VCTとVCTFケーブルの違いを分かりやすく解説|用途・許容電流の早見表付き

電気・制御
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この記事でわかること
  • VCTケーブルとVCTFケーブルの違いが分かる
  • 用途ごとの使い分けの考え方が分かる
  • 許容電流を見るときの注意点が分かる

この記事の対象になる方

  • VCTとVCTFの違いがいまいち整理できていない方
  • 可動部のケーブル選定で迷いやすい方
  • 生技、保全、設備設計、施工会社でケーブル選定の基礎を学びたい方

はじめに

電気配線を考えていると、VCTとVCTFはよく目にするケーブルです。
しかも、この2つは名前がかなり似ています。

そのため、最初のうちは

何が違うのか分かりにくい
結局どっちを使えばいいのか迷う
過去資料がみんなこれだからこれ使えばいいかな

という状態になりやすいと思います。

実際、どちらも可とう性のあるケーブルとして使われることが多く、ぱっと見では違いが分かりにくいです。
ただし、現場感で言えばこの2つは同じではありません。

ざっくり言うと、

VCT:可動する動力用で使いやすいケーブル(耐圧AC600V)
VCTF:可動する制御用や小型機器向けで使いやすいケーブル(耐圧AC300V)

という感じです。

もちろん最終的にはメーカー仕様や使用条件の確認が必要ですが、まずはこの感覚を持っておくと把握しやすいかなと思います。

今回は、VCTとVCTFの違いを、用途と使い分けを中心にできるだけ分かりやすくまとめていきます。

VCTケーブルとは

VCTケーブルは、可とう性を持ったキャブタイヤケーブルの一種で、比較的しっかりした作りのケーブルです。
ここでいう「しっかりした作り」とは、被覆がVCTFよりも厚いという意味です。

現場感としては、

  • 移動機器の電源配線(横移動や縦移動する設備の動力用)
  • 引っ張り、揺れ、衝撃がある程度想定される場面

で使われることが多いです。

つまり、ただ柔らかいだけではなく、

ある程度タフに扱われることを前提にした可とうケーブル

と考えましょう。

VCTは、動力配線で使われることが多いため、電流も比較的大きくなりやすいです。
また、現場ではケーブルが床を這ったり、機械の移動で揺すられたり、多少雑に扱われたりすることもあります。
そういった背景もあって、VCTは外皮がVCTFよりも厚く設定されています。

可動する機械の電源側で、まず候補に上がりやすいのがVCT、というイメージで考えています。

VCTFケーブルとは

VCTFケーブルも、可とう性を持ったビニルキャブタイヤ系のコードです。
ただし、VCTに比べると、より軽く、柔らかく、取り回ししやすい方向のケーブルとして見られることが多いです。
そのため、外皮はVCTに比べて薄いものとなっています。

現場感としては、

  • 可動する設備の制御用
  • 比較的軽負荷な用途
  • 柔らかさや扱いやすさを重視したい場面
    ※注意点:コードに分類されるので内線規程では造営材に固定禁止

で使いやすい印象があります。

つまりVCTFは、

タフさ最優先というより、柔らかさや取り回しやすさを重視したケーブル

という見方がしやすいです。

そのため、制御用の機器配線や、比較的小さな装置まわりなどではVCTF。
反対に、動力用でケーブルにある程度の強さを求めたいときは、VCTのほうが安心感があるケースも多いです。

もちろん、制御用途だから絶対VCTF、動力用途だから絶対VCT、というほど単純ではありません。
ですが、最初の整理としては、

  • VCTは動力寄り
  • VCTFは制御寄り

と押さえるとかなり分かりやすいです。

VCTとVCTFはどう使い分けるべきか

ここまで読んで、「それで、どっちを何に使うのが正解なの?」と感じる方もいると思います。
ただ、ここに明確な正解はありません。おそらく、どのサイトやブログでも断言しにくい部分だと思います。

とはいえ、それではこの記事の意味が薄くなってしまうので、ざっくりとイメージをお伝えしたいと思います。

VCT:可動する設備の電源・動力用途(設備の盤内、盤間配線にも使用)
VCTF:可動する設備の制御用途(設備の盤内、盤間配線にも使用)

  ※可動する設備とは、繰り返し同一動作を伴うような設備(上下移動または横移動の設備など)
  ※VCTFはコードに分類されるので内線規程では造営材に固定禁止

というイメージです。

もちろん、可動部すべてにOKとは考えていません。
工場内設備でも、ロボットのような複雑な動きや、動いている時間が長いものに対しては「ロボットケーブル」を選定することが通常だと思います。

VCT・VCTFケーブルの許容電流早見表

実際の許容電流はメーカー、構造、布設条件、周囲温度で異なるため、採用時は必ず最新のメーカー資料を確認、またはメーカーへ問い合わせしましょう。

VCTの許容電流早見表

VCT0.75 sq1.25 sq2 sq3.5 sq5.5 sq8 sq14 sq22 sq38 sq60 sq100 sq
2 心12 A17 A22 A32 A41 A51 A72 A97 A130 A175 A215 A
3 心11 A15 A19 A27 A35 A43 A62 A83 A110 A150 A
4 心10 A13 A17 A25 A32 A39 A56 A75 A100 A135 A
5 心9 A12 A15 A22 A29 A
6 心8 A11 A14 A21 A27 A
7 心7 A10 A13 A19 A25 A
8 心7 A9 A12 A18 A24 A
10 心6 A9 A11 A16 A
12 心6 A8 A11 A16 A
16 心5 A7 A10 A
20 心5 A7 A9 A
30 心4 A6 A7 A
引用元:富士電線株式会社 VCT 製品カタログより抜粋 URL:https://www.fujiewc.co.jp/product/vct/ ※2026年4月時点

VCTFの許容電流早見表

VCTF0.3 sq0.5 sq0.75 sq1.25 sq2 sq3.5 sq5.5 sq
2 心4 A5 A7 A12 A17 A23 A35 A
3 心4 A5 A7 A12 A17 A23 A35 A
4 心4 A5 A7 A12 A17 A23 A35 A
5 心3 A4 A6 A9 A12 A
6心3 A4 A6 A8 A11 A
7心3 A4 A5 A7 A10 A
8心3 A4 A5 A7 A9 A
10 心2 A3 A5 A6 A8 A
12 心2 A3 A4 A6 A8 A
16 心2 A3 A4 A5 A7 A
20 心2 A3 A4 A5 A7 A
30 心2 A2 A3 A4 A5 A
40 心1 A2 A3 A4 A
50 心1 A1 A2 A
引用元:富士電線株式会社 VCTF 製品カタログより抜粋 URL:https://www.fujiewc.co.jp/product/vctf/ ※2026年4月時点

許容電流からスケアサイズを選定するときの注意点

VCTやVCTFを選ぶときは、ケーブルの許容電流の確認が必要になります。
ただし、使用する負荷容量からダイレクトにケーブルを選定するわけではありません。
たとえば、

  • 芯数
  • 周囲温度
  • 布設条件(m数など)
  • 選定したメーカー差

などによって変わります。

そのため、早見表は目安をつかむためのものとして使い、最終的には必ずメーカー資料や選定条件を確認するようにしてください。

特に現場でありがちなのが、定格ピッタリで選定したが温度環境的にオーバーだった・・・というパターンです。

許容電流の詳しい選定手順については、別記事でまとめています。
ここではまず、

早見表は入口、最終判断は条件確認

と覚えておくことが大事です。

許容電流からケーブルサイズを選ぶ具体的な手順は、こちらの記事で詳しく解説しています↓

よくある用途ごとの選び方

ここでは、かなりざっくりですが、用途ごとの考え方を整理します。

可動する動力配線

モータや可動機器の電源側で、ある程度しっかりしたケーブルを使いたいなら、まずVCTが候補に上がりやすいです。

電流が比較的大きく、引っ張りや擦れも気になるなら、VCTのほうが安心感があります。

可動する制御配線

センサ、制御盤まわり、小型機器、制御信号寄りの配線で、柔らかさや取り回しやすさを重視したいなら、VCTFが使いやすいです。

とくに細かい取り回しが必要なところでは、VCTFの扱いやすさが活きやすいです。

仮設配線

仮設で使う場合でも、電流や機械的ストレスの程度で考えると整理しやすいです。

  • 電源寄りでしっかりしたものが欲しい → VCT寄り
  • 軽負荷、小型機器寄り → VCTF寄り

という見方がしやすいです。

小型機器の配線

小型機器や比較的軽い負荷なら、VCTFのほうが扱いやすいことが多いです。
必要以上に重いケーブルを使うと、施工性や取り回しが悪くなることもあります。


つまり、用途ごとに見ると

負荷が大きく、丈夫さが欲しいならVCT
軽負荷で、柔らかさを優先するならVCTF

という整理がしやすいです。

まとめ

VCTとVCTFは、どちらも可とう性を持つケーブルですが、考え方としてはかなり違います。

VCTは、可動する動力用として使いやすく、比較的タフさを重視したケーブルです。
一方でVCTFは、可動する制御用や小型機器向けとして使いやすく、柔らかさや取り回しの良さを重視したケーブルです。

最後に、使い分けのまとめを載せておきます↓

VCT:可動する設備の電源・動力用途(設備の盤内、盤間配線にも使用)
VCTF:可動する設備の制御用途(設備の盤内、盤間配線にも使用)  
※可動する設備とは、繰り返し同一動作を伴うような設備(上下移動または横移動の設備など)
※VCTFはコードに分類されるので内線規程では造営材に固定禁止

ここで難しい判断になるのは「どのくらいの可動であればOKか」です。
最終的にはメーカーへ確認してください。
例えばロボットのような複雑な動きを伴う設備では、専用のロボットケーブルやメーカー推奨品があるはずです。

正直なところ、今回のケーブル比較に限らず、「過去にこの仕様を使って問題がなかったから、今回もこの仕様でよい」と判断する感覚自体は、必ずしも間違っていないと思います。

本来であれば、「なぜその仕様を選定するのか」まで理解し、理論的に説明できることが重要です。
ただ、まずは「過去にトラブルが発生していない仕様か」「過去と同じ環境条件で使用実績があるものか」という視点で選定することにも、一定の妥当性はあると感じています。

つまり、「過去と同じ環境条件で使用して問題がなかったものと同じ仕様を選定した」という判断は、実務上は大きな問題ではないのではないか、という考えです。

もちろん、エンジニアとしては、すべての判断に対して理論的な根拠を持ち、結論を導くことが理想だと思います。

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本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。


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