現役のエンジニアが解説!電圧、電流、抵抗とは?

電気・制御
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最初にイメージしておくこと

まず次のことを簡単に覚えましょう。

電圧・・・電気の圧力のこと。

電流・・・電気の流れる量を表しています。

抵抗・・・電気が流れにくくなる物のこと。

つまり電圧が高いほど多くの電流を流すことができるということになります。

ただ電気は目で見えないので、そう言われても理解できないですよね。

電気を水で考えよう

まずは水と同じように考えることができるので水でイメージしてください。

下図のように水を貯めたタンクから配管を通して水を出したいとします。

そして電圧、電流、抵抗を次のようにイメージしてください。

・電圧=水圧 

 つまりタンクから水を押す力(上から手でも何でもいいので押している力と考えてください)

・電流=水量

 つまり配管を通る水の量です

・抵抗=配管の太さ

 配管が狭いと水って流れにくいよね?ってことです。

配管のサイズが変わらないとして、タンクから水を押す力だけを大きくした場合、

当たり前ですが配管を通る水の量は多くなりますよね。

電気で考えよう

これは電気でも同じことですので、先ほどの逆で考えます。

・タンクから水を押す力(水圧)=電圧

・配管を通る水の量=電流

・配管の太さ=抵抗

式から理解していきましょう。

V:電圧、I:電流、R:抵抗とした場合、

オームの法則(V=RI)から

V=RIを変換してV÷R=I

抵抗Rを仮に固定で1(Ω)とした場合、電圧Vが大きければ大きいほど電流Iは大きくなります。水のイメージ図と例から理解していきましょう。

例1)抵抗1Ω、電圧100vの場合

   V÷R=I

   100÷1=100 I=100(A:アンペア)

例2)抵抗1Ω、電圧200vの場合

   V÷R=I

   200÷1=200 I=200(A:アンペア)

例3)抵抗1Ω、電圧400vの場合、

   V÷R=I

   400÷1=400 I=400(A:アンペア)

つまり抵抗が同じである場合、電気を流す量(電流)を大きくしたいときは

電圧を大きくするということです。

また電圧が同じで抵抗を高くした場合、流れる電流は小さくなります。

例1)抵抗1Ω、電圧100vの場合

   V÷R=I

   100÷1=100 I=100(A:アンペア)

例2)抵抗2Ω、電圧100vの場合

   V÷R=I

   100÷2=50 I=50(A:アンペア)

例3)抵抗3Ω、電圧100vの場合、

   V÷R=I

   100÷3=33.33・・・ I≒33.3(A:アンペア)

その上でオームの法則を覚えておく

電圧・電流・抵抗の関係を論理的に結ぶのが オームの法則 です:

V = R × I
(電圧 = 抵抗 × 電流)

この式は現場で非常によく使われます。

この式のポイント

抑えておくべきポイントは以下2点!!

 ①抵抗が一定の場合、電圧が大きいと電流が増える

 ②電圧を一定に保ちたいときは、負荷(抵抗)を管理することが重要

この性質は、たとえばセンサー電源回路や制御盤内の電圧降下対策などで頻出します。


各要素V,R,Iの役割を理解する

電源設計での電圧の役割

電源はただの電圧源ではありません。
実際の回路では安定した電圧レベルが必要です。

電圧が不安定だと、回路全体の動作品質が落ちる。
特に制御系や計測系では「電源品質」が故障原因になることがある。

この概念は DC電源設計・ノイズ耐性設計でも中心になります。


抵抗の選び方と回路の安定性

抵抗は単なる「流れにくさ」ではなく、回路を安定させるための制御要素です。

抵抗値が変動すると、回路全体の電流値が変わってしまい、
機器動作が不安定になります。


電流計測と安全設計

電流値は回路の負荷状態を表す最も基本的な指標です。
過大な電流は過熱・断線・火災の原因になります。

現場では必ず 電流値の上限・安全基準を確認し、動作保証範囲で運用します。


FA現場で実際に使う場面(電圧・電流・抵抗が「計算」から「判断」になる瞬間)

電圧・電流・抵抗は、学生の頃は「式で解くもの」に見えがちです。
でもFA現場では、これらは “計算問題” ではなく、設備を止めないための “判断材料” になります。

FA現場で大事なのは、式を覚えることより
「この条件だと電流が増える」「この配線だと電圧が落ちる」
という因果関係を瞬時にイメージできることです。

よくある「使う場面」を、実務に近い形で整理します。

  1. 新規設備の立ち上げ・改造
    ・装置仕様書を見て「電源は何V?容量はどのくらい?」を判断する
    ・制御盤にブレーカを追加する際に「定格電流」と「遮断容量」を決める
    ・インバータやサーボ追加で、突入や高調波の影響を考える
  2. “原因不明のトラブル”の一次切り分け
    ・同じ装置なのに、ラインAだけセンサ誤動作する
    ・朝一だけPLCが落ちる、電源が不安定
    ・設備が起動すると照明がチラつく(負荷変動や電圧降下の疑い)
  3. 保全・生技の現場判断
    ・配線が長い、細い → 電圧降下で動作不安定になる
    ・負荷が増える → 電流が増えて発熱、ブレーカが落ちる
    ・接触抵抗が増える(端子緩み・劣化) → 局所発熱・焼損

「電圧」「電流」「抵抗」は、設備の異常の“説明言語”になります。
これを言語化できる人が、トラブル対応で強いです。


一次側のMCCBを用意しなければならないとき、メーカーへ確認すべきこと

新しい自動機を導入するとき、あるいは設備改造で負荷が増えたとき、
「一次側のMCCB(配線用遮断器)を追加・選定してください」となる場面があります。

ここで重要なのは、カタログを眺める前に “確認すべき情報” をメーカー(装置メーカー・盤メーカー)から回収することです。

ブレーカ選定で失敗するパターンは、
「必要情報が揃っていないまま、定格電流だけで決めてしまう」ことです。

①電源条件(ここが曖昧だと全部ズレる)

まずは電源条件を確定させます。

・何相か(単相/三相)
・定格電圧(例:AC200V、AC400V)
・周波数(50/60Hz)
・接地方式(工場の標準に依存)
・電源系統(どの盤・どのトランスから引くか)

この情報が曖昧だと、同じkWでも電流換算が変わってしまいます。

②装置の「定格電流」と「最大電流」の両方

メーカーに必ず聞くべきは次です。

・装置の定格消費電力(kW)または定格電流(A)
・最大電流(ピーク時のA)
・起動時の突入電流(モータ、電源、ヒータ、コンデンサ投入など)
・負荷の内訳(モータ何台、ヒータ何kW、サーボ何軸、電源何台…)

「定格」だけでは足りません。
FA現場で落ちるのは、だいたい“起動・ピーク・同時起動”です。

特にスイッチング電源が多い装置は、短時間の突入が大きくなりやすいので、総突入の考え方が必要になります(装置構成次第)。

③短絡電流(推定値)と必要な遮断容量

MCCBで最も重要な性能の1つが遮断容量です。
規格では Icu(定格限界遮断容量)や Ics(定格使用遮断容量)として定義されます。

遮断容量は「万一短絡したとき、その電流を安全に遮断できるか」です。
ここを外すと“危険側の失敗”になります。

メーカーへ確認すべきは、少なくともこの2点です。

・装置を接続する地点(盤・母線)での推定短絡電流(分からなければ上位盤情報)
・メーカーが想定する推奨MCCBの遮断容量(kAクラス)

短絡電流は工場の受電設備・トランス容量・ケーブル長などで変動します。
「分からないから小さめでOK」は通りません。
不明なら、上位盤/受電設備側の情報を電気担当・電設担当から取りに行くのが実務です。

④保護協調をどうしたいか

一次側MCCBを追加するときは、上位(幹線側)のブレーカとの協調も重要です。

・下位が落ちた時に、上位まで落としたくない(ライン全停止を避けたい)
・そのために、瞬時要素や時間特性をどう合わせるか
・メーカー推奨の協調例があるか(シリーズ・組み合わせ)

FA現場では「上位まで落ちて工場が止まる」が一番痛い。
だから“協調の思想”を先に決めるのが重要です。

⑤盤内条件(温度・収納・端子)

ブレーカは盤内温度や収納条件の影響を受けます。
メーカーには次を確認しておくと、後で揉めません。

・盤内温度想定(高温環境か)
・端子サイズ、圧着端子、ケーブルサイズ
・取付方式、スペース、放熱
・将来増設余地(余裕率)


実際の選定方法(総負荷で考える:現場で迷わないための手順)

ここからは、「現場でどう進めるか」を手順に落とします。
ポイントは “総負荷”で考えて、余裕とピークを織り込むことです。

MCCB選定は、ざっくり言うと
①どれだけ流れるか(電流)
②短絡に耐えられるか(遮断容量)
③無駄に落ちないか(突入・協調)
の3点セットです。

手順1:負荷を洗い出して「総負荷」を作る

最初にやるのは、装置内の負荷を全部出すことです。

・モータ(ポンプ、コンベア、ファン)
・サーボ(アンプ容量、台数)
・インバータ
・ヒータ
・ソレノイド・バルブ
・スイッチング電源(24V系、5V系など)
・照明、その他

そして、可能なら「同時に動くか」を分けます。

・常時運転負荷
・立ち上げ時だけ動く負荷
・同時起動する負荷(ここが落とし穴)

手順2:総負荷から“定常電流”を見積もる

総負荷がkWで出ているなら、定常電流へ換算します。
(厳密な力率・効率まで追うと複雑になるので、最初はメーカー値優先でOKです)

・三相なら kW→A換算のベース
・単相なら別計算
・負荷の種類(モータ/ヒータ/電源)で実電流は変動

ここで大事なのは、“余裕率”を持つことです。

総負荷ギリギリで選ぶと、
夏場や負荷増で簡単に落ちます。
FAは「止まらない設計」が正義です。

手順3:突入・ピークを織り込む(落ちない設計)

FA現場でよくあるのはこのパターンです。

・定常は余裕なのに、起動時に落ちる
・復電後の同時起動で落ちる
・エア機器やポンプが同時に立ち上がって落ちる
・スイッチング電源の突入が重なって落ちる

だからメーカーには、次を確認しておきます。

・起動電流(何倍、何秒)
・同時起動の前提(制御で順起動するのか)
・設定で回避できるか(遅延起動、ソフトスタート等)

ブレーカ側で言うと、熱動要素・瞬時要素・可調整の有無などで「落ちやすさ」が変わります。
ここはメーカー推奨の型式や特性があるなら、それに乗るのが一番安全です。

手順4:遮断容量を短絡条件で決める

遮断容量の考え方は「短絡電流に対して十分か」です。
規格上の Icu/Ics の定義は JIS/IECで整理されています。

Icu/Icsを軽視すると、
“万一の短絡”で危険側に転びます。
ここは安全設計の根幹です。

決め方の現実解はこうです。

・設置点の推定短絡電流を確認
・それ以上の遮断容量クラスを選ぶ
・上位盤の標準(工場標準)があるなら合わせる

短絡電流が不明なら、受電設備担当に確認する、または盤メーカーに試算を依頼するのが一般的です。

手順5:上位との協調(選択遮断)を確認する

一次側MCCBを入れる目的が「装置保護」だけでなく、
「ライン停止範囲を最小化」なら、ここが重要です。

下位が落ちるべき事故で、上位まで落ちると
“工場全体の損失”になります。

メーカーや盤メーカーに確認すること。

・上位ブレーカの型式/特性
・協調が取れる推奨組み合わせ
・必要なら時間特性の調整方針


「総負荷で考える」時の落とし穴(FA現場あるある)

最後に、総負荷設計でよくある落とし穴もまとめます。

  1. 「定常負荷」しか見ていない
    → 起動や復電同時起動で落ちる
  2. 追加改造を繰り返して“いつの間にか総負荷オーバー”
    → 盤が増設だらけ、根本設計が崩れる
  3. 盤内温度や配線条件を無視
    → ブレーカだけでなくケーブルや端子が先に熱で死ぬ
  4. 短絡条件を曖昧にしたまま遮断容量を選ぶ
    → 安全側の失敗になる可能性がある

“止まらない設計”と“安全設計”は、どちらも必要です。
MCCB選定はその両方を支える土台になります。

まとめ:電圧・電流・抵抗を「使える知識」にする

本記事で解説した内容をまとめます:

●電圧・電流・抵抗の基本は「押す力・流れる量・流れにくさ」でイメージする。

●オームの法則(V = R × I)は現場でも基本原理として使われる。

●実務ではブレーカ選定でよく使用。

 ➢総負荷(定常)でまず当たりを付ける

 ➢突入/ピークを織り込んで「落ちない」側へ寄せる

 ➢短絡電流に対して遮断容量(Icu/Ics)を外さない

 ➢上位との協調で「止まる範囲」を最小化する

これらの基礎は、単に「覚える理屈」ではなく、設計・保全・評価を行う現役技術者にとって 使える知識 です。

なんとなく大丈夫そう・・・ではなく、根拠を持って説明できるようにしましょう。


本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・配線・遮断器選定・盤改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程を確認のうえ判断してください。

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