CVケーブルとVCTケーブルの違い|用途・柔らかさ・使い分けを解説

電気・制御
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この記事でわかること
  • CVケーブルとVCTケーブルの違い
  • 固定配線と機器配線での使い分け
  • モーターや可動設備に使用するときの注意点

この記事の対象になる方

  • CVケーブルとVCTケーブルのどちらを使うか迷っている方
  • 工場設備やモーターの配線を選定する方
  • 電気工事や設備保全、生産技術でケーブル選定を学び始めた方

はじめに

みなさんこんにちは!末端エンジニアのにこらです。

CVケーブルとVCTケーブル、いったいどっちがいいの?

ケーブルを選定したことがある人なら、一度は悩んだことのある疑問だと思います。

どちらも工場設備や機械の電源配線で使用されるケーブルです。
実際、見た目も似ているため、

「CVとVCTは何が違うのか」
「モーターの配線にはどちらを使えばよいのか」
「柔らかいVCTをCVの代わりに使ってもよいのか」

と、いろいろ迷うことがありますよね。

結論として、使い分けるうえで大きな違いとなるのは「用途」です。

CVケーブル:一般工場や建物内などの固定された電力配線に多く使用される
VCTケーブル:柔軟性があり、移動用電気機器の電源回路などに使用される

ただし、VCTケーブルだからといって、ケーブルベアやロボットなどの繰り返し曲げられる場所に必ず使用できるわけではありません。

この記事では、CVケーブルとVCTケーブルの違い、工場設備での使い分けについて解説します。

それでは、いってみよー!

CVケーブルとVCTケーブルの違いを表で比較

CVケーブルとVCTケーブルの主な違いは、以下の表のとおりです。

比較項目CVケーブルVCTケーブル
名称架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルビニルキャブタイヤケーブル
主な用途建物や工場内の電源配線機械や移動用電気機器の電源配線
絶縁体架橋ポリエチレンビニル
柔らかさ比較的硬い比較的柔らかい
耐熱温度の代表例導体最高許容温度90℃定格温度60℃
得意な配線固定配線取り回しや柔軟性が必要な配線
繰り返し屈曲基本的に不向き標準品は連続屈曲に使用できない場合がある
代表的な使用場所幹線、分電盤、設備盤機械、電動工具、移動用機器

通常型式でのざっくり比較表は、以下のとおりです。
※許容電流は、スケアサイズのラインナップが多い方を「〇」としています。

ケーブル許容電流耐熱性耐候性屈曲性振動多芯ラインナップ連続屈曲
CVケーブル×
VCTケーブル△  ※1△  ※1×
※1 : 型式によって耐熱性、耐候性は向上する場合あり

CVケーブルの絶縁体には架橋ポリエチレンが使用されており、600V架橋ポリエチレン絶縁電線の導体最高許容温度は90℃が基準となっています。

一般的なVCTケーブルはビニル絶縁で、定格温度を60℃としている製品が多くあります。
ただし、耐熱温度や許容電流は製品・型式によって異なります。

実際に選定するときは、ケーブルの種類だけで判断せず、使用するメーカーの仕様書や許容電流表を確認してください。

※ケーブル選定の流れや許容電流の計算例を知りたい方はぜひ、こちらの記事もご覧ください。

CVケーブルの主な用途

CVケーブルは、600V以下の電力用ケーブルとして、工場や建物内の電力配線に使用されています。

代表的な使用場所は、以下のとおりです。

  • 分電盤から設備盤までの電源配線
  • 建物内の幹線配線
  • 固定された機械やモーターの電源配線
  • ケーブルラックや電線管を使用した配線
  • 屋内外の固定電力配線

CVケーブルは、配線後にケーブルがほとんど動かない場所に向いています。

筆者の認識では、固定された盤~盤の電源配線は、圧倒的にCVケーブルが多いイメージです。

分電盤や設備盤への電源供給など、固定配線で多く使用されるケーブルです。

CVケーブルのメリット・デメリット

CVケーブルのメリットは、耐熱性に優れており、電力配線に使用しやすいことです。

架橋ポリエチレン絶縁は耐熱性に優れ、一般的なビニル絶縁電線よりも許容電流を大きく取れる場合があります。

メリットは、以下のとおりです。

CVケーブルのメリット
  • 耐熱性が高い
  • 電力用の固定配線に適している
  • スケアサイズのランナップが多い
  • 工場や建物内の幹線に使用しやすい

一方、VCTケーブルと比べると硬く、狭い場所での取り回しや頻繁に動く機械の配線には向いていません。

デメリットは、以下のとおりです。

CVケーブルのデメリット
  • VCTケーブルよりも曲げにくい
  • 狭い盤内では取り回しにくい
  • 振動や動きがある場所には使用しにくい
  • 繰り返し曲げられる場所には向いていない
  • 多芯のラインナップは少ない

CVケーブルには、単心のCVだけでなく、2本をより合わせたCVD、3本をより合わせたCVT、4本をより合わせたCVQなどがあります。

CVとCVTの違いや選定については、以下の記事で詳しく解説しています↓

VCTケーブルの主な用途

VCTケーブルは、交流600V以下の移動用電気機器の電源回路や制御回路などに使用されます。

代表的な使用場所は、以下のとおりです。

  • 工場内の機械や設備
  • 移動用電気機器
  • 電動工具の電源ケーブル
  • ポンプやモーターの電源配線
  • 柔軟性や取り回しが必要な場所

VCTケーブルは、細い銅線を多数より合わせた導体を使用しているため、CVケーブルよりも柔らかく、機械まわりの配線を行いやすいのが特徴です。

筆者の認識では、ロボットが絶え間なく動くエリアの近くにある装置、または盤へ電源配線を敷設する際、VCTケーブルがメインとなるイメージです。

メーカーによっては、標準VCTを「固定用」と分類している製品もあります。
使用する設備の動き方や曲げ回数を確認し、製品ごとの用途を確認することが重要です。

VCTケーブルのメリット・デメリット

VCTケーブルのメリットは、柔軟性があり、配線の取り回しや加工がしやすいことです。

メーカーの製品情報でも、柔軟性や加工性、耐水性などがVCTケーブルの特徴として挙げられています。

メリットは、以下のとおりです。

VCTケーブルのメリット
  • CVケーブルより柔らかい
  • 配線作業を行いやすい
  • 振動や多少の動きがある場所で使いやすい
  • 多芯のラインナップが多い

一方、一般的なVCTケーブルは、ケーブルベアやロボットアームのような連続屈曲を想定していない場合があります。
連続屈曲が必要な場合、ロボットケーブル(または可動ケーブル)を使用しましょう。

柔らかいからといって、繰り返し曲げても断線しにくいとは限りません。

デメリットは、以下のとおりです。

VCTケーブルのデメリット
  • CVより耐熱温度が低い製品が多い
  • 標準品は連続屈曲に使用できない場合がある
  • スケアサイズのラインナップは少ない
  • 使用環境によって耐油性や耐候性の確認が必要
  • 屋外には不向き(型式指定にて屋外OKな場合もある)

また、VCTと似た環境下で使用する制御用配線では、「VCTFケーブル」が頻繁に使用されます
VCTとVCTFでは、定格電圧や使用用途が異なるのでご注意ください。

VCTとVCTFの違いや選定については、以下の記事で紹介しています↓

CVとVCTはどのように使い分ける?

CVとVCTを選ぶときは、ケーブルを固定して使用するのか、機械の動きや振動が加わるのかを確認します。

基本的には、次のように考えています。

CVケーブル:機械の近傍ではない、分電盤や制御盤向けの電力配線
VCTケーブル:機械の近傍にある分電盤や制御盤、また柔軟性や取り回しが必要な機械・装置向け電力配線

上記のように切り分けることも大切ですが、最終的には許容電流、使用温度、周囲環境、配線方法などを確認してから選定するようにしましょう。

次に、使用環境ごとのおすすめを紹介します。

分電盤から設備盤までの配線

分電盤から設備盤までの配線は、基本的にCVケーブルを中心に検討します。

この区間は、配線後にケーブルが動くことが少なく、設備に必要な電力を供給する固定配線となるためです。

ケーブルラック、電線管、ピットなどを使用して配線する場合も、CVケーブルが選ばれることが多くあります。

例えば、工場であれば、フロアの分電盤〜制御盤までの電源ケーブルであれば、CVがメインになるでしょう。
ただし、分電盤自体が装置やロボットなどの近傍になる場合、VCTケーブルを検討しましょう。

設備盤からモーターまでの配線

設備盤からモーターまでの配線は、振動がさほど多くないのであれば、CVケーブルを中心に検討します。

一方、モーターの振動がケーブルに伝わる場合や、狭い場所を曲げて配線する場合には、VCTケーブルや可動ケーブルを検討します。

インバータでモーターを運転する場合は、通常のCVやVCTだけでなく、ノイズ対策としてシールド付きケーブルが必要になることもあります。

設備メーカーやインバータメーカーの推奨ケーブルも確認するようにしましょう!

移動する機械や電動工具の配線

移動する機械や電動工具の電源配線には、VCTケーブルを中心に検討します。

VCTケーブルは柔軟性があり、移動用電気機器の電源回路に使用されるケーブルです。

ただし、床面を引きずる、踏まれる、強くねじられる、油や水が付着するといった環境では、一般的なVCTでは不向きとなります。
そのような環境下でビニルキャブタイヤを使用したい場合、耐油性、耐水性、耐摩耗性などを考慮し、使用環境に適した型式を選定しましょう。

ケーブルベアやロボットの配線

ケーブルベアやロボットアームの配線には、標準的なVCTケーブルではなく、耐屈曲ケーブルやロボットケーブルを使用します。

たとえVCTケーブルであっても、ケーブルベアやロボットアームなど、連続屈曲が必要な環境での使用をメーカーが禁止している場合が多くあります。

ケーブルベアでは、機械が動くたびに同じ部分が繰り返し曲げられます。
一般的なVCTは柔らかくても、繰り返し曲げられることで内部の導体が徐々に断線する可能性があります。

VCTという名称だけで判断せず、「ケーブルベア用」「ロボット用」「耐屈曲用」など、用途が明記された製品を選びましょう。

まとめ

CVケーブルとVCTケーブルは、どちらも工場設備の電源配線で使用されますが、得意な用途が異なります。

現場では、主に以下のように切り分けられていることが多いです。

CVケーブル:機械の近傍ではない、分電盤や制御盤向けの電力配線
VCTケーブル:機械の近傍にある分電盤や制御盤、また柔軟性や取り回しが必要な機械・装置向け電力配線

ただし、ケーブルベアやロボットなど、繰り返し曲げられる場所では、耐屈曲ケーブルやロボットケーブルを選ぶ必要があるということを覚えておきましょう。

またケーブル選定の際は、許容電流、耐熱温度、使用環境、配線方法、メーカー仕様を確認したうえで選定することが重要です。


本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。

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