この記事の対象になる方
- 生産技術という職種が気になっている方
- 製造、保全、生産技術の違いがよく分からない方
- 未経験から製造業の技術職を目指したい方
はじめに
どうも、末端エンジニアのにこらです。
今回は「生産技術とは何か?」について解説していきたいと思います。
製造業の職種を調べていると、生産技術という言葉を見かけることがあると思います。
ただ、正直なところ、「生産技術」という言葉だけでは、どんな仕事をしているかイメージしにくい職種です。
製造のように直接ものを作るわけでもなく、保全のように設備修理だけをするわけでもありません。
また、品証のように品質だけを管理するわけでもありません。
さらにややこしいのが、
「会社によって仕事内容もかなり違います。」

筆者自身も製造業の中で生産技術として、電気・制御寄りの仕事をしてきました。
「生産技術なのに電気・制御寄りの仕事をするの?」と思う方もいるでしょう。
生産技術はかなり幅が広い仕事です。
というわけで今回は、生産技術とは何をする仕事なのか。
製造や保全とは何が違うのか。
必要なスキルは何か。
このあたりを現場目線で紹介していきます。
それでは行ってみましょう!!
生産技術とは
生産技術とは、製品を効率よく、安定して作るための仕組みを考える仕事です。
もう少し簡単に言うと、「どうやって作るか」を考える仕事です。
製品を作るためには、材料、設備、人、作業手順、品質確認、検査方法など、いろいろな要素が必要になります。
ただ図面通りに製品を作ればよいわけではありません。
安全に作れるか。
品質は安定するか。
作業者に負担はないか。
設備で自動化できるか。
コストは合うか。
納期に間に合うか。
こういったことを考えながら、生産ラインや工程を作っていくのが生産技術です。

つまり生産技術は、製造現場と設計部門の間に立つような仕事です。
設計された製品を、実際の工場でどう作るか。
ここを具体化していく役割になります。
生産技術の仕事内容

先ほど伝えた通り、生産技術の仕事内容は会社によってかなり違います。
ここでは、代表的な仕事を紹介します。
新規設備の導入(自動化・省人化)
新しい製品を作るとき、生産量を増やすとき、工程を自動化したいときなどに、新しい設備が必要になることがあります。
新規設備の導入では、単に設備を購入して設置するだけではありません。
自動化案の検討からメーカー選定、基準書の作成、導入後の評価まで、さまざまな仕事があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自動化案の提案 | 将来計画に向けた工程の自動化案や省人化案を作成し、戦略へフィードバックする。 |
| 技術開発 | 自動化ツールが工程を自動化できるスペックを満たしているかを確認する。また、目標達成に向けて必要な技術開発を行う。 |
| メーカー選定 | 内製か外製かを含めて検討し、コスト削減案や目標達成に向けたメーカー選定を行う。 |
| 基準書の作成 | 製造、品質保証、保全を含め、導入後に設備を管理していくための基準書を作成する。 |
| スケジュール作成 | 運用開始に向けたトライ案を作成し、関係部署とスケジュールを共有する。 |
| 導入後の評価 | 不具合リストを作成し、安定稼働までに不具合を改修する。また、いつ・どの部署が対応するかを定例で共有する。 |
技術開発であっても、基準書の作成であっても、フローチャートを大量に作成する場合があります。
そのため、物事を常にロジカルに捉え、それをさまざまな立場の人に説明する力が必要になります。
生産ラインの立ち上げ
生産技術の大きな仕事の一つが、生産ラインの立ち上げです。
新しい設備を入れたら終わりではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| スケジュール作成 | 量産に入る日程を生産管理と調整し、そこから逆算してラインテストを完了させる計画を作成する。 |
| 関係部署との共有 | 製造、品質保証、保全、生産管理など、関係部署が準備する内容を整理し、スケジュールを共有する。 |
| 目標値の管理 | KPIを作成し、量産開始までに達成すべき項目を数値で管理する。また、未達項目については関係部署をフォローする。 |
| 課題の吸い上げ | 製造現場で起きた課題を、関係部署と一緒に現地現物で確認する。課題を整理し、PDCAサイクルを回しながら改善する。 |
工程改善
既存の生産ラインを改善するのも生産技術の仕事です。
例えば、作業時間の短縮、不良の低減、作業負荷の軽減などを目的に、現場で発生しているムダや課題を見つけて改善していきます。
現場では、ちょっとしたムダが積み重なって大きなロスになることがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作業時間の短縮 | 部品を取りに行く距離や作業手順を見直し、ムダな動きを減らして作業時間を短縮する。 |
| 不良の低減 | 不良が発生している工程を確認し、原因を調査する。ポカヨケや検査方法の見直しにより、不良を減らす。 |
| 作業負荷の軽減 | 作業姿勢や工具の使いやすさを確認し、作業者の負担を減らす。必要に応じて治具や補助具を検討する。 |
| 検査時間の短縮 | 目視検査や測定作業に時間がかかっている場合、検査方法の見直しや画像検査、自動測定などを検討する。 |
| 設備停止の低減 | 設備がよく止まる原因を確認し、保全や製造現場と連携して改善する。停止要因を見える化し、再発防止につなげる。 |
| 現地現物での確認 | 机の上だけで考えず、実際に現場を見て、作業者の動きや設備の状態を確認する。現場で見つけた課題を改善につなげる。 |
工程改善も、課題を吸い上げ、PDCAサイクルを回しながら改善していく形になります。
生産技術は、机の上だけで考えても良い改善はできません。
実際に現場を見て、作業者の動きや設備の状態を確認し、関係部署と共有しながら改善していくことが重要です。
生産技術に必要なスキル
生産技術に必要なスキルはかなり幅広いです。

かなり幅広い分、筆者は社内のコンサルと呼んでいます。
本人の意思次第で、興味のある分野を深く掘り下げ、スペシャリストを目指すことも可能です。
機械の知識
設備を扱うため、機械の知識は重要です。
モーター、コンベア、シリンダ、ベアリング、ロボット、治具などの基本が分かると、設備の動きが理解しやすくなります。
電気・制御・ITの知識
生産技術では、電気や制御、ITの知識も必要になる場面があります。
例えば、生産管理システムと製造現場をどのようにシステムで連携するか、サーバーをどのように管理していくか、このような場面ではITのスキルが必要となり、ITを統括する部署との折衝も必要になります。
また、設備がどのようなシステムであれば製造現場は使いやすいか検討する場面では、制御のスキルも必要です。
制御機器とはPLC、センサー、インバータ、サーボ、タッチパネルなどのFA機器のことであり、工場設備でよく使われます。
皆さんがよく知るKEYENCEは、これらの制御機器メーカーのことです。
また、生産技術として自動化設備に関わるなら、ラダープログラムや電気図面を読めるとかなり重宝されます。
品質の知識
生産技術は、ただ作れればよいわけではありません。
安定して良品を作る必要があります。
そのため、不良率、工程能力、検査方法、ポカヨケ、トレーサビリティなど、品質に関する知識も必要になります。
報告や会議でも「3σで○○mmのバラつきがあります」といった内容が飛び交うため、不良率や工程能力を理解する過程で、統計学の基礎を学ぶ機会もあります。
現場との調整力
生産技術は、現場、保全、品質保証、設計、設備メーカーなど、いろいろな人と関わります。
そのため、技術だけでなく調整力もかなり大事です。
調整力=コミュニケーション能力のことです。
どれだけ良い設備を入れても、現場が使いにくければ意味がありません。
また、勝手に様々なことを進めてしまうと、関係部署から「聞いていない」としてプロジェクトが進まなくなる場合もあるでしょう。
現場の声を聞きながら、現実的な落としどころを探す力、そしてロジカルにまとめ上げてプレゼンする能力が必要になります。
プレゼンのスキル
生産技術はプロジェクトを進める上で、いかに上位層やさまざまな立場の人たちに理解してもらい、承認をもらうことができるかが重要になります。
業務の規模によっては役員層へ報告する場面もありますので、以下のスキルは身に着けておくと良いでしょう。
- パワーポイントやエクセルでの資料作りスキル
- ロジカルな説明スキル
生産技術に向いている人
生産技術に向いているのは、ものづくりの仕組みに興味がある人です。
単純に製品を見るだけでなく、「どうやって作っているのか」「なぜこの設備が必要なのか」「もっと楽に作る方法はないか」と考えられる人は向いていると思います。
また、現場に出るのが苦にならない人も向いています。
生産技術は、パソコンの前だけで完結する仕事ではありません。
実際に設備を見たり、作業者に話を聞いたり、トラブル対応をしたりします。
人によりますが、筆者の感覚では9割デスク、1割現場くらいのイメージです。
そのため、現場で考えることが好きな人には合いやすい職種です。
逆に、決まった仕事だけを淡々とこなしたい人には、少々大変かもしれません。
生産技術は学べる範囲がとても広いです。
その分、いろいろな経験や知識を身につけることができる職種でもあり、転職市場でも重宝される職種となります。
未経験から生産技術を目指すには
未経験から生産技術を目指す場合、まずは生産技術で重宝される技術スキルを習得することから始めましょう。
- 機械
- 電気、制御、IT
こういったことを知っていると、生産技術の仕事でもかなり役立ち、転職への可能性も上がりやすくなります。
また、保全や製造として入社後、生産技術へステップアップする人もいます。
製造で現場を知る。
保全で設備を知る。
そこから生産技術で工程や設備導入に関わる。
このようなキャリアは、生産技術の中でも重宝される傾向にあります。
まとめ
今回は、生産技術とは何か、仕事内容や必要なスキルについて解説しました。
生産技術は、製品を効率よく、安定して作るための仕組みを考える仕事です。
新規設備の導入、生産ラインの立ち上げ、工程改善、自動化、省人化など、仕事内容はかなり幅広いです。
また、保全が「今ある設備を止めない仕事」だとすると、生産技術は「設備や工程を作る・改善する仕事」と言えるでしょう。
さまざまなスキルを身につけることができ、製造業の中でも市場価値の高い職種であることは間違いありません。

製造業で技術を身につけたい方、設備導入・自動化・改善に興味がある方は、生産技術を目指してみるのはいかがでしょうか。
本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。


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