ミルマンの定理をわかりやすく解説|公式の意味と例題の解き方

電気・制御
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この記事でわかること
  • ミルマンの定理の使い方が分かる
  • 公式の分子が短絡電流の和になる理由がわかる
  • 例題を通してミルマンの公式を理解できる

この記事の対象になる方

  • ミルマンの公式を暗記だけで覚えている方
  • 複数の電源がある並列回路で迷ってしまう方
  • 電験や電気回路の基礎を学んでいる方

はじめに

皆さんこんにちは!末端エンジニアのにこらです。

電源と抵抗が複数並んだ回路を見ると、

「どこから計算すればよいのかわからない」
「キルヒホッフの法則で連立方程式を作るのが大変」

と感じること、ありますよね。

このようなときに便利なのが、「ミルマンの定理」です。

ミルマンの定理を使うと、電源と抵抗で構成された複数の枝が並列になっている回路の端子電圧を、1つの式で求めることができます。

公式だけを見ると複雑そうですが、考え方はそれほど難しくありません。

ひとことで表すと、

各枝の短絡電流を合計し、並列合成抵抗を掛ける

という計算です。

この記事では、公式へ数値を代入するだけでなく、なぜ短絡電流を使うのか、なぜ各枝を別々に計算できるのかまで見ていきます。
それでは、いってみよー!

ミルマンの定理とは何か

ミルマンの定理とは、電圧源と抵抗が直列になった複数の枝が、同じ2点間に並列接続されているとき、その端子間電圧を求める定理です。

ミルマンの定理は、「全電圧の定理」と呼ばれることもあります。

図のように、電源E₁と抵抗R₁、電源E₂と抵抗R₂、電源E₃と抵抗R₃の枝が、端子a-b間に並列接続されているとします。

このとき、端子電圧Vabは次の式で求められます。

この公式は、次のように考えると覚えやすいです。

端子電圧Vab = 短絡電流の和[A] × 並列合成抵抗[Ω]

なぜミルマンの定理を使うのか

ミルマンの定理を使うメリットは、複数の枝がある並列回路の端子電圧を、連立方程式を作らずに求められることです。

キルヒホッフの法則でも同じ回路を計算できますが、枝が増えるほど未知数や式の数も増えていきます。

一方、ミルマンの定理では、

  1. 各枝の電源と抵抗を確認する
  2. 短絡電流の和を求める
  3. 並列合成抵抗を求める
  4. 短絡電流の和と並列合成抵抗を掛ける

という流れで、端子電圧を簡単に求められます。

ただし、ミルマンの定理が使いやすいのは、各枝が同じ2点間に並列接続されている回路です。

どのような回路にも、そのまま使えるわけではないので注意しましょう。

なぜ分子が短絡電流の和になるのか

ここがミルマンの定理で最も分かりにくい部分です。

まず、端子a-b間を導線で短絡した状態を考えます。

上図のとおり、a-b間を短絡すると、a点とb点は導線で直接つながるため、同電位になります。

b点を基準の0Vとすると、a点も0Vです。

したがって、

となります。

ここで枝1だけを見ると、枝全体の端子電圧は0Vですが、電源E₁の電圧まで0Vになったわけではありません。

枝の内部では、

電源E₁による電圧上昇と、抵抗R₁による電圧降下が釣り合う

という状態になります。

そのため、

となり、枝1の短絡電流は、

です。

同じように、それぞれの枝の短絡電流は、

となります。

短絡時は、a-b間の電圧が0Vに固定されています。

また、R₁、R₂、R₃は互いに直列ではなく、それぞれ別の枝にあります。

そのため、各枝の短絡電流は、その枝にある電源と抵抗だけを使って計算できます。

各枝から流れ出した電流は短絡線で合流するため、回路全体の短絡電流は、

となります。

また、電源の向きが反対の枝については、電圧をマイナスとして計算します。

なぜ分母が抵抗の逆数の和になるのか

次に、回路の電圧源をすべて0Vとして考えます。

理想電圧源の内部抵抗は0Ωなので、電圧源を0Vにすると短絡した状態になります。

すると、端子a-b間から見た抵抗は、R₁、R₂、R₃の並列回路です。
下図のような状態になります。

並列合成抵抗をR₀とすると、

です。

したがって端子電圧は、

となります。

ここへ短絡電流と並列合成抵抗を代入すると、

となり、ミルマンの公式が得られます。

ミルマンの定理を使って例題を解いてみる

それでは、実際に例題を解いてみましょう。

今回の条件は上図のとおりです。
端子電圧Vabを求めてみましょう。

また、R₃の枝には電源がありません。

電源がない枝は、E₃=0Vの電源があるものとして考えます。

短絡電流の和を求める

まず、公式の分子を計算します。

したがって、短絡電流の和は7Aです。

枝3は電源がないため、短絡電流は0Aになるということです。

並列合成抵抗を求める

次に、公式の分母を計算します。

したがって、並列合成抵抗は、

です。

ここで注意したいのは、電源がない枝3も、抵抗R₃として分母には含めることです。

端子電圧Vabを求める

短絡電流の和と並列合成抵抗を掛けます。

したがって、端子aは端子bより約6.46V高いことになります。

ミルマンの定理で間違いやすいポイント

電源の向きを確認する

基準とした方向に対して電源が反対向きの場合は、その電圧をマイナスとして計算しましょう!

電源のない枝を分母から外さない

電源のない枝は、分子では0になります。

しかし、抵抗には電流が流れるため、分母の抵抗計算には含めます。

並列に見えるだけで使わない

各枝が同じ端子a、bの間に接続されていることを確認します。

途中に別の分岐がある場合は、そのままミルマンの公式を使用できないことがあります。

テブナンの定理との違い

ミルマンの定理とテブナンの定理は、どちらも複雑な回路を簡単に考えるための定理です。

ミルマンの定理は、電源と抵抗で構成された並列回路の端子電圧を、直接求めたいときに向いています。

一方、テブナンの定理は、ある負荷から見た残りの回路を、電圧源1個と抵抗1個の回路に置き換えたいときに向いています。

こちらの記事でテブナンの定理を解説しているので、ぜひご覧ください↓

並列回路の端子電圧を求めるならミルマン
・負荷から見た回路全体を簡単にするならテブナン

と考えると、使い分けしやすくなります。

まとめ

ミルマンの定理は、電圧源と抵抗で構成された複数の枝が並列接続されているとき、端子電圧を簡単に求めるための定理です。

公式だけを見ると複雑に見えますが、意味は次の通りです。

端子電圧 = 短絡電流の総和 × 並列合成抵抗

ポイントは、

  • 分子は短絡電流の和
  • 分母の逆数は並列合成抵抗
  • 逆向きの電源はマイナスにする
  • 電源のない枝も抵抗は計算に含める

という意味を理解し、ミルマンの定理を覚えておくようにしましょう!


本記事は学習目的の情報提供です。実際の電気工事・設計・配線・機器選定・部材選定・改造は、法令・社内基準に従い、有資格者および責任者の管理下で実施してください。現場条件により最適解は変わるため、必ずメーカー仕様書・設計基準・安全規程・JISを確認のうえ判断してください。

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