IV電線とKIV電線の違い|HIV・HKIVを含め制御盤内での使い分けを解説

電気・制御
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この記事でわかること
  • IV・KIV・HIV・HKIV電線の違い
  • 制御盤内配線での使い分け
  • 柔らかさや耐熱性による選び方

この記事の対象になる方

  • 盤内配線に使用する電線を選定する方
  • IVとKIVの違いが分からない方
  • HIVやHKIVを使うメリットを知りたい方

はじめに

みなさん、こんにちは!
末端エンジニアのにこらです。

制御盤内の配線には、IVやKIVと呼ばれる電線がよく使用されますよね。

そこで、こんな疑問があるのではないでしょうか。

「IVとKIVは何が違うの?」

「制御盤内ではどちらを使うべき?」

「HIVやHKIVにすると何が変わるの?」

この記事では、IV・KIV・HIV・HKIV電線の違いと、制御盤内配線での使い分けについて解説します。

IV・KIV・HIV・HKIV電線の違いを比較

IV・KIV・HIV・HKIVの違いは、以下のとおりです。

比較項目IVKIVHIV HKIV
主な用途盤内配線盤内配線盤内配線
※耐熱が必要な箇所
盤内配線
※耐熱が必要な箇所
導体の種類単線 または
より線(太め)
より線(細め)単線 または
より線(太め)
より線(細め)
柔らかさ単線:硬め
撚線:柔らかめ
非常に柔らかい単線:硬め
撚線:柔らかめ
非常に柔らかい
耐熱温度の代表例60℃
60℃
75℃75℃
取り回し直線的な配線箇所に向いている。細かく曲げる場所では扱いにくい曲げやすく、狭い制御盤内でも取り回しやすいIVとほぼ同じKIVとほぼ同じ
特徴最も一般的なビニル絶縁電線。サイズや色の種類が多く、広く使用される細い素線を多数使用しているため、柔軟性と配線作業性に優れるIVの特徴+耐熱ビニルを使用しており、IVより許容温度と許容電流が高いKIVの特徴+耐熱ビニルを使用しており、KIVより許容温度と許容電流が高い
主な選定理由価格や入手性を重視するとき制御盤内で曲げやすさや配線作業のしやすさを重視するとき周囲温度が高い場所や、IVより大きな許容電流を確保したいとき周囲温度が高い場所や、KIVより大きな許容電流を確保したいとき
※HIVHKIVの「H」は「Heat-resistant」を意味し、耐熱タイプを示す表記として使用されています。

一般的なIVの導体最高許容温度が60℃であるのに対し、HIVは耐熱ビニルを使用し、最高許容温度が75℃となっています。

HKIVも同様に、KIVの柔軟性を持ちながら、75℃の耐熱性を備えた製品です。

IV電線とは

IVは、600Vビニル絶縁電線です。
一般電気工作物、電気機器、制御盤内などに使用される、非常に一般的な電線です。

IVはJIS C 3307に基づく600Vビニル絶縁電線で、導体には単線またはより線があります。

・単線の特徴
導体が1本の銅線で構成されているため硬く、形状を保ちやすいのが特徴です。

・より線の特徴
より線のIVは複数の銅線で構成されているため、単線よりも曲げやすくなります。ただし、KIVと比べると素線が太く、柔軟性は低くなります。

IVの主な用途は、以下のとおりです。

  • 分電盤内の電源配線
  • 照明やコンセント回路
  • 電気機器の配線

価格や入手性を重視し、配線後にほとんど動かさない場所では、IVが選ばれることが多いです。

KIV電線とは

KIVは、600V電気機器用ビニル絶縁電線です。

主に、600V以下の電気機器や制御盤内の配線に使用されます。

KIVの特徴は、より線の導体に細い素線を多数使用していることです。
同じ2sqの電線でも、IVのより線と比べて、KIVの方が細い素線を多く使用しているため、曲げやすくなります。

KIVの主な用途は、以下のとおりです。

  • 盤内の制御配線
  • 電気機器内部の配線

KIVは柔軟性に優れているため、配線ダクトから機器の端子まで細かく曲げる必要がある制御盤内で扱いやすい電線です。

HIV電線とは

HIVは、600V二種ビニル絶縁電線です。

導体の構成はIVとほぼ同じですが、絶縁体に耐熱ビニルが使用されています。

一般的なIVの導体最高許容温度は60℃であるのに対し、HIVの導体最高許容温度は75℃です。

そのため、HIVは次のような場所で使用されます。

  • 周囲温度が高くなりやすい盤内
  • 発熱する機器の近く
  • 配線が集中する場所
  • IVより大きな許容電流を確保したい場所
  • 耐熱性を高めたい電気機器や固定配線

またメーカー資料では、HIVはIVと比較して、許容電流を約1.2倍大きく取れるようになるケースが多いです。
ただし、許容電流は周囲温度や布設方法、電線の本数などによって変わるので注意しましょう。

HKIV電線とは

HKIVは、KIVの耐熱タイプにあたる電気機器用電線です。

KIVと同様に細い素線を多数使用しているため柔らかく、絶縁体には耐熱ビニルが使用されています。

HKIVの主な使用場所は、以下のとおりです。

  • 周囲温度が高くなりやすい盤内
  • 発熱する機器の近く
  • 配線が集中する場所
  • KIVより大きな許容電流を確保したい場所
  • 耐熱性を高めたい電気機器や固定配線

メーカー資料では、HKIVもKIVと比較して、許容電流を約1.2倍大きく取れるようになるケースが多いです。

制御盤内でKIVの柔らかさを維持しつつ、耐熱性や許容電流を高めたい場合に選択肢となります。

IVとKIVの違い

IVとKIVの主な違いは、導体の構成と柔らかさです。

どちらもビニル絶縁電線ですが、想定されている用途も異なります。

比較項目IVKIV
主な用途分電盤、照明、コンセント機器盤内配線(制御機器がメイン)
導体「単線」または「より線」細い素線を多数使用した「より線」
柔らかさ単線は硬く、
より線でもKIVより硬い
IVのより線に比べ、非常に柔らかい
取り回し直線的な配線に向いている細かく曲げる配線に向いている
サイズ表記単線は導体径、より線は公称断面積公称断面積
端末処理分電盤などで直接MCCBに接続している場合もあり圧着端子やフェルール端子を使用することが多い
配線場所固定配線を含め幅広い主に電気機器や制御盤内

柔らかさと取り回しが違う ※ここ大事

IVとKIVを実際に配線したとき、特に違いを感じるのが「取り回しやすさ」です。

IVは比較的硬いため、直線的に配線する場所には向いていますが、狭い盤内で何度も曲げる配線では扱いにくくなります。

KIVは柔らかいため、配線ダクトからブレーカ、リレー、端子台などへ細かく曲げて接続しやすい電線です。

もし制御盤用でIVを選定してしまったら、実際に作業する人から、こう言われるかもしれません。
「おいおい、誰だよアイブイ(IV)にしたのは、、、」

制御盤内では機器同士の間隔が狭く、短い距離で何度も方向を変えて配線することがあります。

このような場所では、KIVの柔らかさが作業性に大きく影響します。

実際にIVで配線敷設をしてみると分かりますが、硬くてやりにくくてしょうがないです。。。

一方で照明やコンセント用の分電盤では、直線が多く、IVが最適になりますので、用途に合わせて使い分けましょう!!

サイズ表記が違う

単線のIVは、1.6mmや2.0mmなど、導体の直径で表記されることがあります。

一方、より線のIVやKIVは、0.75sq、1.25sq、2sq、5.5sqなど、公称断面積で表記されます。

ここでいうsqは、平方ミリメートル(mm²)を表す呼び方です。

例えば、IVの2.0mmとKIVの2sqは数字が同じですが、導体径と断面積で表記方法が異なるため、同じものではありません。

電線を交換するときは、数字だけで判断せず、導体径なのか公称断面積なのかを確認しましょう。

圧着端子との組み合わせが違う

単線のIVは、接続先の端子が対応していれば、そのまま差し込んで接続できる場合があります。

一方、より線のIVやKIVは、素線のばらけを防ぎ、安定して接続するために圧着端子を使用することが多くあります。

●代表的な圧着端子や組み合わせは、こちらの記事をご覧ください↓

●圧着端子ごとに適した端子台の選定は、こちらの記事をご覧ください↓

配線用途が違う

IVは、建物内の固定配線や一般電気工作物、電気機器、盤内配線、コンセント、照明スイッチなど、
幅広く使用されます。

KIVは、主に電気機器内の配線や制御盤内、制御機器に使用する電線です。

使用環境に合わせて、適した電線を選ぶようにしましょう!!

IVとHIVの違い

IVとHIVの主な違いは、絶縁体の耐熱性能です。

比較項目IVHIV
絶縁体ビニル耐熱ビニル
導体最高許容温度の代表例60℃75℃
柔らかさ単線またはより線による単線またはより線による
許容電流基準IVより少し大きく取れる
主な用途一般配線高温場所、許容電流を確保したい場所

HIVは絶縁体に耐熱ビニルを使用しているため、IVより高い温度環境で使用できます。

また、HIVはIVより絶縁体の許容温度が高いため、同じ導体サイズでも許容電流を大きく取れるわけです。

制御盤内配線ではIVとKIVのどちらを使う?

制御盤内で使いやすいのは、基本的には「KIV」です。

前の項で何度も説明しましたが、KIVは取り回しやすさが段違いです。

制御盤内には、ブレーカ、電磁接触器、PLC、リレー、端子台、スイッチング電源など、多くの機器が限られたスペースに配置されています。
そのため、電線を短い距離で細かく曲げながら配線しなければなりません。

KIVは柔らかいため、制御盤内の配線作業にとても向いています。

一方、照明回路や分電盤など、細かな取り回しが少なく、配線後に固定される場所ではIVが選ばれやすくなります。

IVは一般的に流通量が多く、入手しやすい点もメリットです。

選び方を簡単に整理すると、以下のようになります。

使用場所選びやすい電線
制御盤内の細かな配線KIV
高温になりやすい制御盤内HKIV
分電盤や照明などの固定配線IV
高温になりやすい固定配線HIV

ただし、制御盤だから必ずKIV、分電盤だから必ずIVと決まるわけではありません。

敷設する設備の仕様、盤メーカーの標準、接続機器の適合電線、必要な規格を確認して選定してください。

海外向け設備などでULやその他の規格への適合が求められる場合は、IVやKIVではなく、指定された規格適合電線が必要になることもあります。

IVの代わりにKIVを使える?

IVの代わりにKIVを使用できる場合はあります。

ただし、IVとKIVは想定されている用途が同じではないため、無条件に置き換えられるわけではありません。

交換するときは、次の項目を確認しましょう。

端末処理

IVを使用する機器は、単線のまま接続できる場合がほとんどです。

一方、KIVは細い素線を多数使用しているため、接続先に合った圧着端子、フェルール端子を選定する必要があります。

筆者は何度も遭遇したことがありますが、単線のまま接続できる端子により線を接続し、
「おいおい、これ、より線を端子なしで無理やりねじ込んでるよ・・・」
ということにならないよう、接続する機器側も必ず確認するようにしましょう。

機器メーカーの指定

ブレーカ、端子台、PLC、電源などの制御機器には、接続可能な電線の種類やサイズが指定されています。

そのため、単線のまま接続可能か、より線ではどのような端末処理が必要なのかを、必ず確認するようにしましょう。

IVの代わりにKIVを使えるかは、端末処理と接続先の仕様を確認して判断することが重要です

まとめ

今回の記事では、IV・KIV・HIV・HKIVの違いについて取り上げました。

いずれも制御盤や電気機器の配線で使用される電線ですが、それぞれ特徴が異なります。

「対象の電線を使用できるかどうか」という視点だけではなく、「最も適した電線はどれか」という視点で選定することが重要です。


本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。

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