この記事の対象になる方
- 三相交流のUVW波形がなぜあの形なのか分からない方
- モータや発電機の仕組みを基礎から理解したい方
- 生技、保全、設備設計で三相交流を感覚的に理解したい方
はじめに
工場で当たり前のように使われている三相交流。
インバータ、三相モータ、配電盤、制御盤、どこを見てもU、V、Wが出てきます。
でも、ここで一度はこう思いませんか。
そもそも、なぜ三相交流のU相、V相、W相はあのグラフになるのか。
あのグラフってこのグラフです↓

これを見て、まず浮かぶ疑問がこちらです。
- なぜ3本あるのか
- なぜ120°ずれているのか
- なぜそれがモータを回すことにつながるのか
よく考えてみると、「ここがそもそも分からん!」という人も多いですよね。
そこで今回は、三相交流がなぜ生まれるのかを、できるだけ順番に整理していきます。
ポイントは次の流れです。
- コイルに電流を流すと磁界が生まれる
- 磁界を動かすと今度は電気が生まれる
- その仕組みを3組ずらして作ると三相交流になる
- これを発電所側で行っている
- 三相交流に接続することでモータが回る
この流れが見えると、UVWのグラフがもっとクリアに分かりやすくなります。
そもそもなぜ三相UVWのグラフはこの形なのか
最初に結論から言うと、三相交流のU相、V相、W相のグラフがあの形になるのは、
発電側で回転する磁界(磁石)に対して、120°ずれた位置に3組のコイルを置いているから
です。
下の絵でいうと、左図をご覧ください。「発電イメージ」にある同じ色の部分は1つのコイルを表しています。
つまり、同じ波を作るコイルが、120°ずつずれた位置に配置されているということです。

そのため、最初から波形を作ろうとしてあの形になったのではなく、コイルの配置と磁界の回転の結果として、上の右図のような正弦波が生まれるのです。回転させる力は水力や風力と言った自然の力を想像してください。
このグラフを見ると、
- 3本とも同じ形
- ただしタイミングだけがずれている
- 順番に大きくなったり小さくなったりしている
ことが分かります。
この理由を理解するには、まずコイルの基本から整理する必要があります。
コイルは電流を流すと磁界が生まれる
まず、電気の基本です。
コイルに電流を流すと、まわりに磁界が生まれます。
これは導線1本でも起こる現象ですが、導線をぐるぐる巻いたコイルにすることで、磁界の作用を強く使えるようになります。
右ねじの法則を思い出すと分かりやすいです。
電流の向きに対して、磁界の向きが決まりますよね。

コイルの解説記事はこちらをご覧ください↓
つまりコイルは、
- 電流を流す
- 磁界ができる
- 向きによってN極とS極が決まる
という部品です。
ここでまず大事なのは、
電気を流すと磁界が生まれる
という関係です。
ここは、三相交流を理解する土台となるので頭に入れておきましょう。
その応用で磁界を動かし、今度は電気を生む
ここで面白いのが、先ほどとは逆の現象が起こることです。
先ほどは、電流を流す → 磁界が生まれる という流れでした。
今度はその逆で、磁界を変化させる → 電流が流れる という流れになります。
こんなイメージ↓

これが電磁誘導です。
つまりコイルの世界では、
- 電流を流すと磁界が生まれる
- 逆に、磁界を変化させると電圧が生まれる
という両方向の関係があります。
この考え方が、発電機とモータの両方につながります。
磁石を近づけるとコイルに起電力が生まれる
たとえば、コイルの近くに磁石を持っていくとします。
ただ置いてあるだけでは大きな変化は起きませんが、磁石を近づけたり離したりすると、コイルを通る磁界の量が変化します。
このとき、どのようになるかを絵で見ていきましょう。
左側から磁石を右のコイルへ近づけると、コイルを通る磁界が変化します。
するとコイルには、その変化を打ち消そうとする向きに磁界が生まれます。
そのため、コイルに生まれる磁界の向きは、磁石による磁界とは逆向きになります。
図では、その逆向きの磁界を赤色で表しています。

このコイルの磁界によって起電力が生まれ、コイルに電流が流れるというわけです。

これが、発電の原理です。
磁界を回転させると正弦波の交流が生まれる
では、磁石をただ近づけたり離したりするのではなく、回転させたらどうなるかを考えます。
磁石をぐるぐる回すと、コイルに対して見える磁界の向きや大きさが時間とともに変わります。
すると、コイルに生まれる起電力も時間とともに変化します。
この変化が、きれいに回転している場合には、正弦波の交流として現れます。

つまり単相交流の元は、
回転する磁界に対して、固定されたコイルで電圧を取り出している
と考えることができます。
コイルを3組にするとUVWの三相交流になる
ここでいよいよ三相交流です。
もしコイルを1組だけ置けば、取り出せるのは単相交流です。
では、それを3組にして、空間的に120°ずつずらして配置したらどうなるでしょうか。
すると、回転する磁界がそれぞれのコイルを通るタイミングが少しずつずれます。
その結果、
- 1つ目のコイルでは今がピーク
- 2つ目のコイルでは少し遅れてピーク
- 3つ目のコイルではさらに遅れてピーク
となります。
このずれがちょうど120°になるように配置すれば、取り出される電圧も
- U相
- V相
- W相
として120°ずれた3本の交流になります。
ここで、最初の絵に戻りましょう。

つまり三相交流のグラフは、
回転する磁界を120°ずれた3組のコイルで受けている結果として、
上図のような形になるのです。
そして負荷側にもコイルを並べることで磁界を動かし、モータも回る
ここからがモータにつながる話です。
今までは、回転する磁界によってコイルに電気を生む、つまり発電側の見方でした。
逆に、コイル側に三相交流を流してやれば、今度は磁界を回転させる側になります。
つまり、
- コイルに電流を流す
- 磁界が生まれる
- 3組にずれた交流を流す
- 磁界の強い場所が順番に移動する
- 結果として回転磁界ができる
ということです。

この回転磁界(上図右側)の中に回転子を置けば、その磁界に引っ張られるようにしてモータが回ります。
発電機は、回る磁界から電気を取り出す機械
モータは、電気で回る磁界を作る機械
と考えるとかなり整理しやすいです。
三相のグラフとモーターの回り方の解説は、こちらの記事をご覧ください↓
発電機とモータは実はかなり近い
ここまで来ると、発電機とモータの関係も見えてきます。
発電機では、
- 磁界を回す
- コイルに起電力が生まれる
- 電気を取り出す
モータでは、
- コイルに三相交流を流す
- 回転磁界が生まれる
- 回転子が回る
という流れになります。
つまり向きが逆なだけで、土台の考え方はかなり近いです。
どちらも、
コイルと磁界の関係を使っている
という意味で、同じ世界の話ということが理解できます。
まとめ
三相交流のU相、V相、W相のグラフがあの形になるのは、回転する磁界に対して、120°ずれた位置に3組のコイルを発電側で置いているからです。
最後に整理します。
- コイルに電流を流すと磁界が生まれる
- 磁界を変化させるとコイルに電圧が生まれる
- 回転する磁界を3組のコイルで受けると三相交流になる
- 三相交流をコイルに流すと回転磁界ができる
- 回転磁界によってモータが回る
ここが分かると、今までなんとなく「三相」と呼んでいた理由が分かるようになるので、しっかり理解しておきましょう!!
本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。





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