交流から直流を作る仕組みを分かりやすく解説|整流と平滑化の基本

電気・制御
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この記事でわかること
  • 交流から直流を作る基本的な流れが分かる
  • ダイオードブリッジが何をしているか分かる
  • コンデンサで平滑化する理由が分かる

この記事の対象になる方

  • 交流から直流への変換の仕方が分からない方
  • ダイオードブリッジの動きを感覚的に知りたい方
  • 生技、保全、設備設計で電源回路の基礎を学びたい方

はじめに

工場設備や電子回路を見ていると、入力は交流なのに、内部では直流で動いているものがたくさんあります。

たとえば、

  • 制御回路
  • センサ
  • PLC
  • 基板回路
  • 小型電源

などです。

ここで気になるのが、交流をどうやって直流にしているのか ということです。

一見すると、交流はプラスとマイナスが入れ替わる波です。
それなのに、なぜ回路の中ではプラス側だけを使うような直流にできるのでしょうか。

その基本になるのが、ダイオードブリッジによる整流コンデンサによる平滑化です。

今回は、交流から直流を作る流れを、できるだけやさしく整理していきます。

交流を直流にする基本は、
ダイオードで向きをそろえること
コンデンサで波をなめらかにすること
です。

まず回路図はこれです

まずは、今回の主役になる回路です。

この回路が、交流を直流へ変える基本形です。

最初にざっくり流れを書くと、こうなります。

  • 交流電源から正弦波が入ってくる
  • ダイオードブリッジで電流の向きをそろえる
  • 抵抗から見ると常に同じ向きの電圧になる
  • それでもまだ波はガタガタしている
  • コンデンサでその波をなめらかにする

この順番で理解すると、かなり分かりやすいです。

交流電源の波形はプラスとマイナスが入れ替わる

交流電源の波形は、時間とともにプラスとマイナスが入れ替わる正弦波です。

この波形をそのまま抵抗につなぐと、

  • プラス側のときは一方向に電流が流れる
  • マイナス側のときは逆方向に電流が流れる

という動きになります。

つまり、そのままでは負荷側から見ると電圧の向きが一定になりません。
電子回路や制御回路で必要なのは、こういう行ったり来たりする電圧ではなく、ある程度向きのそろった直流です。

そこでダイオードブリッジが必要になります。

ダイオードは電流を一方向にしか流さない

ダイオードは、電流を一方向にしか流さない部品です。

ざっくり言えば、

  • 順方向には流れる
  • 逆方向には流れにくい

という性質を持っています。

この性質を使うことで、交流のプラス半周期とマイナス半周期を、どちらも同じ向きの電流として負荷へ流すことができます。

ダイオードは、交流の向きをそろえるための部品です。

プラスの波形はそのまま抵抗に通る

まず、交流電源がプラス側になっているときを考えます。

このとき、ダイオードブリッジの中では、ある2本のダイオードが順方向になり、電流が流れます。
その結果、負荷抵抗には決まった向きで電流が流れます。

つまり、交流のプラス半周期では

  • ダイオードブリッジを通る
  • 抵抗にはプラス向きの電圧がかかる

という流れです。

このとき負荷側から見ると、交流のプラス部分がそのまま使われているように見えます。

マイナスの波形も、抵抗から見るとプラスになる

次に、交流電源がマイナス側になっているときを考えます。

ここがダイオードブリッジの面白いところです。

交流側ではマイナス半周期になっていても、今度は別の2本のダイオードが順方向になって電流が流れます。
その結果、抵抗を流れる電流の向きはさっきと同じ向きになります。

つまり、交流のマイナス半周期では

  • ダイオードブリッジ内で別のダイオードが導通する
  • 抵抗から見るとやはりプラス向きになる

ということです。

ここがいちばん大事です。

ダイオードブリッジは、交流のマイナス側を打ち消しているわけではなく、
負荷から見て同じ向きの電流になるように通り道を切り替えているのです。

そのため、抵抗から見ると

  • プラス半周期もプラス
  • マイナス半周期もプラス

になります。

これが全波整流です。

ダイオードブリッジを通したあとの波形はどうなるか

ここまでで、負荷から見て電流の向きはそろいました。
ただし、これで完成ではありません。

ダイオードブリッジを通したあとの波形は、マイナス側が上に折り返されたような形になります。

つまり、向きはそろっているけれど、

  • 山がある
  • 谷がある
  • まだガタガタしている

状態です。

このままだと、きれいな直流とは言いにくいです。
電子回路が欲しいのは、もっとなめらかな電圧です。

そこで、コンデンサを入れます。

コンデンサで平滑化する

コンデンサは、電荷をためる部品です。
そして、電圧が急に変わるのをやわらげる性質があります。

ダイオードブリッジの後ろにコンデンサを入れると、波形の山の部分でコンデンサが充電されます。
そして波形が下がっていくときには、コンデンサがたくわえた電気を負荷側へ少しずつ出していきます。

その結果、電圧の谷が持ち上がり、全体としてなめらかな波形に近づきます。

つまりコンデンサは、

  • 高いところでためる
  • 低いところで補う

という動きをしています。

コンデンサは、整流後のガタガタした電圧をなめらかにする役目を持っています。

平滑化しても完全な一直線ではない

ここも大事なポイントです。

コンデンサを入れたからといって、理想的な一直線の直流になるわけではありません。
実際には、少しだけ上下する波が残ります。

これをリップルといいます。

つまり平滑化後の電圧は、

  • だいぶなめらかになっている
  • でも少しだけ波打っている

という状態です。

コンデンサの容量が大きいほど、この波打ちは小さくなりやすいです。
逆に負荷電流が大きいと、コンデンサの電圧は下がりやすくなります。

ここではまず、

コンデンサを入れると、整流した波形の谷を埋めるようにして直流らしくなる

と理解しておけば十分です。

全体の流れをもう一度整理するとこうなる

ここまでの話を、順番で整理するとこうです。

1. 交流電源から正弦波が入る

プラスとマイナスが交互に入れ替わる波形です。

2. ダイオードブリッジで整流する

プラス半周期はそのまま負荷へ流し、マイナス半周期も別のダイオード経路を通ることで、負荷から見てプラス向きにそろえます。

3. 抵抗から見ると、常に同じ向きの電圧になる

これで全波整流の状態になります。

4. でも波形はまだガタガタしている

向きはそろっていても、山と谷があります。

5. コンデンサで平滑化する

山で充電し、谷で放電して、電圧をなめらかにします。

このような流れです。

交流から直流を作る基本は、
整流して向きをそろえる
平滑して波をなめらかにする
の2段階です。

この回路を理解すると何が見えてくるか

この基本回路を理解すると、いろいろな電源回路の見え方が変わります。

たとえば、

  • ACアダプタの中で何をしているのか
  • スイッチング電源の入口で何が起きているのか
  • インバータの中で最初に何をしているのか
  • 制御電源がなぜ交流入力から直流出力になるのか

といったことがつながってきます。

つまりダイオードブリッジとコンデンサ平滑は、電源回路の入口としてかなり基本中の基本です。

まとめ

交流から直流を作る基本は、ダイオードブリッジによる整流と、コンデンサによる平滑化です。

まず交流電源からは、プラスとマイナスが入れ替わる正弦波が入ってきます。
これをダイオードブリッジへ通すことで、

  • プラス半周期はそのまま負荷へ流れる
  • マイナス半周期も負荷から見てプラス向きになる

ように整えられます。

この時点で、負荷から見ると常に同じ向きの電圧になっています。
ただし、まだ山と谷のあるガタガタした波形です。

そこでコンデンサを入れると、

  • 山で充電
  • 谷で放電

を繰り返し、波形をなめらかにしてくれます。

整理すると、次のようになります。

  • 交流の正弦波が入る
  • ダイオードブリッジで向きをそろえる
  • 負荷から見ると常にプラス向きになる
  • コンデンサで谷を埋めてなめらかにする
  • その結果、直流として使いやすい電圧になる

本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。

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