この記事の対象になる方
- 三相モータの正転、逆転の仕組みを基礎から知りたい方
- 相順と回転方向の関係がよく分からない方
- 生技、保全、設備設計でモータ回路の理解を深めたい方
はじめに
三相モータを扱っていて、会話に出てきたことがあるのではないでしょうか。
「逆相につないで逆回転した」
聞いたことがない方もいるかもしれませんが、建屋や排水など、動力に関わる業務で電気や制御に携わっていると、現場でもかなり耳にする言葉だと思います。
筆者も担当していたことがありますが、これは次のような状況で起こりうるものです。
- 停電工事で一時的に予備電源をつないで動力・排水設備を動かした
- 予備電源を切り離して本電源で可動の際に繋ぎ間違えた
絵にするとこんなイメージです↓

いやいや、ウソでしょ?って思うかもしれませんが、人間は普通にこのようなミスをします。
また厄介なパターンとして、実はどこかで逆相になっていたのを修正せずに、逆相のまま設備を使っていた・・・なんてトラップも、古い工場や設備ではあるあるなので要注意です。
事前に検相器で回転方向を確認しておきましょう
この逆相に関して、同様のトラブルに見舞われた方にとっては当たり前の知識かもしれませんが、最初に聞くとこう思いませんか。
なぜ2本を入れ替えるだけで、モータの回転方向が逆になるのか。。。。
どうして回転そのものがひっくり返るのか。
「テレコにすると逆回転になる、という認識はあるけど原理までは・・・・」
と言う方が多いのではないでしょうか。

そんな疑問にお答えするために、正相と逆相をできるだけ分かりやすくイメージ図も用いて解説したいと思います。
理由:逆転するのは回転磁界の向きが反転するから
結論から言うと、モータが逆転する理由はシンプルです。
相を入れ替えると、三相交流の相順が逆になるからです。
三相モータは、三相交流によって作られる回転磁界で回っています。
この回転磁界の向きが正方向ならモータは正転し、逆方向ならモータは逆転します。
例えばV相とW相を入れ替えると、三相交流の流れる順番、つまり相順が変わります。
すると、回転磁界の進む向きが反対になります。
その結果、
モータの回転方向も逆になる
ということです。
三相モータが回る仕組みをおさらい
逆転の話を理解するには、まず通常の回転を軽くおさらいしましょう。
三相モータの固定子には、U相、V相、W相の巻線があります。
ここに120°ずれた三相交流を流すと、巻線ごとに電流のタイミングが少しずつずれて流れます。
すると、
- ある瞬間はU相の磁界が強い
- 少し後にはV相の磁界が強い
- さらに後にはW相の磁界が強い
というように、磁界の強い場所が順番に移っていきます。
この結果、固定子の中では磁界がぐるぐる回っているような状態になります。
これが回転磁界です。
モータの回転子は、この回転磁界に引っ張られるようにして回ります。
三相モータは、巻線そのものが回っているのではなく、磁界が回っているから回ります。
三相のグラフとモータの回り方については、こちらの記事をご覧ください↓
逆相を図で理解してみよう
正相パターンのおさらい
正相パターンについては、「三相モータが回る仕組みをおさらい」の中で紹介した記事に詳しくまとめているので、そちらをご覧ください。
ここでの正相は、以下の図を前提にしています。

次にV相、W相を負荷側でつなぎ間違えたと過程してみましょう。
V相、W相を入れ替える


テレコにしたことで、磁界の向きが正相時と変わりましたね。
逆相パターンで回転方向を確認
次に、送り側波形の見るポイントを徐々にずらしてみましょう。



逆転していることが分かりますね!!
現場で注意したいこと
ここで、少しだけ実務寄りの気を付けるポイントをお伝えしておきます。
三相モータは、2相を入れ替えれば逆転してしまいます。
そのため現場では、動力配線を触る前に以下のことに注意してください。
- 正逆の方向と三相の色を必ず確認
- 機械側が逆転許容できるのかどうか
- ポンプやファンで逆回転して問題ないか
- 安全的にインターロックされているか
正直、逆転を許容できたとしても、復旧後に逆で繋ぐ行為は本来あってはならないことです。
そのため、②~④が許容できたとしても必ず①を確認し、間違えないようにしましょう。
電気的には逆転できても、機械的には逆回転NGの設備がほとんどだと思います。
まとめ(正相・逆相の比較図あり)

最後に、正相・逆相の比較をまとめて図で理解しておきましょう。

上図の通り、三相モータが逆相で逆転する理由は、相順が逆になることで回転磁界の向きが反転するからです。
通常、三相交流は
U → V → W
の順で進み、その順番で磁界の強い場所が移動することで、回転磁界ができます。
ところが、V相とW相を入れ替えると
U → W → V
の順に変わり、磁界の進み方が逆になります。
その結果、モータが逆回転するという流れになります。
今回の学習を通して整理するとこうです。
- 三相モータは回転磁界で回る
- 回転磁界の向きは相順で決まる
- 2相を入れ替えると相順が逆になる
- 相順が逆になると回転磁界が逆になる
今回は「逆相で逆転するのはなぜか?」について図解しました。
逆相には十分注意していただき「必ず検相確認を行う」ことを念頭に置いていただければと思います。
本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。



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