この記事の対象になる方
- 設備更新、省配線、デジタル化の流れを押さえたい方
- 生産技術、保全、製造、生産設備に関わる全ての方
- FA機器メーカーの動向をざっくり追いたい方
はじめに
今回は、2026年5月17日から5月23日確認時点までを対象に、国内FAメーカー5社の動向をまとめていきたいと思います。
対象メーカーは、オムロン、KEYENCE、三菱電機、IAI、安川電機です。
なお、この記事では主に新商品、FA関連ニュース、製造現場に関係しそうな技術情報を中心に週次で紹介します。
FAメーカーのニュースは、単に新商品名を追うだけでは少しもったいないです。
そのため、筆者の独断と偏見を交えて、「こういうところに実導入できそう!」といった視点で展開したいと思います。

その製品や発表が、現場の省人化、保全性、立ち上げ工数、設備設計にどう関係するのか。
この視点で見ることで、実運用の可能性はグッと上がります。
それでは行ってみましょう!!

2026年5月第4週の国内FAメーカー動向をざっくり把握
オムロン
今回深掘りするほどの新商品ニュースは見当たりませんでした。
KEYENCE
KEYENCEでは、業務用フルスクリーン ハンディターミナル「DX-A800シリーズ」へAI搭載のOCRツール「DX-OCR2」が搭載したことを発表しています。
URL:https://www.keyence.co.jp/products/mobile-computers/handheld-computers/dx-a800/
AI搭載OCRをハンディターミナル上で使えることは、検査、記録、照合、トレーサビリティの効率化につながります。
さらに、保全目線で見ても、メンテ性の向上が期待できると考えます。
三菱電機
今回深掘りするほどの新商品ニュースは見当たりませんでした。
IAI
IAIでは、2026年5月18日に「ロボシリンダー®細小型」をリニューアルしています。
URL:https://www.iai-robot.co.jp/product/new/index.html
今回のリニューアルでは、主に次のような改善点が紹介されています。
- バッテリーレスアブソリュートエンコーダに対応
- 最大可搬、水平が従来より4倍アップ
- リード追加により最高速が従来より1.8倍アップ
- ケーブルボックスがなくなり、スリムな形状に変更
- ケーブル取出し方向を変更でき、設置に合わせた配線がしやすい
特に、ケーブルボックスが不要になった点は、設備設計目線ではありがたいポイントです。
小型装置では、アクチュエーター本体だけでなく、ケーブルの逃がし、カバーとの干渉、隣接部品とのクリアランスが問題になることがあります。
そのため、細小型のまま可搬や速度が上がり、さらにケーブルまわりがすっきりするのであれば、省スペース設備や小型装置への組み込みで使いやすくなりそうです。
安川電機
今回深掘りするほどの新商品ニュースは見当たりませんでした。
今回は、対象期間中に動きが目立ったKEYENCEを中心に、生産技術・保全視点で気になった点を取り上げます。
今週の注目:KEYENCE「DX-A800」搭載のAI-OCRツール「DX-OCR2」
今週の注目は、KEYENCEの業務用フルスクリーン ハンディターミナル「DX-A800シリーズ」に搭載されたAI-OCRツール「DX-OCR2」です。
まず、OCRとは何かを簡単に整理しましょう。
OCRとは何か?
OCRとは、画像の中にある文字を読み取り、データとして扱えるようにする技術です。
例えば、紙に印字された文字、ラベルのロット番号、賞味期限、銘板の型式、7セグ表示、手書きの英数字などを、カメラで読み取って文字データに変換するイメージです。

製造現場では、文字ではなく、情報が入っているバーコードやQRコードで管理するものもあります。
しかし実際には、すべての情報がコード化されているわけではありません。
- 日付だけが印字されている
- ロット番号が文字で印字されている
- 銘板に型式が書かれている
- 現品票の文字を人が読んでいる
- 設備表示器の7セグ表示を人が見ている
- 手書きの英数字が残っている
こうした場面では、人が目視で確認し、その後に紙へ記入したり、PCへ入力したりする作業が発生します。
人が介在=ミスが発生する可能性があるという事ですよね。
この「人が見て、手で入力する作業」を減らす技術として、OCRは非常に相性が良いということです。
ただし、従来のOCRには現場で使う上で難しい部分もありました。
従来OCRで難しかった「正解文字の管理」
筆者的に、OCRで難しいと感じるのは、単に文字を読む精度だけではありません。
むしろ難しいのは、文字登録辞書。
つまり「何を正解文字として扱うか」の管理です。
OCRは、あらかじめ登録された文字、またはユーザーが画像撮像しアプリケーションにインストールした文字を正解文字とする仕様になっている場合がほとんどです。
そのため、読み取り対象の文字がきれいで、印字状態も安定していれば、比較的うまく読めます。
しかし、製造現場の文字はいつもきれいとは限りません。
このような場合、OCRの精度が高いからこそ、逆に「登録された正解文字と違う」と判断してしまうことがあります。
つまり、人間なら「少し崩れているけど、これは8だな」と読める文字でも、従来のOCRでは「正解文字ではない」「別の文字かもしれない」と判定してしまうことがあるわけです。
ここが現場導入で悩ましいポイントです。
OCRは、文字を読む技術であると同時に、「何を正解として扱うか」を管理する技術でもあります。
つまり正解と不正解の境界が曖昧なまま導入すると、現場での管理が一段と難しくなります。
AI搭載OCRで難読文字への対応が進む
今回のDX-OCR2で注目したいのは、AI-OCRによって難読文字への対応力が高まっている点です。
DX-A800シリーズの文字認識機能について、バーコード化されていない日付や文字、難読文字、手書き英数文字を読み取れることが紹介されています。
また、独自開発のAI-OCRアルゴリズムにより、にじみ、背景模様、透明フィルム、文字くっつき、手書き、7セグなどにも対応できるようになった例が示されています。
これは、従来OCRで課題になりやすかった「少し崩れた文字」「現場特有の読みにくい文字」に対して、AI側が特徴を見て判断しやすくなるということだと考えています。
もちろん、AI搭載だから何でも100%読めるという話ではありません。
照明条件、印字品質、撮像距離、対象物の反射、ラベルの汚れ、等は実際にテストしてみる必要があります。
ただ、従来のように「登録辞書に合うきれいな文字しか読みにくい」という状態から、現場にありがちな難読文字へ対応しやすくなる点はとても大きいです。
生産技術・保全目線で見る今回のポイント
ポイント1:目視確認・手入力の削減に効きやすい
DX-OCR2のようなAI搭載OCRは、目視確認や手入力が残っている現場と相性が良いです。
製造現場では、ロット番号、期限表示、型式、現品票、銘板、検査番号などを、人が見て確認している場面が多くあります。
これをハンディターミナルで読み取ってデータ化できれば、紙への記入やPCへの転記を減らせる可能性があります。
特に、検査、出荷、入出庫、生産管理、トレーサビリティのような業務では、入力ミスや確認漏れを減らす効果が期待できます。
ポイント2:AI-OCRにより「現場の読みにくい文字」に対応しやすくなる
従来OCRで難しいのは、きれいな文字を読むことよりも、現場で少し崩れた文字を安定して読むことです。
印字のかすれ、にじみ、文字くっつき、透明フィルム越しの文字、背景模様、手書き文字、7セグ表示などは、現場では普通に出てきます。
DX-OCR2では、AI-OCRによってこうした難読文字への対応が進んでいる点が注目ポイントです。
筆者としては、OCRの実運用で難しい「文字登録辞書」「正解文字の管理」の負担を、AI-OCRが軽くしてくれる可能性があると見ています。
これにより、従来は「読めるようにするための調整」に時間がかかっていた場面でも、より現場導入しやすくなると考えられます。
ポイント3:ノーコード開発ツールにて業務アプリケーションを作成可能
最後のポイントとして、今回のAI-OCR搭載だけでなく、ノーコード開発ツール「DX-H2A」も搭載されたことを紹介しておきます。
URL:https://www.keyence.co.jp/products/mobile-computers/handheld-computers/dx-a800/
ノーコードというのはその名の通り、コードを書かずに、例えば現品票を入力する画面が作成できるということです。
KEYENCEでは「いかに技術ユーザー側の負担も減らすか」という視点のツールが多く見られます。
今回のノーコード開発ツールも、その一つとして見てよいでしょう。
「コードを書くのが普通でしょ」と思う技術屋さんも多くいるでしょう。
かつて私もその一人でした…
ただ、製造メーカーとしてコードに対してまず思い浮かべるのは次の点です。
「このコード、、、だれでも再現できる内容なのか」
この視点を常に社内で問われるわけです。
結果として、コードがオリジナリティあふれるものであれば、当然「不採用」という結果になります。
そんな悩みを今回のツールが解決してくれると感じます。
まとめ
今回は、2026年5月17日〜5月23日週の国内5社FAメーカー動向を紹介しました。
今週の注目は、KEYENCEの業務用フルスクリーン ハンディターミナル「DX-A800シリーズ」に搭載されたAI搭載OCRツール「DX-OCR2」でした。
筆者としては、OCRで難しい「文字登録辞書」や「正解文字の管理」の負担を、AI-OCRが軽くしてくれる可能性に期待しています。
今後も国内FAメーカーの最新動向を追いながら、単なるニュース紹介ではなく、現場目線で「どう使えそうか」「どこに注意すべきか」を整理していきたいと思います。
当サイトでは、国内FAメーカーの最新動向を毎週まとめています。
新商品やFA関連ニュースを、生産技術・保全・製造現場の目線で分かりやすく整理しています。
FA機器の情報収集に、ぜひブックマークしてお役立てください。
本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。


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