インバータはなぜ省エネになる?ファン・ポンプで効果が出やすい理由

電気・制御
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この記事でわかること
  • インバータを使うとなぜ省エネになるのか
  • 直入れ運転とインバータ運転の違い
  • インバータ化で省エネ効果が出やすい設備、出にくい設備

この記事の対象になる方

  • インバータ化による省エネ効果を知りたい方
  • 三相モーター、ファン、ポンプ、コンベアを扱う方
  • 生産技術、設備保全、電気制御の仕事をしている方

はじめに

工場設備では、三相モーターを使ってファン、ポンプ、コンベア、撹拌機などを動かしていることが多いです。

その中でよく聞かれるのが、
「インバータを使うとなぜ省エネになるのか?」
という疑問です。

結論としては、

インバータは「モーターの回転数そのものを下げることができる」ので、
必要以上にモーターを回さずに済む ⇒ 省エネにつながる

ということです。

実際には、インバータを付ければ何でも電気代が下がるわけではありません。
省エネ効果が出やすい設備もあれば、効果が出にくい設備もあります。

特に効果が出やすいのは、ファンやポンプのように、これまでダンパやバルブで無理やり流量を絞っていた設備です。
これらの設備は、インバータで回転数そのものを落としてムダな電力を減らせるため、省エネにつながりやすいです。

この記事では、インバータを使うとなぜ省エネになるのか、直入れ運転との違い、電気代のイメージ、省エネ効果が出やすい設備・出にくい設備について解説します。

なぜインバータを使うと省エネになるのか?

ここが普段からよく聞かれるポイントです。

前項の内容をもう少し掘り下げて説明すると、インバータを使うことで、

本当に必要な回転数・トルクだけ出すようにできるからです。

直入れ運転では、モーターは商用電源の50Hzまたは60Hzでほぼ一定速で回ります。

そのため、ファンの風量やポンプの流量を下げたい場合でも、モーター自体は高い回転数で回したまま、ダンパやバルブで無理やり絞っているケースがあります。

例えば、次の図のように物理的に絞っているケースです。

このような運転では、必要以上にモーターを回しているため、ムダな電力が発生しやすくなります。

一方、インバータは周波数をコントロールして、モーターの回転数を下げることができます。
そのため、ダンパやバルブで絞る必要がなくなり、このムダな電力を抑えることができます。

結果、省エネにつながるというわけです。

インバータは、周波数をコントロールできる
つまり、モーターの回転数を任意の値に変更できるということを覚えておきましょう!

直入れ運転とインバータ運転の比較例

イメージしやすいように、簡単な数値で比べてみます。

実際の現場では、負荷条件でもう少しブレますが、ここでは考え方のイメージとして見てください。

ケース1:三相モーターを直入れで動かしている場合

  • 定格容量:5.5kW
  • 電源:三相AC200V
  • モーター定格回転数:1500rpm
  • 実際の機械側:減速比 1/2 で 750rpm で使用
  • 力率:0.9 と仮定
  • モーターに流れている電流:仮に 10A とします

このときの入力電力はおおよそ、

200V(電圧) × 1.73(三相) × 0.9(力率) × 10A(電流)
= 約3kW

と考えられます。

この場合、モーターは定格に近い電圧・周波数が印加されていますが、
使用している回転数は減速機によって、定格回転の1/2となります。
つまり使用していない1/2の回転数分の電力は省エネできる可能性があります

ケース2:インバータで回転数を落として使っている場合

では、同じ5.5kWモーターを、減速機は使用せずにインバータで

  • 回転数:750rpm相当(定格の約1/2)
  • 周波数:定格の約1/2
  • 電圧:周波数に比例して約1/2(100V相当)
  • 電流:10Aと仮定

になるように制御したとします。

100V(電圧) × 1.73(三相) × 0.9(力率) × 10A(電流)
= 約1.5kW

となり、入力電力はおおよそ半分程度になります。

実測するとここまできれいな数字にはなりませんが、

  • 回転数を半分に落として
  • それに合わせて電圧も半分にし
  • トルク(=必要な力)はほぼ一定で

という条件だと、概念的には「入力電力も約1/2になる」というイメージです。

電気代で見るインバータ省エネのイメージ

インバータによる省エネ効果は、電気代で見るとイメージしやすくなります。

例えば、5.5kWのモーターを1日8時間、月20日運転するとします。

仮に平均消費電力が5.5kWだった場合、1か月の消費電力量は次のようになります。

5.5kW × 8時間 × 20日 = 880kWh

電気代を1kWhあたり25円とすると、

880kWh × 25円 = 22,000円

となります。

もしインバータ化によって平均消費電力を30%削減できた場合、

22,000円 × 30% = 6,600円

よって、1か月あたり約6,600円の削減イメージになります。

つまり、年間では6,600円 × 12か月 で、なんと79,200円の削減となります。 

これがもしも複数台あるとなれば、バカになりませんよね?

ただし、実際には電気料金単価、運転時間、負荷率、設備の使い方によって変わります。

インバータで省エネになる「条件」

ここまで聞くと、「よし、全てインバータ化してしまおう」という気になるかもしれません。

ただインバータにすれば、何でもかんでも省エネになるわけではない です。

省エネ効果が大きいのは、こんな設備です。

  • 元々、ダンパ・バルブ・スロットルで「ムダに絞っていた」ファン・ポンプ
  • 機械側の減速比やクラッチで速度を落としていたコンベア・回転機
  • 常にフル回転させる必要はないのに、とりあえず直入れで回していた設備

つまり、「本当はいらない出力」を垂れ流していたところにインバータを入れると、省エネ効果が出やすいということです。

一方で、省エネ効果が出にくいのは、次のような設備です。

設備の状態省エネ効果が出にくい理由
常にフル回転が必要回転数を下げる余地が少ない
回転数を落とすと品質に影響する生産条件を変えられない
短時間しか動かない運転時間が短く、電気代削減効果が小さい

省エネ以外のメリット

省エネだけでなく、インバータ化には他にもメリットがあります。

  • ソフトスタート・ソフトストップ
    → 機械に優しく、衝撃トルクを抑えられる
  • 速度変更が簡単
    → ラインタクト変更・段取り替えに柔軟に対応できる
  • 始動電流を抑えやすい
    → 直入れ起動のように大きな突入電流が流れにくく、電源や機械への負担を抑えやすくなる

省エネ目的でスタートしても、結果的に「機械寿命が延びる」「ライン調整がしやすくなる」といった副次効果も得られるケースが多いです。

インバータ化で最も気を付けてほしいこと

筆者は300台以上のインバータを更新してきましたが、気を付けてほしいことが一つだけあります。

それは、

インバータで周波数制御をする際は、モーター側からのフィードバック制御を付けることを推奨します

筆者は過去、「予算上の都合からモーター側は更新しない」という条件のもとインバータ化し、
その後「回転数が安定しない」「実は低周波数での回転数が必要だった」などの理由から、追加改造を余儀なくされたことがあります。

みなさんもインバータ化する際は、モーターとの制御をセットで考えるようにしましょう。

まとめ

  • インバータを使うと省エネになる理由は、モーターの回転数を必要な分だけに調整できるからです。
  • 直入れ運転では、モーターは商用電源の周波数でほぼ一定速で回ります。
    そのため、ダンパやバルブで無理やり絞っている場合、インバータを使うことで省エネにつながる場合があります
  • インバータ化は省エネ効果だけでなく、ソフトスタート、速度変更、始動電流を抑える等のメリットがあります。

本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。

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