インバータ・サーボアンプの設置間隔|ダクトとの離隔距離と放熱対策

電気・制御
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この記事でわかること
  • インバータやサーボアンプに設置間隔が必要な理由
  • 配線ダクトとの離隔距離を決める考え方
  • 制御盤内に複数台を配置するときの注意点

この記事の対象になる方

  • 新規で制御盤を発注、または設計しており、制御機器の配置を検討している方
  • インバータやサーボアンプを制御盤に追加したい生技、保全、製造、メーカーの方
  • 盤内温度や機器故障に悩んでいる生技、保全、製造、メーカーの方

はじめに

みなさん、こんにちは!末端エンジニアの二コラです。

インバータやサーボアンプを制御盤内に取り付けるとき、
本体が収まれば問題ないと考えていないでしょうか。

答えは「NO」です。

実際の制御盤設計では、本体寸法だけでなく、上下左右の設置間隔も考慮する必要があります。

特に注意したいのが、配線ダクトとの距離です。

インバータやサーボアンプのすぐ上や下に配線ダクトを配置すると、吸気口や排気口をふさぎ、機器内部に熱がこもる可能性があります。

インバータやサーボアンプの設置間隔は、空いていればよいのではなく、
使用する機種の取扱説明書に従って決める
ことが重要です。

メーカーやシリーズ、容量によって必要な距離が異なるため、「前回もこの間隔だったから今回も大丈夫」と判断するのは危険です。

この記事では、インバータ・サーボアンプの設置間隔について、「なぜ離隔が必要なのか」を筆者の経験談を踏まえて解説していきたいと思います。

それでは、いってみよー!

インバータやサーボアンプにはなぜ離隔距離が必要なのか

まず結論からいうと、周囲との離隔距離が必要になる主な要因は以下のとおりです。

①冷却ができない
②冷却ファンを交換する際に手が入らない
③過熱によるアラームが発生する
④内部部品の寿命が短くなる

⑤メーカー指示の設置環境が守られておらず、故障時に保証が効かない

はい、これらが理由です。

特にご注意いただきたいのが、
⑤メーカー指示の設置環境が守られておらず、故障時に保証が効かない
という点です。

メーカー取説の設置環境が守られているかが最も重要

まず、各メーカーから以下のように、設置環境の指示が取扱説明書またはユーザーズマニュアルに、必ずと言っていいほど記載があります。

※参考元:三菱電機汎用インバータA800取扱説明書(詳細編)P.40_2.3.4_インバータの据付(1AJ008)

そして、想定される機器寿命よりも早く故障した場合、「これを守っていないとどうなるか」というと、

故障機器の交換品はどこが準備するのか

という議論になります。

また、故障後に保全員が交換する際、まず最初に確認するのが、

機器メーカー指示の設置環境が守られていたかどうか

になります。

保全員がしっかりしている企業であれば、必ずと言っていいほどここを確認します。
そして、守られていなかった場合、なぜ守られていないのか「なぜなぜ分析」が始まります。

冷却計算をしたので離隔を取っていないという理由は要注意

納入先企業よりけりですが、
「冷却計算をしたので離隔を取っていないという理由は要注意」です。

理由は、故障時に原因究明した際、それだけではOKと判断した理由にならないからです。

あくまで、

機器メーカーの設置指示 >>> 第三者の冷却計算

という関係性であることを忘れてはいけません。

もし、機器メーカーの担当者が「その離隔でOKです」と言ったのであればOKでしょう。

どうしても離隔が取れないときは納入先企業の担当者に、
「メーカー指示である離隔は取れていませんが、冷却計算ではOKでした。設置しても問題ないでしょうか」と確認するようにしてください。

特に「メーカー設置指示がある」ということを担当者に認識してもらわないまま故障してしまうと、後にトラブルにつながる可能性があるのでご注意ください。

イメージしやすい例

例えば、PCを注文してPCメーカーではない商社の担当者から、
「このPCは耐水なのでお風呂で使ってOKです!」
と言われてお客様が使ったとします。

ただしPCメーカーは、防塵・防水性能を表すIP規格にIP67、IP68とも記載していませんでした。

結果、予定より早く壊れてしまった場合、
「このPCの保証は誰がどうしますか?」
ということと似ています。

筆者は保全員側で同様のトラブルに見舞われた経験があります。

故障が想定寿命より早かった場合、これは誰が判断したのか、どこに再改造してもらうのか、予算はどうするのか、などなど、決め事がたくさん発生しました。。。

皆さんもどうかご注意ください。

熱が発生する理由について

インバータやサーボアンプは、モーターへ供給する電力を半導体素子によって高速に制御しています。

運転中は内部で損失が発生し、その損失の一部が熱になります。

そのため、多くの機種では下図のように本体の下側から空気を取り込み、上側へ熱を逃がす構造が採用されています。

※参考元:三菱電機汎用インバータA800取扱説明書(詳細編)P.40_2.3.4_インバータの据付(1AJ008)

日本電機工業会の資料でも、制御盤の冷却を検討するときは、盤内に収納される各機器の発熱量を合計し、盤の放熱面積や冷却方式を検討する考え方が示されています。

ただし、あくまで関係性としては、

機器メーカーの設置指示 >>> 第三者の冷却計算

ということは認識しておきましょう。

設置時の他注意点

設置間隔はメーカーや機種によって異なる

インバータやサーボアンプの設置間隔には、すべてのメーカーに共通する一律の数値があるわけではありません。

必ず選定したインバータメーカーの設置環境指示を守るようにしましょう。

配線ダクトとの距離を確保する

制御盤では、インバータやサーボアンプの上下に配線ダクトを配置することがありますよね。

しかし、配線ダクトを近づけすぎると、メーカーが指定している通風スペースの中にダクトが入り込んでしまいます。

例えば、機器の上側に50mm以上のスペースが必要な場合は、機器上面から配線ダクトの端まで50mm以上確保するのが基本です。

鉄製取付板からの寸法や、他機器との距離、ダクトの中心位置ではありません。

離隔距離は、機器本体の端から、空気の流れを妨げる最も近い障害物までの距離として確認します。

ダクトを配置するときは、可能であれば次の点も確認します。

  • ダクトの通線孔から電線を引き出せるか
  • 主回路電線の曲げ半径を確保できるか
  • 端子カバーを取り外せるか
  • ドライバーやトルクレンチを使用できるか
  • 冷却ファンを交換できるか

CAD上では配線できそうに見えても、実際には太い電線が曲がらず、端子へ接続できない、カバーが取り外しできないことがあります。

設置間隔は放熱だけでなく、配線作業や保守作業のためのスペースでもあります。
もし心配があれば、納入先担当者へ確認するようにしましょう。

よくある設計ミス

本体寸法だけで盤のレイアウトを決める

インバータの外形寸法が幅150mmだからといって、150mmの空間があれば設置できるわけではありません。

左右の離隔、配線ダクト、電線の曲げ、端子へのアクセスを含めると、実際に必要な幅はさらに大きくなります。

配線ダクトを後から追加する

機器配置を先に決め、最後に余った場所へダクトを配置すると、インバータの吸排気スペースをふさいでしまうことがあります。

機器と配線ダクトは、同時に配置を検討する必要があります。

盤内温度を確認していない

離隔距離を確保していても、制御盤内の温度がメーカーの使用条件を超えていれば問題です。

インバータやサーボアンプの発熱量だけでなく、スイッチング電源、トランス、回生抵抗器などの発熱も含めて検討しましょう。

設計時の確認チェックリスト

インバータやサーボアンプを配置するときは、次の項目を確認します。

  • メーカー名、シリーズ、型式、容量
  • 正しい取り付け方向
  • 上下左右の必要スペース
  • 周囲温度の使用条件
  • 密着取り付けの可否
  • 複数台を配置するときの条件
  • 端子締め付け作業のスペース ※スペース確保が難しければ担当者へ確認
  • 冷却ファン交換などの保守スペース ※スペース確保が難しければ担当者へ確認
  • 盤内ファンやクーラーによる空気の流れ

特に注意したいのが、同じシリーズでも容量によって本体構造や冷却方式が変わる場合があることです。

シリーズ名だけで判断せず、実際に使用する型式の取扱説明書を確認してください。

まとめ

インバータやサーボアンプを制御盤内に設置するときは、本体が収まるかだけでなく、配線ダクトや周辺機器との離隔距離を確認する必要があります。
設置間隔が必要になる主な理由は、放熱、通風、配線、保守スペースの確保となります。

そして最も大事なことは、「メーカーの設置要件を守ること」です。

メーカーの設置要件には、盤内温度の上昇を考慮し、インバータ、サーボアンプの故障リスクを減らす指示が明記されています。
万が一守れない場合、独断で判断せず、納入先企業と協議するようにしましょう。


本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。

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