はじめに
どうもこんにちは、末端生技エンジニアのニコラです。
今日は
「フローチャート、毎回なんとなく書いてるけど、これで合ってんの…?」
というすべての生技・保全・ITエンジニアの方向けに、
TOPIX100に入るような大手JTCメーカーでも
「正直これだけ使えれば十分通用するよ」
という、「フローチャートの最小セット」を紹介します。
先に大事なことを言っておきます。
フローチャートに「正解」はありません。
ですが、私はこれまで
- 運用フロー
- システムフロー
- 仕様書向けフロー
をこのルールで散々作ってきて、
基準書として発行されてもクレームゼロでやってこれました。(クレーム = 記号に対してのクレームね)
その経験ベースで「ちゃんと使えるやつ」だけ知りたい方だけ、読み進めてください。
前提:フローチャートの「正解」はない。でも「軸」はあった方がいい
最初にはっきりさせておきます。
- 正解のフローチャート記号セット
- 正解の書き方
なんてものは、存在しません。
ただし、現場で運用するうえでは
- 記号の種類を増やしすぎない
- 誰が見ても同じ意味に読み取れる
- 「誰向けに書くのか」をはっきりさせる
この3つが揃っていると、フローチャートは一気に“仕事で使える資料”になります。
この記事で紹介するのは、
- 運用向けフロー
- システム設計向けフロー
- 仕様書向けフロー
全部で共通して使える、最小限の6記号セットです。
しかも、Excelの図形だけで完結できます。
ベースはExcelでOK。まずはこの6つだけ覚えよう
ここから、実際に使う記号を紹介していきます。
すべてExcelの図形で用意できるものだけです。
1. 開始・終了(ターミナル)

- よくある「角丸の四角」のやつです。
- 結論から言うと、あってもいいけど、運用フローでは無くてもいいです。
「え、それ省いちゃうの!?」と思うかもしれませんが、
- 基準書や運用マニュアルで
開始・終了をいちいち書いていると、
フローチャートが無駄に縦長になるんですよね…。
なので私の運用フローでは、開始・終了は省略することが多いです。
一方で、システムフローでは使うことが多いです。
- バッチ処理の開始
- 外部システムからのトリガ
- 処理全体の終端
などがきちんと分かったほうがいい場面では、ちゃんと書きます。
2. 判断(ダイヤ)

- みんな大好きダイヤ形の「判断」記号です。
- 運用フロー、システムフロー、動作フロー、全部で頻出。
中に入れる文言は、例えば「人がいるか」で分岐が
- Yes / No
- OK / NG
どちらでもOKです。
大事なのは ルールを統一すること。
または
中の文言を「選択」、分岐が「保存する/保存しない」という書き方もOK!!
さらに、個人的にかなりおすすめしているルールがこれです。
- ポジティブな流れ(Yes/OK) → 下方向へ
- ネガティブな流れ(No/NG) → 横に分岐させる
これだけで、
- パッと見で「うまくいくパス」と「エラー処理のパス」が分かる
- エラー側の処理だけ横に伸ばしてまとめやすい
というメリットがあります。
3. 処理(長方形)

- 言うまでもなく、一番使う記号です。
- 「○○を実行」「○○を設定」「○○をON」など、ほぼ全部これ。
たまに、
- 手操作=台形記号で分ける
という教科書通りの記述を見かけますが、
私はあえて台形は使いません。
理由はシンプルで、
- 記号の種類が増えるほど、読む側に負担が増える
- 手操作か自動かは、横の列を変えることで表現できる
からです。
例えば、
- 左の列:人(オペレータ)がやる操作
- 右の列:設備・システムが自動でやる処理
というように分ければ、
記号は同じ「処理」でも、誰のアクションか一目で分かります。
4. 定義済み処理(サブルーチン)

ここから少し技術寄りです。
- 手帳アイコンっぽい「二重線の四角」のやつです。
- 意味としては「サブルーチン」「まとめた処理を呼び出す」です。
サブルーチン=
「パッケージ化したプログラム(または処理のまとまり)を呼ぶ」と考えてください。
FAの現場なら、
- 「画像処理Prg」
- 「搬送シーケンス」
- 「異常ログ処理」
など、細かく書くとめちゃ長くなる部分を定義済み処理としてまとめるとスッキリします。
システムフローや制御仕様書では、
この記号を使いこなせると一気に“できる人のフロー”っぽくなります。
5. 磁気ディスク(サーバー、HDD、SSD、NAS)

- 横向きの円柱のようなあの記号です。
- 意味としては「データの保存先」。
システムフローでよく使います。
理由は簡単で、今のシステムはとにかく
- 履歴
- Log
- トレース情報
を残しまくるからです。
例えば、
- 「検査結果をDBに保存」
- 「トレース情報をファイル出力」
といった処理を、処理記号+磁気ディスク記号の組み合わせで書くと、
「どこに何が残るのか」が視覚的に伝わりやすくなります。
6. 照合(比較)

- 中に「=」「×」っぽい記号が描かれた丸っぽいやつです(Excelにもあります)。
- これはたまに使うくらいのポジション。
意味としては、その名の通り「何かと何かを比べる」です。
- センサ値と閾値の比較
- 新規データと既存データの同一性チェック
- 入力パラメータの整合性確認
などで、「比較して判定している」ことを強調したいときに使います。
ただし、頻度はそこまで多くないので、
- 使いすぎると逆に読みにくくなる
- 本当に比較が主役のところだけで使う
くらいの感覚でOKです。
AIやデータサイエンスが学べる就労移行支援【Neuro Dive】なぜこの6個だけで十分なのか?
ここまで読んで、
「他にも記号いろいろあるよね?」と思った方もいると思います。
その通りで、教科書を開けば
- 端子
- 文書
- 手作業
- 表示
- …などなど
いろいろ出てきます。
それでも、私が現場ではこの6個に絞っている理由はシンプルです。
これ以外の記号を日常的に使ったことがある人が、圧倒的に少ないから。
感覚値ですが、98%の方に
「見たことない記号なんだけど…」という顔をされます。
フローチャートは、
- 自分が気持ちよく描くためのもの
ではなく - 他人が一瞬で理解できるためのもの
です。
だからこそ、
- 「教科書的には美しいか?」ではなく
- 「現場の人、他の人がパッと見て意味が分かるか?」
を優先して、記号の種類を削ぎ落として6個まで絞っています。
誰向けのフローかで「見せ方」を変えるのが一番大事
ここまで記号の話をしてきましたが、
実は一番重要なのは
フローチャートは「誰向けに描くのか?」
を最初に決めておくことです。
例えば、
- 運用フロー:オペレータ/現場の担当者向け/使用するユーザ向け
- システムフロー:SE/プログラマ/IT寄りの人向け
- 仕様書向け:Sier、メーカー等の発注先
それぞれで、同じ記号でも見せ方や詳細度を変える必要があります。
- 運用フローなら、開始/終了を省いてでも「やること」を端的に
- システムフローなら、サブルーチンや磁気ディスクをしっかり書く
- 仕様書フローなら、判断の条件や処理ルートを明確に分岐
といった具合です。
この記事で紹介した6つの記号は、
どのパターンでも共通して使えますが、
「誰向けか」で細かいルールを変えると、さらに読みやすくなります。
次回予告:この6記号だけでフローを実際に描いてみる
今回は、
- 使えるフローチャート記号の「最小セット6つ」
- それぞれをどういう場面で使うか
- なぜ他の記号をあえて使わないのか
というところまで紹介しました。
次回は、
実際にこの6個だけを使って、
「運用フロー」「システムフロー」「仕様書フロー」をどう描くか?
の具体例を記事にしていきます。
Excelの画面キャプチャ付きで、
- 列の分け方(人/設備/システム)
- Yes/Noの流れの作り方
- サブルーチンの分け方
あたりを解説する予定なので、
フローチャートを書くのがちょっとだけ楽になるはずです。
以上!
フローチャート沼から抜け出したいすべてエンジニアの方の参考になればうれしいです😎


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