。
3. 盤内温度を見ていない
カタログでは10Aでも、実盤ではそこまで出せていないケースです。
特に密閉盤や高温環境では要注意です。
まとめ
24Vスイッチング電源の選定で最重要なのは、
「合計電流ぴったりで選ばないこと」
PLCやHMIが問題なく動いていても、夏場の温度上昇や他ドライバの使用率次第で簡単に限界を超えます。
選定の基本は、まず負荷を全部洗い出し、定常電流を合計し、安全率で余裕を持たせることです。
その上で、温度ディレーティング、必要なら将来増設まで検討する。
これが実務では王道になります。
本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。



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