三相モータが回転する仕組みを分かりやすく解説|三相交流のグラフとコイルの図で理解する

電気・制御
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この記事でわかること
  • 三相モータが回転する基本原理が分かる
  • 三相交流の位相ずれが回転磁界になる理由が分かる
  • コイルのN極とS極が入れ替わる流れを図で理解できる

この記事の対象になる方

  • 三相モータがなぜ回るのか基礎から知りたい方
  • 三相交流とモータの関係がピンとこない方
  • 生産技術、保全、設備設計、または設備に関わる方で電気の基礎を学びたい方

はじめに

三相モータは工場で当たり前のように使われています。

ポンプ、ファン、コンベア、搬送装置、工作機械、空調機器など、少し周りを見れば三相モータだらけです。
ただ、なんとなく三相モータを使用している方も多いのではないでしょうか。
かつて私も、「なんとなく位相差あるから回るよね」くらいの認識でした。

ということで、絵にするととても分かりやすかったのを覚えていますので、ここでぜひ皆さんにも「なるほどー!」となってもらえたらと思います。

なぜ三相交流を入れると、モータが勝手に回るのか。

単相なら、なんとなく電気が入って力が出そうな感じはあります。
でも三相になると、U相、V相、W相、120°ずれ、回転磁界など、一気に言葉が増えて急に難しく感じます。

そこで今回は、三相モータが回転する仕組みを、三相交流のグラフとコイルの図を使って、できるだけ感覚的に分かるように整理していきましょう!

三相モータは回転磁界で回る

最初にシンプルに結論を書いておくと、三相モータは

三相交流によって回転磁界が生まれ、その回転する磁界に引っ張られるように回転子が回る

ことで動きます。
つまり、モータの中で何かが順番に押されているというより、

磁界そのものが変化し「回している」

と考えるのがポイントです。
この回転する磁界を作るために、三相交流が必要になります。

右ねじの法則をおさらい

三相モータの話に入る前に、まずはコイルの基本です。

コイルに電流を流すと磁界が生まれます。
この向きは右ねじの法則で考えます。

右手で電流の向きに親指を向けたとき、残りの指が巻き付く向きが磁界の向きです。
コイルの場合は、この考え方によってN極とS極が決まります。


※コイルの基礎的な記事はこちらをご覧ください↓

コイルは、流す電流の向きが変わると、N極とS極も入れ替わります。

これが三相モータの回転原理の入口になります。

直流を流すとコイルは電磁石になる

コイルに直流を流すと、コイルは電磁石になります。
つまり、N極とS極を持った磁石のような状態になります。

このとき重要なのは、電流方向が固定なら磁界の向きも固定だということです。
直流は向きが変わらないので、作られる磁界もそのままです。

つまり直流では、

  • 電流の向きが一定
  • N極とS極も一定
  • 磁界はその場で固定される

ということになります。
ここで、直流を流した時の導線を、磁界の向きが分かる正面から見た図で見てみましょう。
次の図では、導線を①真上から見たマーク、②真下から見たマークで示しています。

上図右側の①②のマークは、弓矢をイメージし下記の通り考えてください。
●:電流が手前へ向かう
×:電流が奥へ向かう

そして、磁界の回る向きは右ねじの法則より
●:左回り
×:右回り
となります。

この状態では、磁界は作れますが、磁界が変化することはありません。

なので、直流を1組のコイルに入れただけでは、三相モータのような連続回転は生まれません。
同じ向きにしか磁界が生まれないからです。

交流になるとコイルのN極とS極が入れ替わる

では、交流だとどうなるでしょうか。

交流は時間とともに電流の向きが変わります。
プラスになったりマイナスになったりするので、コイルに流れる電流の向きも反転します。

すると、コイルが作る磁界の向きも反転します。
つまり、N極とS極が入れ替わります。

これを理解するために、次のような図を用意しました。

U相、V相、W相は、交流波形のグラフで見ると下図のようになっています。
どこかで「120°ずつずれている」と聞いたことがあると思いますが、その関係を表したグラフです。
理由は、発電側も三相コイルで一周を回るときに120°ずれているからです。

ここで、上図の右側に、先ほどと同じように各相の磁界を並べてみようと思います。
モーターのコイルのように導線が各相ごとに巻いてあり、それが対角線上に置かれているとイメージしてください。
次に、左側のグラフ変化から、磁界がどのように変化するかを図解したいと思います。

その前にリマインドになりますが

交流は一定ではなく、時間とともに正負が変わる

ということを念頭に理解していきましょう。

三相のコイルに流すと磁界が順番に強くなる

ここが、いよいよ三相モータの本体です。

モータの固定子には、実際には複数の巻線が円周方向に配置されています。
ここでは分かりやすく、U相、V相、W相の3つのコイルが、空間的に120°ずれて配置されていると考えます。

そこに、時間的にも120°ずれた三相交流を流すとどうなるか。

すると、

  • ある瞬間はU相の磁界が強い
  • 少し後にはV相の磁界が強い
  • さらに後にはW相の磁界が強い

というように、磁界の強い場所が順番に移っていきます。

つまり、磁界が

U相側 → V相側 → W相側 → U相側

と移っていくように見えるわけです。

さらに、この波形はどの相も+と-を行ったり来たりしていることが分かりますよね。
つまり電流の向きも変わっていることが分かります。

コイルの絵を見てなぜ回転力を生むのか理解する

ここで、グラフ上の位置を少しずつ右にずらしながら、各相の電流がどの向きになり、その結果として磁界がどのように変化するのかを順番に見ていきます。

左のグラフ①の位置でU相とW相のY軸は+側にあり、V相が-側にあることが分かります。

そして、これを右側の磁界の絵に表すと、各相でY軸の+側にあるときはこのマーク↓
●:電流が手前へ向かう&磁界は左回り

Y軸の-側にあるときはこのマーク↓
×:電流が奥へ向かう&磁界は右回り

では、①のポイントでの磁界を再度同じ絵で見てみましょう。
大きな磁界のN極とS極が現れ、真ん中に置いた磁石(回転子)がその磁界に引き寄せられることが分かります。

次に、②のポイントを見てみましょう。
ここでは、U相のみがY軸で+側、他はー側です。
すると右図のようになり、大きな磁界が60°ほど進んだことが分かります。

次に、③のポイントを見てみましょう。
ここでは、U相とV相が+側で、W相はー側のマークです。
すると、右図のようになり、大きな磁界がさらに60°ほど進んだことが分かります。

つまり、三相モータが回るのは、3つのコイルがそれぞれ勝手に動いているからではなく、

3つの交流と3つのコイルを組み合わせることで、結果として磁界が回る

ということになります。

まとめ

三相モータが回転する仕組みは、三相交流によって回転磁界が作られることにあります。

まず、コイルに電流を流すと磁界ができます。
そして、交流なら電流の向きが変わるため、コイルの磁界の向きも入れ替わります。

さらに、三相交流ではU相、V相、W相が120°ずれているため、それぞれのコイルが少しずつ時間差で磁界を作ります。
その結果、磁界の強い向きが順番に移動し、回転磁界になります。

その回転する磁界に引っ張られるように、回転子が回る。
これが三相モータが回る基本原理です。

最後に整理しておきます。

  • コイルに電流を流すと磁界ができる
  • 交流では電流の向きが変わるので磁界も反転する
  • 三相交流では3つのコイルの磁界が時間差で変わる
  • その結果、磁界が回転する
  • 回転磁界によって回転子が回る

本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。

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