この記事の対象になる方
- 設備更新、省配線、デジタル化の流れを押さえたい方
- 生産技術、保全、製造、生産設備に関わる全ての方
- FA機器メーカーの動向をざっくり追いたい方
はじめに
今回は、2026年5月3日から5月9日確認時点までを対象に、国内FAメーカー5社の動向をまとめていきたいと思います。
対象メーカーは、オムロン、KEYENCE、三菱電機、IAI、安川電機です。
なお、この記事では主に新商品、FA関連ニュース、製造現場に関係しそうな技術情報を中心に週次で紹介します。
FAメーカーのニュースは、単に新商品名を追うだけでは少しもったいないです。
そのため、筆者の独断と偏見を交えて、「こういうところに実導入できそう!」といった視点で展開したいと思います。

その製品や発表が、現場の省人化、保全性、立ち上げ工数、設備設計にどう関係するのか。
この視点で見ることで、実運用の可能性はグッと上がります。
それでは行ってみましょう!!

2026年5月第2週の5社動向をざっくり把握
オムロン
今回深掘りするほどの新商品ニュースは見当たりませんでした。
前回までに、OLシリーズ自動搬送モバイルロボットや、耐環境型IP67パワーサプライ/DC遮断BOXなどを取り上げましたが、今回は新たに単体で深掘りする内容は少なそうです。
KEYENCE
今回深掘りするほどの新商品ニュースは見当たりませんでした。
三菱電機
三菱電機については、2026年5月8日に「レーザ発振器:新製品を追加しました」として、ファイバレーザ発振器MFシリーズが掲載されています。
概要としては「ファイバレーザ加工機に搭載してきた自社製レーザ発振器を、コンポーネントとして展開する内容」となります。
IAI
今週の注目はまたまたIAIです!!
IAIは2026年5月7日付で、「ミクロシリンダーが登場」と公式サイトのお知らせにも掲載しています。
また、IAIの単品カタログページにも「ミクロシリンダーが登場」としてカタログが掲載されています。
参考元URL:https://www.iai-robot.co.jp/product/new/index.html
今回は、このIAIのミクロシリンダーを中心に、生産技術・保全目線で気になった点を取り上げます。
安川電機
今回深掘りするほどの新商品ニュースは見当たりませんでした。
直近では、マシンコントローラやインバータ関連の動きがありましたが、今回は対象期間中の新商品ニュースとしては扱わず、次回以降の動向を見ていきたいと思います。
IAI|ミクロシリンダーでさらに電動化を加速
今回特に気になったのは、IAIのミクロシリンダーです。
IAIは2026年5月7日に、新製品としてミクロシリンダーを案内しています。
ミクロシリンダーは、ロッドタイプ、テーブルタイプ、グリッパータイプの大きく3種類をラインアップしています。
IAIの取扱説明書一覧でも、ECミクロシリンダーとしてロッドタイプ、テーブルタイプ、グリッパータイプが確認できます。
3種:ロッドタイプ・テーブルタイプ・グリッパータイプをラインアップ
ミクロシリンダーは、大きく分けて次の3種類です。
IAIのミクロシリンダーカタログでは、「小さくても従来の同等機種よりもハイスペック」と紹介されており、ロッドタイプでは走行寿命2000万回往復、テーブルタイプでは最大推力25N、グリッパータイプでは最大把持力46.5Nとなります。
つまり、ただ小さくしただけではなく、従来の同等機種に対して性能面も意識した製品となります。
生産現場では、装置内のスペースはいつも足りません。
- センサを置きたい
- ケーブルを逃がしたい
- 配管を通したい
- カバーを付けたい
- 安全柵との干渉を避けたい
- 保全時に手を入れるスペースを残したい
等々・・・
こういったことを考えると、アクチュエータ本体が小さくなるメリットはかなり大きいです。
省スペース化は設備・装置構造から見ても大きい
ミクロシリンダーの省スペース化は、設備・装置構造の視点でかなりメリットがあります。
特に小型装置や後付け改造では、アクチュエータを置くスペースがネックになることが多いです。
- 位置決め制御を行いたい
- でも、サーボを入れるにはサイズが大きい
- メカ機構的にも収まりが悪い
- エアシリンダの置き換えをしたいけれど、電動アクチュエータではスペースが厳しい
等々・・・
こういう場面は現場でかなりありますよね。
これまでであれば、ステッピングモータを使ってできる限り小型化する、あるいはエアシリンダのまま使う、という選択になることも多かったのではないでしょうか。
しかし、ミクロシリンダーのような小型電動アクチュエータが使いやすくなると、さらに一段上の省スペース化が期待できます。
電動アクチュエータの小型化は、エアシリンダ置き換えの対象範囲をさらに広げることが可能
これが、今回のミクロシリンダー登場でFA市場にもたらす一番大きなメリットだと思います。
エアシリンダが強かった領域に電動化が入り込む
これまでエアシリンダが強かった領域の一つが、狭い場所、小さい動作、単純な押し出し・引き込みです。
エアシリンダは安くて、速くて、使いやすいです。
制御も至ってシンプル。
- 電磁弁をON/OFFすれば動く
- スピコンで速度調整できる
- 構造も比較的分かりやすい
この手軽さは、電動アクチュエータにはなかなか真似しにくい部分です。
ただし、エアシリンダにも弱い部分があります。
もちろん、エアシリンダは今後も多くの現場で使われ続けると思います。
ただ、小型の電動シリンダが使いやすくなると、これまでエアで済ませていた小さな動作も、電動化・データ化の対象になっていきます。
さらに、難しいとされてきた「エア廃止」も、いよいよ実現可能な領域まで来たといえるのではないでしょうか。
小さな動作もデータ化の対象になる
電動アクチュエータのメリットは、単にエアを使わないことだけではありません。
- 動作位置
- 速度
- 加減速
- 押し付けトルクの状態
- 異常状態
- 動作回数
こういった情報を扱いやすくなる点に価値があります。
現場では、小さなシリンダが大量に使われている設備も多いです。
たとえば、ワークの押し出し、ストッパ、位置決め、仮押さえ、チャック、整列、搬送補助などです。
一つひとつの動作は小さくても、その小さな動作が不安定になると、チョコ停や品質不良につながります。
エアシリンダの場合、動作が遅くなっても、途中で引っかかっても、原因がすぐに見えないことがあります。
- スピコンの調整なのか
- エア圧なのか
- 配管なのか
- シリンダ劣化なのか
- メカの渋りなのか
- センサ位置なのか
現場で原因を追いかけると、地味に時間がかかります。
筆者も、何度もオートスイッチの調整に手間取ったことがあります。
「おいおい、増し締めマークだらけじゃん…」なんてものに遭遇したこともあります。
一方で、小型の電動シリンダであれば、動作条件を数値で扱いやすくなります。
これは、保全目線でも大きなメリットです。
小さな動作ほど、トラブル時に原因が見えにくい。
だからこそ、小型アクチュエータの電動化は、見える化や保全性の向上につながります。
無線ティーチングによる省配線にも期待
さらに、IAIのエレシリンダー系では、従来から無線ティーチングに対応した製品展開があります。
無線接続とは、装置外部から位置調整や動作条件の設定、アクチュエータの動作ができるということです。
つまり設定用の制御配線が廃止されることにより、従来の位置決め制御に使用するモーター配線のようなサイズは不要というメリットがあります。
これは省配線という意味でもかなり魅力がありますよね。
装置内の狭い場所にあるアクチュエータを調整する場合、いちいちティーチング用のケーブルを接続するのは面倒です。
- 制御盤の中に入り込む
- 装置カバーを外す
- 狭い場所に手を入れる
- ケーブルを引き回す
- 作業姿勢が悪くなる
こういう調整作業は、保全や立ち上げの現場ではよくあります。
特に小型アクチュエータは、装置の奥まった場所や狭いスペースに入りやすいです。
そうなると、本体が小さいだけでなく、調整方法も含めて扱いやすいかどうかが重要になります。
これを見越して、無線にも対応した抜け目ない流れなのでしょう。
生産技術・保全目線で見る今回のポイント
今回のIAIミクロシリンダーを見て感じたポイントは、大きく3つあります。
ポイント① 小型電動化の対象範囲が広がる
1つ目は、小型電動化の対象範囲が広がることです。
これまでエアシリンダで処理していた小さな動作も、ミクロシリンダーのような製品が出てくることで、電動化の候補に入りやすくなります。
特に、狭い装置内、簡単な押し出し、引き込み、小型ワークの把持などでは、サイズの小ささがかなり重要です。
電動化したいけれど、スペースがない。
この問題に対する選択肢が増えるのは、かなり大きいと思います。
ポイント② 省スペースは設計自由度に効く
2つ目は、省スペース化が装置設計の自由度に効くことです。
アクチュエータが小さくなると、単純に装置を小さくできるだけではありません。
こうしたメリットがあります。
現場では、設計段階では成立していても、組み上げてから「手が入らない」「センサ調整しにくい」「ケーブルが曲がりすぎる」といった問題が出ることがあります。
省スペース化は、こうしたトラブルの回避にもつながります。
ポイント③ 小さな動作も見える化・データ化される
3つ目は、小さな動作も見える化・データ化されていくことです。
大きなロボットやサーボ軸だけでなく、小さな押し出し、引き込み、把持動作まで電動化されると、設備全体の状態をより細かく見られるようになります。
これは保全目線ではかなり重要です。
チョコ停は、必ずしも大きな設備故障から発生するわけではありません。
- 小さなシリンダの動きが悪い
- ワークの押し出しがわずかに遅れる
- 把持位置が少しずれる
- 戻り端確認がたまに遅い
こういった小さな違和感、経年劣化が積み重なることで設備停止や品質不良につながります。
小型アクチュエータの電動化が進むと、こうした小さな動作の状態もデータとして扱いやすくなる可能性があります。
まとめ
2026年5月第2週の国内FAメーカー動向では、IAIのミクロシリンダーが特に気になる内容でした。
これまでエアシリンダが強かった狭い場所、小さい動作、単純な押し出し・引き込みといった領域にも、電動化の選択肢が入りやすくなります。
電動アクチュエータの小型化は、エアシリンダ置き換えの対象範囲をさらに広げる。
そして、小さな動作の見える化は、設備の安定稼働やチョコ停削減にもつながる。
今後も国内FAメーカーの最新動向を追いながら、単なるニュース紹介ではなく、現場目線で「どう使えそうか」「どこに注意すべきか」を整理していきたいと思います。
当サイトでは、国内FAメーカーの最新動向を毎週まとめています。
新商品やFA関連ニュースを、生産技術・保全・製造現場の目線で分かりやすく整理しています。
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本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。



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